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どうしたいですか?


「…愛子さんはどうしたいですか?」


…私?


「…質問を変えます。愛子さんはどうしたらいいと思いますか?」


突然問われて驚く。久司さんを引き止めるために言った言葉で、そんな事は考えていなかった…


「結仁の養育が難しいようでしたら、私が一緒に連れて出ます。」


え?


「こ、困ります!」


お父様が亡くなって、久司さんもいなくなって、更に結ちゃんもなんて!


ずっと下を向いたままで喋っていた私は久司さんの方を向いて立ち上がる。


あ、


また、久司さんが傷ついたような…自嘲した笑みを浮かべていた。


「最後なので、年甲斐も無く言いますが、結仁が羨ましいです。」


え?


「会長に期待され、愛子さんから思われ…羨ましいです…」


な、何を…


「結仁は存在するだけで、愛子さんに気にかけて貰って、お料理もされた事のない愛子さんを動かした…初めての料理を結仁のためには作れたのですから…」


久司さんが泣きそうな顔で喋っている。


どうして…?


「結仁は喋らなくても、愛子さんに話しかけてもらえて羨ましいです。」


え、え?


「結仁は出ていくと困ると言われて羨ましいです。」


―――それって…。


ど、どうしよう。どうなっているのか分からなくて…どうしたらいいのか分からなくて…


「…こんなにも子供が駄々を捏ねるようなことを言ってしまい、恥ずかしさでいっぱいなので、もう愛子さんには顔向け出来ません。」


「ええ!?」


久司さんが私に背を向ける。言葉はいつも通りビジネス風なのに…いつもより切羽詰まってて、早口で…照れてる――?


「…どこの情報を鵜呑みにされたかは分かりませんが、私に他に思う女性など、おりません。」


!!


「恥ずかしい話ですが、会長の送迎で中学生の愛子さんを拝見して以来、私の気持ちは変わっておりませんので。」


それって…


「ロリコンと、気持ち悪いと、(ののし)って下さって結構です。その通りのことをしているのですから…」


それって……


「すみません。最後だからといらぬ事まで喋りすぎました。結仁の件は考えておきますので、失礼します。」


久司さんが扉に手をかける。


久司さんにここまで言わせて、私はまだプライドを守るの?


もう充分じゃない。ここで、私が勇気を出しても、私のプライドは傷つかない。


きっと、それ以上に…―――!!

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