モノローグ&第一章 「出会い」それは運命の分岐点
日常から非日常に変わった主人公の生活がどうなるのか、果たして話の中に恋愛はあるのか...…………
〈モノローグ〉
『使い主』それは、『特定の異形のもの=使い魔』を使役するものの事を云う。使い魔の種類は悪魔・天使・妖怪の類であり、使い主は使い魔と契約をしないと長く生きることが出来ない。契約をしない使い主は平均30歳で命を絶つ。
そんな世界で生きている人たちの話。
アイツはもういない。親友で使い主のアイツはもうこの世にはいない。
親友の『高津 秋尾』が言っていた「人のために!生きているもののために手助けをする!それが俺の教訓だ!」それを胸に、生きている。
気づけば秋尾が居なくなってから2年が経っていた・・・。
種が普通の人間である僕『居垣 優』は何もできないダメ人間。意気地なしの僕は秋尾の姿を見ているしかなかった・・・。そんな僕が、ある日を境に人生が180度変わった。これは、そんなお話・・・
【第一章「出会い」それは運命の分岐点】
高校に入学する前の春、4月のあたまで雨の降る夕方・・・
雨が降っている日にいつも聞いていた言葉がある。「雨は憂鬱だ。心が暗くなる。でも、これは誰かが泣いている証拠だ!」秋尾が言っていた。何も知らせずに、言わずにいなくなった秋尾が言っていたことを、ふと思い出した。「はぁ…今日は、夕飯何にしようかなぁ…」僕は夕飯のメニューを考えながら雨の帰り道を歩いていた。そのときは何も感じなかった。ちょっとしたことで、すべてが変わる分岐点になることを…
アパートの近くまで来ると、女性が空き地の前で倒れていた。その女性は全身傷だらけだったが、かすり傷が多いだけで深い傷はなさそうだ。『人が倒れている・・・怖い、怖い、怖い』そう思っていたとき、「人のために!生きているもののために手助けをする!」と秋尾の口癖を思い出した。そして優は勇気を振り絞り、急いで倒れている女性に駆け寄った。
「大丈夫ですか!?・・・しっかりしてください!」声をかけると意識があるようなので、僕は声をかけながら家に連れてきた。そう、いつも秋尾がしていたように・・・
僕の家は親がいない。親は子供のころに寿命で死んだらしい。亡くなったのは30歳だったと聞いている。親についてよく「寂しくないか?」と聞かれるが、寂しくはない。親のことは覚えていないから、思い出すことも出来ないからだ。そのため親の知り合いらしい、アパートの大家さんが僕の育ての親。3歳の時に引き取ってくれたそうだ。今は中学の時に、反抗期用にと部屋(家)を用意してくれてからその部屋に住んでいる。だから、実質一人暮らし。あまり何もない部屋。必要最小限のものと小説や学校の教材や教員・医療書など本の山がそこら辺にあるだけのシンプルな部屋。
部屋に帰ってきた僕は、女性をベットに寝かせて治療をした。優は、将来何があっても大丈夫なようにたくさんの事を勉強していたためある程度の治療ができた。
「とりあえず、できる限りの処置はしたけど女性だし余りよろしくないよなぁ…で・でも服の中とかは出来てないから、あまり深すぎない怪我ならいいんだけど…」優は、心配そうに独り言を言う。そこから眠くなり僕は寝た。それが、家で過ごす最後の夕方だった。
――――そして夜――――
「ん・・・うぅ~ん・・・はぁー寝ちゃってた・・・」優が不意に起きたとき、「おはよう!」と誰かに声をかけられた。「おはよう…ん?」僕は違和感を感じながら反射的に挨拶をした。だが挨拶の受け答えは、普通はない。なぜなら僕は一人暮らしだから・・・。優は、そう思いながら目の前を見るとそこには、スタイルのいい女性がベットの上に仁王立ちしながら微笑んで優を見下していた。驚いた僕は、飛び起きてベットから離れ混乱しながら聞いた。「だ・・・誰?何、してるんですか?・・・あっ!怪我は大丈夫ですか?・・・」怯えながら聞くと、女性は強い声で答えた。「私の名前はバルギ・ダグザ。ここで何してるかは分からないが、人間界には目的があって来た。」「は・・・はぁ・・・?」「怪我は平気だ。私は悪魔だから治りが早いんだ。」と目を丸くして不思議そうに見ている優などお構い無しに、女性は話し続けている。
その時、優はふと思った。悪魔とは...........「えーーーっ! あなた悪魔なんですか!?」驚いた優は驚愕した。悪魔がいること、何より自分に悪魔が見えていることに。普通の人間は、妖怪や悪魔や神様などは見えるはずはない。だからこそ不思議でおかしいと優は頭が混乱した。そこへ更に耳を疑う様な事をバルギが言った。「ねぇ。唐突ですまないのだけれど………君、私の使い主になってくれないかなぁ?」と。優は驚き大声で「はぁーーーーーーーーー!」と叫んだ。
そう、これがバルギと僕が出会ったお話。そして運命が変わったある1日の始まりに過ぎないお話だ。
彼らの今後に乞うご期待!!