大好きなあの娘 陽子side
みっちゃんは可愛い。
勉強もスポーツもできて、誰にでも優しくて正義感が強い。人気者の表の彼女が私は好き。
でも、表以外の顔はもっと好き。
綺麗な髪をクルクル指に巻き付けながら苛立つ仕草。私を責め立てる言葉。
行動だってそう。
朝ごはんは洋食派、夜は和食。ゲームが好き。お風呂で一番始めに洗うのは左手で、寝る前にミルクティーを飲むのがお気に入り。
挙げ始めたらキリがない。
みっちゃんのいいところ。
私しか知らないことだってある。
例えば、左から2つ目の引き出し。私とそれをするときのオモチャが入ってる。でも、一番左端には彼女が興味本意で買ったオモチャ。もちろん、私が使ってもらったことなんて1度もない。
洋服はワンピースだけで50種類強。
夏物はクローゼットの右側、冬物は左側。
前の彼にもらったペンダントは、勉強机の一番上の引き出し。ベッドの上に置いてある黒猫のぬいぐるみは、3人目の彼が駅前のゲームセンターで取ってくれたもの。
……知ってるんだよ?
本当は、攻められるのが好きなんだよね?
彼女とは違う、自分の部屋を見渡す。
壁には彼女の写真。
これは、14歳の誕生日パーティー、これは初彼とのキスの時、これは文化祭の打ち上げ。
5人目の彼はこの頃からずーっとみっちゃんを狙ってたんだよ?結局、2週間で別れちゃったけどね。
壁一面、みっちゃんだらけだ。アルバムを手に取る。
小学4年生から7年。単純計算で2555枚の彼女の写真がたまりつつある。もっと多いかも。
みっちゃんの一番可愛いところは、こうしてたくさんの私の目があることに一切気付いてないところ。
もっと疑ってもいいのにね。
あっ!ほらもうすぐお風呂の時間。
女中さんに指示してる。
見守っててあげるから。
ずーっと仲良くしようね、みっちゃん。
どちらがこわい娘だったのか。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。