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1 本当のこと、言ってもいい?

 君からの手紙


 登場人物


 双葉礼子 十五歳 空を見上げる癖のある少女


 清田落葉 十五歳 下を向いてばかりいる少年


 プロローグ


 いなくなっちゃ、いやだよ。


 本編


 本当のこと、言ってもいい?


 春に、君からの手紙を受け取って、その手紙を読んだ僕は、心から悲しくて、いっぱい、いっぱい、たくさん泣いた。


 双葉礼子が見上げる夜空にはとても大きな真っ白な光を放っている月があった。その月の光をまるでその大きな瞳の中に吸収するようにして、礼子は随分と長い間、その大きな月をずっと見つめていた。

 ……空は、とても美しい星空だった。

 空を見上げる癖がある礼子でなくても、こんな美しい星空が広がっていたら、ほとんどの人たちは歩く足を止めて、夜空を見上げてしまうだろうと清田落葉は思った。

 そんなことを考えている落葉も、今は礼子の隣に座って、珍しく礼子と同じように美しい星空を眺めていた。

 とても美しい冬の星空。

 星座には詳しくないから、オリオン座と北斗七星くらいしかわからないけど、それでも夜空の星はどれもとても輝いて見えた。

 星がこんなに美しいものだと、落葉は今まで知らなかった。

 星を見るということを落葉は今までの人生の中で、あんまりしたことがなかった。星は星。月は月。ただのずっと変わらない宇宙の光に過ぎない。そう思っていた。

 でも、今は少し違う。

 それはどうしてだろう? と落葉は思う。

 星は星。月は月。何百年も、何千年も変わらない風景がそこにはあるだけだった。なにも変わらない。では変わったのはなにか?

 変わったのは、……僕、なのかな?

「なに考えているの?」

 いつの間にか、落葉の横に立ってずっと月を見ていた礼子はぼんやりと星空を見ながら、考えごとをしている落葉のことを見つめていた。

 下から礼子を見上げている落葉は、視線を動かして、礼子の大きな黒い瞳を見つけた。

 礼子の瞳の中には、まださっきまでずっと見ていた真っ白な月の光が残っていた。

 礼子の瞳の中できらきらと輝く光。

 ……それは、本当にとても美しい光だった。

「別になにも」と落葉はいった。

「嘘つき」にっこりと笑って礼子は言う。

「落葉くん。今、絶対私のこと考えていたでしょ? そういうのわかるんだからね」ととても嬉しそうな顔をして、落葉の横にしゃがみこんで、落葉と視線を合わせた礼子は、見事に見当違いのことをいった。

(でも、そんな礼子の言葉を聞いて、それから落葉は礼子のことばかりを考えるようになったのだから、案外的外れな言葉ともいえなかった。まあ、強引だし、ルール違反だと思うけど……)

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