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Player:ウィル

とりあえず書いてみたくて書きました。

作者自身VRMMOの知識、というかMMOの知識だとかはあまり分からないので設定ががばったりするのはお許しくださいませ……

恐らく、コレジャナイ感がでたら何度も執筆修正すると思います(主にステータスの名称とかシステムとか)。

けれど、読んだいただけると嬉しいです。

 “嘗て、彼の世界には『人間』のみが跋扈し、世を謳歌していた。

 やがて世界は神の災いに覆われ、天変地異が、未曾有の化物が、諍いが世を謳歌した。

 創造を司る神は、神の子たる人間に『想像から創造する力』を与えた。

 しかし、神の御業に近き力を完全に使役せしめる者は少なく、力の一片だけでは生き抜く事は難かった。

 そうして生きること叶わず散りゆく命の中、彼等は安息の地を求めて世界を放浪した。


 或る者は朽ちる事無き大樹の膝の下にて『自然と調和』し共に世を過ごし、或る者は獣を伴侶とし生きる一方『獣と人を受け継いだ』子供を産み落とした。

 或る者は『終わりなき命』を求めて禁忌に明け暮れ、或る者は神の光さえ届かぬ『昏き水の底』に安寧を求めた。

 或る者は己の弱さを悟り『物の具を産み出す』事で力を求め、或る者は『悪魔の庇護』に魅され生け贄を捧げ続けた。

 或る者は肉体の束縛を離れることで生き永らえ、或る者は『瘴気を喰らい』未曾有の一つと成った。

 或る者は、或る者は、或る者は――


 しかし、その一方で創造の力を使役せしめる者は己の手の届く限りにおいて人々を庇護し、その力を享受した。

 国を纏め、人々を統べ、その命ある限りにおいて人の為に費やした。

 そうして神の子に貢献した者は神の御業にて天に召され『純白の翼』を戴き、神に仕えた。


 未だ災厄は顕在している。

 故に何れ、或る者は安息の地を求め、世を流離うだろう――”


 ・

 ・

 ・

 ・


 インストール作業の待ち時間に流れた映像はそこで終わり、リピートに入った。

 その画面を無言で眺め、そして彼は首を傾げ一言。


「発表するコンセプト、間違ったんじゃないかねぇ?」


 思わずぼやいてしまった。しかしそうぼやくのも仕方がない。

 何せこの世界初のVRMMO《Imagination Creation Online》、通称ICOはタイトルの通り『想像を創造に』がコンセプトだ。陳腐だとか安直だとかそう思う者もいるだろうが、そんなことは殆どのゲームプレイヤーには些細な事でしかない。

 VRMMOというゲームプレイヤーの夢の到達点が実現したことに対する事もあるだろうが、最も注目を集めたのはその自由性だ。

 そう『創造システム』の事である。

 ゲームプレイヤーなら誰しも一度は思ったことがあるのではないだろうか。自分で魔法を、技を創りたい、と。勿論、ゲームプログラミングの知識を有してる者やそれに準ずる者は可能かもしれない。だが、それが出来るのはほんの一握りであって大体のゲームプレイヤーでは出来ないことだ。それに仮令知識があろうと自分でわざわざゲームを作ったり製品であるソフトを改造してまでやろうと思う者は少ないだろう。

 想像するばかりで現実に出来ないことにはさぞもやもやとしたに違いない。特に今年度に入っても未だ手の疼きが止まらない者や、秘された目が開眼しない者等にとっては血反吐を吐く思いだったのではないだろうか。

 しかし、その葛藤渦巻く思いがICOでは解消できる。


 ICOのソフトは初回販売の十万本を完売させ、またICO推奨スペックのパソコンがバカ売れしたのは言わずもがな。

 購入に成功した者がこの上なく昂ぶり血圧で倒れ、救急搬送されたのはネットでのネタ話だ。


 だというのに、だ。

 プロローグ映像では創造システムは副産物のような立ち位置にいる。どちらかと言えば種族面のアピールが激しい。

 何故imaginationかcreationのどちらかをRaceに変えなかったのかと、そういう意味での先の言葉だ。

 まぁ、考えてみればオンラインゲームなんてものは種族や職が多いのは何時もの事。

 だからこそ、誰しもが考えたが届かなかった創造システムを宣伝したのかもしれない。

 実際、ICOのコンセプトも厳密には間違っていない。このゲームのもう一つの魅力は種族から更に派生していく膨大な数の種族なのだから。


「とまぁ、そんな批評家の真似事はその程度にして、と」


 インストール作業はまだ途中だが、彼はVRメットを被り、耳元近くにある電源を入れる。

 徐々に視界が揺れ――


 ――ようこそ《Imagination Creation Online》の世界へ


 白一色の世界に立っていた。

 挙動不審さながらにあたりを見渡すも、出口も何もない。

 次に体を見る。

 手を握り、頬を抓り、呼吸で空気の流れを感じる。

 本当にここは電脳の世界なのかと疑いたくなるほどにリアル。


 ――プレイヤーアカウント作成画面に移ります


 どこから聞こえてくるのか。

 無機質な女性の声はそう述べ、次の瞬間目の前に青白い画面が映しだされる。突然のことに反射で拳を突き出してしまったのはご愛嬌。顔を赤くしつつも「他の奴らも同じようになっているに違いない」と勝手に完結し、ようやくその画面の内容に目を向ける。


 この流れで解るだろうが、インストール作業中であってもプレイヤーアカウントであれば作成が可能なのだ。

 その為、膨大なインストール時間の潰しとしてここにいる。


 ――プレイヤーネームの記入


 それ以外には下に空欄があり、カーソルが点滅を繰り返している。


「プレイヤーネーム、ねぇ……」


 名前、名前だ。

 ゲームでの名前なんて規則も法律もナッシング。流石に下ネタほか暴力的な名前は警告が来るだろうがそれに目を瞑ればなんでもあり。

 人によっては「あああああ」といった類の名前を記入している者もいるのだろう。

 しかしながら彼はそういった名前を用いることにやや抵抗がある人間で、一通り迷った挙句最初に記入したのは『高鷺 秋』、マイネームである。


「いやいや、何をまたプライバシーの大衆公開しているんだか」


 まぁ、当然没である。

 何が悲しくてネット詐欺の多いこのご時世で個人情報の無料配布をしなくてはならないのか。

 とはいえ、名前が思いつかないのもまた事実。いざ、名前を、と思った時にポンと出てくれないのは何故だろうか。

 思いつかないならマイネームを崩していこう、ということで、


「取り敢えずはシュウ……とはいえ、これからどう崩せとな」


 たった三文字。シュ、シウ、ユウシ、シユウ……解ってはいたがしっくり来るものがない。

 ならば連想から考える。


「秋……四季、うーむ。となると秋関連ので……ハロウィンか?」


 もはやハロウィンの正しいやり方を知っている日本人がいるのかというようなこのご時世、ゲームのイベントでどうにか生存確認ができているハロウィンを使えるなら勿論使いたいのだが、


「南瓜、仮装、幽霊、お菓子……」


 そこまで連想して溜息一つ。

 どれも使えそうにない。


 仕方ないので名前は後にするとして、秋は画面をスキップする。


 ――性別の選択


 これは男、としようとして手を止める。


「女、か……」


 先に述べておくと秋はネカマに興味は持っていない。

 女の体で色々としたいわけでもない。

 ならば何故に女の性別に興味を示したのか。

 実のところ、秋にはとある性癖がある。ああ、いや、何も夜の営みに関する嗜好だとか、幼女に興奮する性癖のことではない。

 そう、単なるギャップ好き、というだけだ。

 彼のギャップ好きは広い範囲に渡る。文系の容貌を醸し出す優男が運動において高性能であることからいかついおばさんの照れ顔まで。

 それを踏まえて、女というワードに着目すると、


「戦えなさそうな少女が実はバリバリの戦闘狂……ふむ、いいな」


 まぁ、こういうことである。

 暫く考え、葛藤した秋は結果的に「女」を選択した。

 そこまではいいが、次の画面で固まる。


 ――プレイヤーエディット


 そう、プレイヤーエディットである。

 これまた断っておくと秋はそれほどゲームをしたことがない。精々が嗜む程度。

 プレイヤーも男ばかりでエディットもいたって適当だった。

 だが、しかし。

 これはVRMMOである。このエディットで仕上げた体は自分の体になるのだ。

 まともにプレイヤーエディットの経験もないのにここで、しかも女のエディットをしなければならないということに秋は顔を引き攣らせる。


 因みにプレイヤーエディットのパーツは無限である。

 目だけでも形、大きさ、色、ハイライト、瞳孔、位置、眼鏡の有無……パーツ一つだけでもさらに細かいパーツに分かれ、それでも足りなければプレイヤー自身の手でカスタマイズすることも可能だ。これで被るようならきっと両者の嗜好は似通っているということだろう。パーティーでも組めば良いのではないだろうか。それとも同族嫌悪に陥るのか。

 そんな事はさておき、さて、どうしたものかと終わることなきパーツの選別に、天啓が授けられたのは目の形のパーツが433になった時だ。


 ――創造システムの一環により、プレイヤーの姿を想像することで投影が可能です。完全な投影には高度の想像力を必要としますが、漠然とした形成には推奨できます


「何故それを早く言わなかった!?」


 思わず突っ込むも白い空間からの返答はなかった。

 だが、創造システム万歳、といったところか。流石にこれを一から作っては徹夜しても終わりそうにない。

 早速その創造システムの恩恵に与ろうとして、しかしその姿がそもそも頭になかった。

 つまり想像力で形を再現していくが、


「ギャップ、ギャップだ……」


 その結果は――


 ・

 ・

 ・

 ・


「違う、違うんだ……俺は、俺は別に、そういう趣味じゃない……!」


 懺悔するように項垂れ、ブツブツと呟く秋の前には幼げ、歳は大体十歳程度か。艶やかな黒髪を決して十年程度では足らない、地面すれすれまで伸ばした美少女、人によっては美幼女が白の薄いベールを着て立っていた。

 紛うことなき幼子である。すわ、そんな趣味が……、と思われるのも致し方なし。

 だが、これには大陸プレートを引き裂いてコアに潜るほどの深い訳があるのだ。


 ギャップを、求めすぎたのだ。


 震える手で決定し、武器画面に移る。数多ある武器の中、秋が選んだのは――大剣。男子高校生の肩幅程の幅がある、幼女が持つにしては巨大な大剣だ。

 完全なギャップである。


「時刻は……三時……」


 朝の三時だ。やり直している暇はない。詳説すると、正式なサービス開始は今日の朝十時からのため、それまでに直せれば問題ないが、この幼女の作成時間は8時間。今からでは今日の十時までに間に合う気配がないし睡眠時間をとらないままにゲームをするというのも健康上よろしくない。

 ……というのは建前に近かったりする。

 この幼女を見る。

 完璧だ。見るからに最高のギャップだ。こんな虫も殺せそうにない幼女が喜々として大剣を振り回す様なんて最高ではないか。

 まぁ、要はそれなりに満足してしまったのだ。加えて、もうほかのキャラの想像力が働かない。眠さも相まってもういいやー、の心境なのだ。


 よって、秋のキャラはここに出来上がった。

 妥協ともいう。


 そして次の画面。

 一周回ってプレイヤーネームの記入かと思われたが、


 ――種族の選択


「いや、普通は最初に出るのが当然だと思うんだが……」


 種族によっては外見が大きく変わるのだから尚更に。とはいえ、人間をベースに種族の外見を決めるのであれば納得出来る話だ。


 幾つもの画面が表示され、そこにそれぞれ示された種族を見る。


 《人間》

 ・世界の大部分を占める種族。

 ・全体的にバランスを保ち、全系統の適性を持つ。

 ・《PS:創造の助長》を持つ。


 《耳長族》

 ・決して朽ちることがないという世界樹の膝下で長寿を持て余す種族。耳が長いことからそう名付けられた。

 ・魔力が高く、筋力にやや難がある。

 ・『風』『水』系統の適性を持つ。

 ・《PS:森の加護》を持つ。


 《獣目族》

 ・獣と人の愛を具現化せしめた亜人。獣の目が特徴的である。

 ・筋力が高く、魔力に難がある。

 ・全系統の適性を持つ。

 ・《AS:跳躍》を持つ。


 《海人族》

 ・日の光さえ届かない海底で安寧を過ごす種族。人の姿でありながら腕に鰭を持つ。

 ・敏捷、筋力に長け、守備に弱い。

 ・『水』『土』系統の適性を持つ。

 ・スキル《AS:海槍術》を持つ。


 《死肌族》

 ・永劫の命を求め、禁忌に明け暮れる種族。死人のような肌の色からそう名付けられた。

 ・魔力に長け、筋力、守備に弱い。

 ・『闇』『土』『雷』系統の適性を持つ。

 ・スキル《AS:死霊術》を持つ。


「これはまた、メジャーからよくわからんものまであるな」


 そう呟きつつ、この五種族から何を選ぶか。

 どうせならもう少しギャップを加えたいところだ。皆がまさかと目を見開くような……

 武器は大剣。ギャップを感じさせる為には筋力に弱い種族がベストなのだが、


「とはいえ、それでゲームが出来るのかどうか……」


 そこがネックだ。

 悲しいことにリアルではそこそこ有能な器用貧乏もゲームでは全体的に弱い、という事になってしまう。

 せめて現実の筋力がゲームに持ち越せるならどうにかなるのだが……

 しかし、ギャップにロマンを求める高鷺秋。悩む素振りをするもそれほど葛藤なく決める。


「と、なると耳長族か死肌族、か」


 筋力が低いのはこの二種族。

 試しに耳長族を選択してみる。すると、幼女の耳が長く尖り、髪の色が少し緑がかる。

 全体的に清涼感が覆い、森の徒であると思わせる。

 見方によれば精霊にも見えるのではないだろうか。


「……何か、しっくりとこないな」


 だが、何となく感じるコレジャナイ感。

 そうなると消去法で次に死肌族が選択される。

 今度は肌が全体的に白くなり、目のハイライトが薄くなった。雰囲気も一転して生気を感じさせない幽鬼的なものに。


「……いいな」


 グッド。

 この、なにか秘めているのではないかと勘ぐりたくなるような雰囲気。

 その姿がしっくりとくると、秋は死肌族を選ぶ。


 そして今度こそ一周回ってプレイヤーネーム画面へ。


「名前、名前か……あ」


 しかし、先程は全く思いつかなかった名前もこの姿を見るとすぐにあるものを思い出した。


「南瓜、幽霊……そういえばハロウィンには幽霊の種類がいくつかあったな」


 幼女のこの幽鬼的な姿は幽霊にも見えなく無い。

 そして幽霊ときたら人魂。


「ウィル・オ・ウィスプ、では長いからウィル、か。よし、いいか。いいだろう。いいとしよう」


 生憎とジャック・オー・ランタン、つまりジャックでは男名前になってしまう。いや、女でもジャックという名は問題ないのだが。

 完全な思いつきでパッパと付けたというのに、美幼女というのはずるいもので何を付けても似合っているように感じられてしまう。


 ――続いて操作性の確認


 無機質な声が聞こえたかと思うと突然、美幼女の姿が消え、次に体が違和感に襲われる。

 自分の体ではないような。そんな違和感。よく見るとどうも天井が高くなったように感じられる。手も、こんな幼げだっただろうか。ついでにこれ程短かっただろうか。

 そう思い、目の前を見て――愕然とする。

 秋の目前には何時の間にか鏡が置かれていた。そこに映るのは先程の幼女。白のベールから一転、冒険者らしいレザー等の装備を着込んでいる。仮令魔法職? 魔法種族? であろうと、大剣を選んだ為に初期装備がそうなったのだろう。

 その幼女が愕然とした表情をしてこちらを見ている。


「……あ、ああ。いや、そりゃそうか。これはプレイヤーなんだから俺の姿であるのは当然で……うぁぁ……」


 納得しようとするもやはり恥ずかしさで赤面してしまう。それと同時に鏡の向こうの幼女も顔を赤らめて悶える。その姿は実に可愛らしい姿だ。……自分でなければ、だが。

 声も男の声から幼げな可愛らしい声に変わっていることでより赤面してしまう。


「うぁ、駄目だ。寝よう、そうしよう。きっと眠いから恥ずかしいと思ってしまうんだ」


 理論も根拠もなく、そう結論づけた秋はちょうど良くプレイヤーエディットが終わったことに感謝しつつ、現実に戻ると枕に顔を押し付け、窒息するように眠った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 種族設定結構ハードコアだな、そして主人公結構やばいやつ、声まで幼女になったことで変態(紳士)認定しないの代わりに変態(紳士)達大群を引き寄せる...南無...
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