正しい婚約破棄 ざまぁもちょっとあるよ
いつも通りの巻き展開です。
描写が緩いと言う点ご容赦ください。
誤字、および表現の問題を修正しました。(2020/5/31)
こっそり後日談を追加(2020/5/31)
こっそり後日談その2をこっそり追加(2020/5/31)
誤字、一部表現修正とあとがきのために文字数詐欺になっていたので
後日談、蛇足を本文に移動(6/2)
4万PV突破記念蛇足編追加(6/3)
5万PV突破記念蛇足編追加(6/5)
後日談であり次のシリーズ「一風変わった異世界召喚」
の一本目「正しい異世界勇者召喚のすすめ」投稿しました
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王城の大広間にて、ほぼ国内全ての貴族が集まった舞踏会でその国の第一王子は高らかに宣言した。
「公爵令嬢メリダよ、私は真の愛に目覚めた!!お前との婚約を破棄し男爵家令嬢ビアンカと新たに婚約を結ぶ!!」
「王子…なぜ?」
「私は愛に目覚めたのだ、それに伴いお前に言い渡すことがある!!」
「何でしょうか?」
「まず婚約破棄に伴う慰謝料のひとつとして、公爵家に隣接している王領を公爵家に下げ渡す!!」
「え?、断罪するのでは?」
「断罪とはなんだ? まあいい、次に公爵家に課している国境の砦への常駐義務を免除する。」
「えっと殿下?」
「何か言いたいなら後で聞く、まだまだあるぞ。お前個人への詫びとして、先先代の女王陛下が使っていた宝飾品をまとめて下げ渡す。これについては王宮から後で目録を送る。」
「・・・」
「次に今まで婚約者として利用を許可し、婚約破棄により使えなくなる、王家の者だけ利用できる緋色の服飾品の利用を特別に許可する。」
「・・・」
「そして、これが一番大きなものだな。俺との婚約破棄いや婚約の白紙化に伴い、現第二王子との婚約を許可する。ただしこれはお前が望んだ時のみ有効とする。」
「第二王子殿下と婚約しなくてもよろしいのですか?」
「それはお前の自由だ、そしてこれは俺への罰だな。俺はこの時をもって王位継承権を放棄しなおかつ放棄した場合に与えられる公爵の位も返上する。」
それまで王子の陰に隠れていた女性が声をあげた
「王子様、そんなことを聞いてないのですが!!」
「これは当然だ! 王家を支えてくれていた公爵家の顔に泥を塗るのだこれでも生ぬるい。本来なら証として利き腕を切って差し出すところだ!!」
公爵令嬢メリダは悲しそうな顔で聞いた。
「王子はこの後どうなされるのですか?」
「俺か? 俺はもともと王など向いてない。学園で迷宮探索にはまってな。これからは男爵家から追放され同じく庶民となったビアンカとともに冒険者になるつもりだ。」
「そんなの聞いてない!! 私は王妃になるの、庶民になんてなりたくない!!」
「ビアンカよ、公爵家を敵にしてはこの国はなりたたぬ。さあ俺とともに真実の愛を貫き、冒険者となって一旗あげようではないか!!」
「いやよ絶対いや!! そんなことのために私は王子に転生特典の神様特製のチャームの秘薬を飲ませたんじゃないわ!!」
「チャームの秘薬?」
会場がその時騒然とした。
会場にいた高位の聖職者が王子の前に進んできた。
「王子、失礼ながら高位の鑑定魔法をおかけしてもよろしいでしょうか?全ての情報をつまびらかにするため、本来であれば罪人などに利用するものなのですが、今の話が本当であれば大変な事態です。」
「ああ、かまわぬビアンカへの愛は、真実の愛、そして俺には隠すことは一切ない!!」
「それでは失礼します。鑑定神ボッタクルよ、その神の御技をここに パーフェクトサーチ!!」
「どうだ!!何も出ないだろう!!」
聖職者は真っ青な顔をしている。
「王子、あなたは名前を出すのも禁忌とされる邪神の呪いにかかっております。」
「そんなはずはない!! 俺のビアンカへの愛は真実の愛!!」
聖職者は問答無用で呪い返しを唱えた。
「創世神の加護を持って退け 邪悪なる呪い キュア!!」
王子にキラキラとした光が舞い降り、王子の体から黒いもやが染み出しそして消えていった。
そして王子は崩れ落ちかけたがなんとか体勢を立て直し言った。
「俺は一体?」
「王子、どこまで覚えておられますか?」
「どこまでというのはなんだ、そしてこれはなんだ? 俺は新春の舞踏会に参加していたはず。これは秋の舞踏会ではないか?」
「やはり王子、呪いに操られていたのですね。聖なる騎士団のものよ!この男爵令嬢を騙る邪神の手先を討て!!捕縛など考えてはならぬ。全ての責任は私が取る。これ以上呪いを広げさせる前に討つのだ!!」
会場を警備していた騎士団が聖職者の言葉にしたがい男爵令嬢を囲む!!
「王子様助けて!!」
「お前は誰だ? 男爵家? なぜ男爵家のそれも当主でもない者が俺に直答をするのだ?」
「本当に魔法が切れたの? 神様そんな話聞いてない!! いやー」
男爵令嬢はその場で騎士団に討たれ、その後燃やされ灰とされ、聖職者による浄化ののち
永久に蘇ってこないようにするため、火の神の山の噴火口に投げ込まれることとなった。
そして数日後。
「メリダ、お前まで爵位や王位継承権を捨てて、ついてくる必要なぞないのだぞ!」
「いいえ殿下、いえアトラス様、あの悪魔の手先よりアトラス様を守れなかった私も同罪です。」
「神の山までの道のりは過酷なんだぞ!!」
「ちょっぴり楽しそうかなって?」
「何を言っている?」
「正直に言うとアトラス様と一緒になりたいとは思っていましたが、王妃になんてなりたくなかったのです。」
「え?」
「そんな面倒なことは妹にポイです。さぁ一緒に神の山までの冒険の旅を始めましょう!!」
後日談その1
悪魔の灰を神の山に捨てる旅を始めて約一ヶ月後、元第一王子は国元からやってきた集団に捕まっていた。
「兄上!! 兄上は悪神の呪いに操られていただけで何も悪くないのです。なので戻ってきてもらえませんか?」
「弟よ、いくら悪神の呪いとはいえ取り返しのつかぬこともある。なので俺は在野の一人の冒険者として影から国を支えることしたのだ」
「そんなことはありません。確かにあの悪女に騙されていたとしても、兄上の行いには問題はありませんでした。」
「いいやあの程度では公爵家に対し面目も立たぬ。それに結局メリダも巻き込んでしまったしな。」
「それは大丈夫です。メリダ様とともにお戻りください。公爵閣下も妹殿もそれをお望みです。」
「そうですわ、姉上。姉上方は悪魔の手先の復活を防ぐ旅になど行く必要はありません。王家の方や公爵家の者に責任があるのであれば、私たちが代わりに赴きますわ。」
「いいえ、私たちに隙があったからこのようなことになったの、だから私たちが責任を取るべきなの。」
ーー 話し合いは平行線を辿り続けた。 ーー
「兄上、メリダ様。正直なことを伺いたいのですが、王や王妃になるのが面倒だしちょうどいい理由ができたから責任を押し付けて逃げようというわけではないですよね?」
「お・・弟よそんなことはないぞ…」
元第一王子は挙動が不審だ。
「私からも聞きたいのですが、姉上。お妃教育が面倒だし、お妃になるなんて面倒なことやりたくないからって逃げているわけではないですわよね?」
「そ…そんなことはないわよ」
元公爵令嬢も挙動が不審だ。
「「私たちだって王様・王妃になるのなんて面倒なので真っ平御免です。スペアの責任がない割に自由度が高い立場がいいんです。」」
「お前たちぶっちゃけてきたな。」
元第一王子が呆れた顔で言った。
「正直に言ってください。兄上たちだってそう思ってるんでしょう。」
「お前がそこまで言うなら正直に言おう。誰があんな激務で自由の少ない責任だけ多い立場になりたがる?
食事の食材、身の回りの小物、衣服に至るまで各貴族間や派閥間のバランスを考えなくてはならんし、
水利権の争いの調停など一歩間違えば反乱や内戦に繋がるような難しい裁定を行わねばならん。
それに加えて外交問題、24時間365日休みなくそれを考えないといけない立場だぞ?
王家の面子をあまり潰さずに穏便に逃げ出せる手段があれば誰だってそうする!」
「兄上、私だって嫌ですよ。なので戻って責任を取ってください!」
「いいや、議会の承認を得ての俺の廃籍だ。それを覆すわけにはいかん。」
「それについては、父上からの伝言があります。
『俺の留守中にあの面倒な議員連中を取りまとめ、望んだ議決を出させられるような優秀な人材は逃すわけにはいかん!! あと俺だって弟に押し付けて逃げたかったのにお前だけ逃げるのは絶対許さん。』
とのことです。」
「姉上、姉上にも父上からのご伝言があります。
『すまん。このままでは継承位第3位の儂が一時的とはいえ王にならないといけなくなってしまう。頼むから王子を連れて戻ってくれ!!』
とのことですわ」
「いや弟よ、最悪の場合でも第4位の又従兄弟とかがいるだろう。それに議決が…」
「兄上、それは私が継ぐと思っていたため通っただけで、王位継承を避けるために又従兄弟を含め王位継承権のある議員全てが議決取り消しのための法案を準備中です。そもそもなんで騎士団を連れてきてるんだと思います?」
「お前の警護だろう。」
「兄上本当はわかってるでしょ!! 儀礼上呼び戻しに行く使者には私が行くしかないけど、こんな逃げ出す絶好のチャンスを私が逃すと思いますか?」
「まあ、そうだな私だって同じ立場なら…警護ではなく逃げ出さないようにするための監視役だよな。 ただ俺は神に誓った神聖なる誓いの旅をやめるわけにはいかん。」
「なら終わったら戻ってもらえますか? 兄上?」
「過酷な旅だ、それは保証できない。もしかすると悪魔の手先が現れ旅半ばで倒れるかもしれない。だが安心しろ何があっても神の山でこれを処分するまでは絶対に死なぬ」
「そう言って死んだことにして逃げる気でしょ?」
「そ…そんなことはないぞ?」
元王子が貴種たる血の影響から完全に逃れるのは難しいようです。
この先いったい何人の王位継承者と王位継承権で争うことになるの
それはまた次回の講釈で…
蛇足の蛇足
王位継承権XXX位
「俺が王になってもいいぞ…」
「愚王は不要です。死んでください。グサっ」
王位継承とは誠に難しく血で血を洗う争いのようです。
後日談その2
とある新人市民議員
「うちって議会主義的君主制に移行してるんだし、いっそここまで継承権の問題が出るなら議会民主主義に移行したらいいんじゃ?」
古参市民議員
「お前はまだ議員歴も浅いし勉強不足だな。まあいい、よく新人議員がかかるはしかのような物だ。それについてはすでに議論され尽くされていてな。やれば最後国が滅ぶのだよ。」
「国が滅ぶ?まさか、王は基本的に議会が作成した法案などにハンコを押したり、貴族連中の機嫌取りだけでしょ?」
「まあ確かに平時には、市民議員の立場から見れば、そう見えるかもだな。」
「平時は?って外国との戦争だって今時戦時国際法があるんだから、そんな無茶なことはないですし」
「これだから市民議員はダメ、短期的にしか見えないと貴族議員に言われるのだぞ。」
「いやだって、何の問題があります?」
「100年周期で発生する魔物の大発生にはどう対処するのだ?」
「いや軍を出して終わりでしょ?」
「お前は王国史の意味をわかってないのだな…」
「軍で対処できないと?」
「議員になったら利用可能になる王国議員図書館に行ってあとで詳しくみるといい。基本的に軍で対応すること自体は間違いではない。ただその際にどこで発生するかわからない魔物の軍勢相手にどう軍を配備する?」
「いやそれなら各都市や村に分散して…」
「それは悪手だ。とある国の例で説明しよう。その国は愚王が過去治めていた。そして愚王のあまり横暴さに民衆が怒り革命が起こり、王は倒され議会民主主義制度の国となった。」
「それはいいことではないですか?ただそんな国が今あるとは他聞に聞きませんが」
「それはな、魔物の大進行時にどこに軍を配置するかで議会でもめてその間に国が滅んだ」
「いやそれは軍の使い方が間違っていただけですよね?」
「問題は軍の使い方だけではない。刻一刻と変わる状況に合わせて即時判断し果断な判断と行動ができる指導者がいないと魔物の大進行には対応できぬ。」
「それは、緊急時には議長が強権をもって動けるようにすれば…」
「それは今の王を頂きとする議会主義的君主制となにが違う?」
「民主主義的に選ばれた国民のリーダーになるわけだからいいことなのでは?」
「そのリーダが優れた人間であることを誰が保証してくれる?」
「いや王族だって、優れた人間である保証はないですよね?」
「ここだけの話だ、今代の王家や王位継承権持ちには幸い起こっていないが、なぜか彼らは事故で死ぬことが多いのだよ」
「まさか…」
「それ以上は言うな。彼らは権利もあるがそれ以上に義務を負っているのだ。あとな、それ以上に厄介なのは水利権だ」
「え?ただの水の分配問題ですよね。」
「水利権問題がらみはあまりにおぞましすぎてわしも説明をしたくない。議会図書館で水利権についての資料を見せて欲しいと司書に言うといい。おそらく本当に見るのですかと聞かれるだろうがな。」
「全く冗談はやめてくださいよー」
その後議会図書館から出てきた若手議員は、入るときは真っ黒だった髪が真っ白になり蒼白の状態で帰っていった。
水利権はアンタッチャブルな問題のようです。
4万PV越え記念おまけ その時王は?
王は、外交交渉の帰りに首都から少し離れた王家専用の保養地で疲れを癒していた。
「すでに王の仕事を全権委任して代行できるくらい我が息子が育ってくれて助かる。この保養地は王家専用と言いつつ、王になる前に1度きて以来、ようやく2回目の方だからのぉ、このままいけばもしかすると近日中に正式に王位を相続して楽隠居できるかもしれぬ。うれしいかぎりじゃって、一人言がでるくらい疲れが溜まっとるとはあかんなぁ」
そこに黒装束の顔を隠した者が現れた。
「陛下、国元で事件が起こりました。」
「なに?事件だと? 一体なんの事件だ?また水利権か?それとももしかして、また古文書が発掘されて貴族間の王位継承順位の問題でも起こったか?」
「陛下それもありますが、それ以上の問題です。」
「え?それも起こった?そしてその上別の問題? わしもう隠居して息子に任せたいんじゃがダメかなのぉ?」
「陛下、その息子の問題です。まず長男と次男の母親の血筋に関する古文書が発見され、継承順位について議論が必要になりました。」
「まあいつものことだな。」
「次に、長男であり第一王位継承権をお持ちだったアトラス様が男爵家令嬢を見初め、公爵家令嬢との婚約を破棄し、その男爵令嬢と結婚して継承権を放棄し、冒険者になるという暴挙を議会を巻き込んで承認させたうえに実行されてしまいました。」
「え?嘘だよね?だってそんな暴挙議会が承認するわけがない。」
「それが陛下、アトラス様はとんでもないものを迷宮で見つけてしまったのです。」
「そういえば、息子は学園を出るまでとの約束で迷宮に潜っていたが何を見つけたのじゃ?」
「太古の魔法装置、ウェザーコントローラーです。」
「ちょ・・・ちょっとまて、前回の世界大戦の原因となったあれか?」
「ええそうです。それを無償で国に提供するのと引き換えに議員どもに裏工作を行なったようです。」
「それは今議会は利用権でやばいことになっているのでは?」
「ええ、利用権の取り合いで正直内紛一歩手前です。その上、議会経由でその情報はすでに他国に流出しています。」
「わし逃げていいかな?」
「ここで逃げられるということは、そういうことになりますがよろしいですか?」
「だよね・・・ それでアトラスは今どこに?」
「それがややこしいことに、男爵令嬢と駆け落ちするはずが、その男爵令嬢が悪魔の手先で・・・」
「ごめんちょっと待って、情報量が多すぎてわからん」
「まとめますと、パーティ会場で男爵令嬢は悪魔の手先であったことがわかり、その場で討たれたそうです。」
「なんでパーティ会場?」
「どうもアトラス様は、真実の愛を貫くという劇をその場で行い、本件を口封じができないレベルで国民に広めることで確実に王位継承権を放棄しようとしていたそうです。」
「・・・」
「そして、厄介なことにその場で第5王位継承権を持った公爵家令嬢メリダ様も悪魔の手先を王子に近づけてしまったのは私にも問題がある。責任を取って爵位と王位継承権を放棄すると宣言してしまい」
「ま・・・まって彼女も放棄したの?」
「ええ、貴族や議会関係者だけの場であればどうにでもなりますが、学園の卒業パーティを兼ねておりましたので事情を知らぬ一般の国民も多く含まれており手遅れで・・・」
「つまり正規に王位を継承できる年齢のものが全て逃げて、いま、わし死ぬ以外では引退できない?」
「はい、陛下そういうことです。内紛を防ぐために急ぎ国元にお戻りください。」
「アトラス!!全権委任していたとはいえ、うまいことやりやがって、絶対にお前だけは逃がさんぞ!!」
実はアトラス王子はシャレにならない爆弾を王国にもたらしていたようです。
頑張れ国王陛下、あなたの胃と引き換えに内紛を防ぐのだ!!
おまけ その時議会に激震が走った。
臨時秘密議会開催数日前の夜
王宮内会議室
「よくぞ集まってくれた、議員諸君!」
集まった議員の代表として議長が言う。
「次期国王アトラス王子のお呼びとあらば」
「うむ。さて、呼んだ件なのだが、俺は王位継承権を放棄したいと思う。」
「いきなりそんなことを言われても皆の者も困りますし、正直困惑しているのですがなぜ?」
「それなんだが俺が公爵令嬢と婚約しているのは知っているな?」
「ええ、公爵家第一令嬢メリダ様とですね。」
「俺は、他に好きな女性ができてな、そのものと結婚したい」
「それなら、第二夫人に向かい入れては?」
「いやそれではメリダに誠実ではない。きっちり婚約を破棄と言うか白紙化だな。その上で俺の権限で動かせる王家関連の資産などを供出し、責任をとって王位継承権を捨てようと思ったのだ。」
「いや、そこまでしなくても、特に継承権を放棄する必要はないのでは?」
「相手が、男爵家で、その上庶民の出なので、王妃は勤まらぬ。」
「それは・・・」
「確か規定もあったよな、責任能力がないものが王位継承権をもった場合排除する規定が。」
「はい確かに、王室規定 15条 身体的、精神的、能力的に足りないものが、王位継承権を持った場合は、これを排除する。」
「そうそれだ、それの第二項 排除については、本人の申し出があった場合は、王位継承権を剥奪、幽閉、または3代先までの王都からの追放を行うと言う規定だ」
「流石にその事項を配偶者が原因にも適応するのは流石に拡大解釈すぎるかと。」
「言いたいことはわかる。だが俺は国にも我が愛した女にも誠実でありたい。」
「一応議会工作を行いますが、いくらなんでも厳しいかと思います。」
「それは材料がない場合だよな。」
「なにか議員達を説得できる材料があるのですか?と言ってもまだ市民議員であれば調整が効くと思いますが、貴族議員については、私も含め様々な利権の問題があり・・・」
「それは大丈夫だ。今から見せるものは、この場にいるものと、議決権を取りまとめてる貴族議員の派閥長以外にはバラすなよ」
「一体何を見せると言うのですか?」
王子は、手を叩くと、側付きの侍女に台に乗せた何かを部屋に運び込ませた。それは巨大なオーブとそれに繋がる何かでできた魔法装置だった。
オーブには、この世界の地図が表示され、その上には雲がかかっている。
「これが材料だ。」
「ま・・・まさかこれは?」
「そうそのまさかだ。このことで迷っていた時に、迷いを振り切ろうと、迷宮の未探索区域を一人彷徨ってる時に見つけてな」
「そんな危ないことを・・・というかそれ以上にこれは危険です。」
「そうだろうな、この太古の魔法装置 ウェザーコントローラは! だがこれさえあれば、現状の水利権の問題のほとんどは解消しないか?」
「ま・・・まあ確かに河川や湖の水利権については問題はなくなりますな。」
「これは天のお導き、彼女と結婚するにあたっての障壁を破るために神がくださったものだ!」
「た・・確かに、神の所業ですな。まあこれの使用権を交渉のテーブルに出せば、公爵閣下以外であれば、首を縦に振らざるを得ないですな、ところでこれの使用権の分配は王家が行うのですか?」
「いや、これは議長に任せようと思う。」
「え・・・ちょっとまって、わしがこれの利権配分をやるの?」
「ああ、おれは王家から出るし、王家から出るものがこんな利権を持っていては国のためにはならん。」
「いや、そこは王子が持っていてもいいのではないかと・・・」
「それでは王家から出る意味がないではないか、そして我が妻になるものの実家にも問題が起こる。」
「それはそうなのですが・・・」
「それでは、議会での根回しを頼むな、ああ、あと俺は王位継承権放棄を確実にするために、卒業パーティでバカのふりをするから、継承権放棄の議決はその後でいいぞ、その後なら何も知らぬ市民議員どもは、王族をこき下ろせると喜んで票を入れてくれるだろうしな」
「ちょっと王子・・・勘弁してください!!」
「これだけの利権を渡すのだから、た・の・む・な。 わかったな た!の!む!」
「・・・」
頑張れ議長!負けるな議長!
後出しになりますが、公爵家令嬢もこの世界にそっくりの乙女ゲーを
プレイしたことのある転生者です。
そのせいで貴族生活がいやで、断罪されて庶民に落とされることは
ウェルカム状態だったのですが、どうしてこうなった。