kyoto station
テレビのニュースや、
友達のインスタグラムには、
結婚の報告で溢れて、
いいなあ、お幸せに!と心から思っているが、
自分は恋人もおらず、
私なんて。。。と一人の夜を過ごす女性達に捧げます。
作者 渡利ゆり
七月の三日。
山岡夏美は暇を持て余し
飲み散らかした部屋で一人、
深夜までスマートフォンから恋愛漫画を読み漁っていた。
夏美は今年二十八歳にもなるにも関わらず、
女子高を卒業してから一度も彼氏を作ったことのない
そんな女がいるのか、と職場の年配達から突っ込まれるほどの
化石のような女だった。
周りからは、
理想が高いからできないんだよと
言われるが
夏美の好きな男性のタイプは、
優しくて、
ジャニーズの今一番売れている
月9の主演みたいなイケメンで、
記念日のサプライズに
薔薇の花束をプレゼントしてくれて、
夏美だけを愛してくれる一途な男の人がタイプだ。
至って、
決して、
これは理想は高くなく、
世の女性は皆思っていると思う。
なんなら夏美は、
いつかそんな人が現れると信じて待っている。
夏美が夜な夜な読み込んでいる少女漫画のような
情熱的なディープキスや、
突然、ジャニーズ系イケメンが部屋を訪れて、
アダルトビデオのような
無理やりセックスしてしまう展開を心待ちにしている。
世で言う、
夏美は「むっつりスケベ」と呼ばれ思考の持ち主だ。
時計はいつの間にか
深夜の二時になり、
恋愛漫画を読むのを止めて、
スマートフォンを充電して布団にもぐり眠りに落ちた。
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