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第98話 文化祭実行委員

 二学期が始まって、数日。


「それでは、今日のHRではまず文化祭実行委員を二人決めたいと思います」


 教壇に立って仕切る白鳥さんは、ちょっと緊張の面持ちだ。


 文化祭実行委員というこの役割。

 あっさり決まることもあれば、下手をすると押し付け合いのような形にもなりかねないので無理はない。


 そして……実は、俺もちょっと緊張している。


「立候補を募りますが、どなたかいらっしゃいますかー?」


 問いかけに、シンと教室が静まり返る中。


「はい」


 俺は、一拍置いて挙手する……と、教室内の半分くらいから意外そうな目を向けられた。

 唯華に衛太、白鳥さんや天海さんなんかは「なるほどな?」という視線だ。


 高橋さんはなぜかニヤリと笑って親指を立ててくるけど、どういう感情なのかはよくわからない。


「九条くんが……?」


「俺、九条くんと一緒のクラスになって三年目だけど……九条くんがこういう場面で手ぇ挙げるの、初めて見たような気がするわ……」


「私は六年……」


「僕は十二年……」


 という感じなので、驚く人が多いのも無理はない。


 俺はこれまで、行事という行事の尽くを最低限度の参加に留めてほぼ関わってこなかった。

 文化祭実行委員への立候補など、以ての外である。


 ではなぜ、今年に限って……というと。

 俺は、前の席の唯華にチラリと視線を向ける。


 小さく微笑む唯華は、俺の考えることなんてお見通しって表情だ。


 一学期は、唯華のおかげで去年までと打って変わって楽しい学校生活だった。

 きっとこのままでも、すごく楽しい二学期になることだろう。


 でも、それだけじゃなくて……俺自身、新しいことにチャレンジしてみようと思ったんだ。

 それに、同級生の皆へのこれまでの埋め合わせ……には、到底足りないだろうけど。


 せめて、最後の年くらいは積極的に色々と引き受けようとも。


 ……あとは、もう一つ。


 至極個人的な目的も、あるけれど。


「立候補、ありがとうございます。それでは、一人目は九条くんにお願いしますね」


「はい、お引き受け致します」


 ちょっとホッとした表情の白鳥さんに、立ち上がって返すと周囲から拍手が。


 ……なんか、妙に照れくさいな。


「もうお一方、誰か立候補はいませんかー?」


 そして白鳥さんが続けると、またもシンと静まり返った。


「くっ……! 本来なら私が立候補したいところですが、今年はステージで命を燃やし尽くすとメンバーと誓った身……! 高校最後の文化祭、実行委員となり文化祭を影から牛耳るのと最後まで迷ってはいたのですが……!」


 なお、一部を除く。


 高橋さんは、なんかそういう感じらしい。

 ちなみに、当然ながら文化祭実行委員にそこまでの権限はない。


 ともあれ……高橋さんに限らず、部活の出し物やら個人のステージなんかに注力したい人も多いだろう。

 外部受験組なら、それこそやってる場合じゃない人も多い。


 ただでさえハードルが高い上に、俺が相方ともなれば尚更だ。


 そのまましばらく、お互い牽制し合うような沈黙が続いて。


「じゃあ、私がやってもいいですか?」


 唯華が、スッと手を挙げた。


 他にやる人がいないなら……という印象を持たれるタイミングを狙ってたんだろう。


「立候補、ありがとうございます。では烏丸さん、お願いしますね」


「はーいっ、どもどもっ」


 立ち上がった唯華にも拍手が送られ、俺と違って唯華は愛想よくそれに応えている。


「まずは今日の放課後、生徒会との最初の打ち合わせがあるのでお願いしますね」


『はいっ』


 白鳥さんの言葉に、俺と唯華が同時に頷いた。


 ウチの文化祭は、生徒会主導の元で各クラスの実行委員たちと協同で運営される。

 まずは本日、初顔合わせってわけだ。


「あれですねっ? 漫画でよくある、幹部がドンッと一堂に会するやつ! 憧れの場面ーっ! あぁ、やっぱり私も立候補すれば良かったかもですーっ!」


 なお、たぶんだけど高橋さんが言うようなやつではない。

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