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都合よく解釈しても宜しいでしょうか?


「私の都合よく解釈しても宜しいでしょうか?」


分かってほしい。そう願いを込めて、一層キツく久司さんを抱きしめる。


久司さんのドキドキした心臓の音が聞こえる。きっと私の音も聞かれている事だろう。


ギュッ


久司さんの腕の力も強くなった。私達は抱き合っている。


「私にこうされるのは嫌ではありませんか?」


「…。」


そんな事答えられない。〝嬉しい〟って言えるわけない。


「…無言は肯定と受け取りますよ?」


「…。」


はい。心の中でなら言える。


「少し、質問させてください。私は人の心を読むなど、そのような能力は持ち合わせておりませんので。…無言は肯定。即ち〝はい〟で、違うのでしたらおっしゃって下さい。」


「…。」


「今のは〝はい〟で宜しいですね?」


「…。」


「…私はこの家から出ていかなくても良いですか?」


「…。」


「離婚はしなくても良いですか?」


「…。」


「愛子さんの…夫のままで良いですか?」


「…。」


「愛子さんのお側にいても良いですか?」


「…。」


「…愛子さんは私の事が…好きですか?」


「…!!」


無言は肯定。だからずっと黙ってた。そしたら、まさかそんな事を聞かれるなんて。


思わず、久司さんの胸に寄せていた顔を上げてしまった。


きっと真っ赤になった私の顔が久司さんの目に入ってる。


恥ずかしい。〝子供が〟って思われてからかわれるかもしれない。


「否定しなくて良いですか?無言は肯定ですよ。私は自分の都合よく解釈しますから。」


「…。」


恥ずかしい。けど、否定は出来ない。私の誰にも見せられない滑稽な顔を久司さんが見ている。なんか、悔しい。


「私は、愛子さんの事が好きです。ずっとお慕い申し上げておりました。」


…やっぱり久司さんは大人だ。高飛車な私の下手に出てくれる。


「愛子さんも同じ気持ちだと思っても良いですか?」


「…。」コクン。


真っ赤に染まっているであろう顔をこれ以上見られたくなくて、頭を下げた。

…それは後の言い訳で、せめてもの…


今の私が出来る、最大限の愛情表現だ。


「ありがとうございます。質問は以上です。」


すごく満足したような久司さんの声が、聞こえた。


「…愛子さんは、とてもかわいらしい女性ですね。」


!!勢いよく顔を上げて久司さんの顔を見る。


嬉しそうに笑うその顔を見て、愛しさと、それ以上の気持ちが燃え上がる。


「バッ、バカにしてらっしゃいますね!?」


「?なんでそうなるのですか?」


「〝かわいい〟など、小バカにした言い方です!!」


バカな子ほどかわいい、とか。人を下手に見てるから出る言葉だ。〝かわいい〟は。


私は久司さんが好きでも、下手には出れない。何があっても、私が上。悲しいけど…性格だ。


愛子さん!貴方の息子はももちゃんに〝かわいい〟を連発してますよー(心の中で)(〃艸〃)

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