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「うおっ!!ガンダルガじいちゃん!!」
彼の隣の席でリャンメンをすすっていたのは、元冒険者の老戦士、ガンダルガであった。
先ほどまで一緒に飲んでいたブランが勤める老人ケア施設『太陽の家』の入居者であり、魔法使いアリッサの喧嘩相手でもある人物だ。
「こんな所で会うとは偶然じゃなあ!!」
そう言うと派手な赤いシャツを着た老人は、筋肉のしっかりとついた巨体を揺らして愉快そうに笑った。
「あ、すんません!!注文っすよね」
店主の視線を感じたナップは、リャンメンを一つ注文すると、再びガンダルガの方に向き直る。
「じいちゃん、こんな時間に何やってんだよ??」
「そんなの見りゃわかるだろ。うまいリャンメンを食べに来とるんじゃよ」
そう言うとガンダルガは、うまそうに器からスープをすすった。
「なになに??ここそんなにウマいの?」
「ああ。そこにいる店主ホイマンは、第一線からは退いたが、知る人ぞ知るリャンメン作りの達人でな。今は道楽でこの屋台をやってるんじゃよ」
「へぇぇ!!」
ナップは改めて、黙々と麺を茹でている店主に視線を送った。
そう言われてみると、どことなく貫禄があるようにも見えてくるから不思議である。
「だからこの屋台も、毎月第一週と第三週の水の日にしか出さないと来ている」
「うわ!!俺ってばかなりラッキーだったんだ」
「まったくじゃ。せいぜいありがたく食うんだぞ」
いかにもらしくうなずくガンダルガを見ていたナップは、ある重大な事に気がついた。
「そういや、じいちゃん。こんな夜中に外出してていいの?」
「いいわけないじゃろ」
真顔できっぱりと答えた後、老戦士はそのおもてに、ニッと笑いを浮かべる。
「夜勤の職員の目を盗み施設を抜け出してまで食いにくる価値が、ここのリャンメンにはあるということじゃ」
「へい、お待ち」
ちょうどその時、ナップの前に、あたたかな湯気をたて、食欲をそそる香りを放つ器が静かに置かれた。
ズズズズズ……
「うおっ!!これウマっ!!」
ナップは空腹で仕方ないというわけではなかったにも関わらず、ものすごい勢いで器の中身を平らげていった。
「ふうっ」
あっという間にスープまで飲み干したナップは、満足そうな顔をガンダルガに向けた。
「じいちゃんの言った通りだ。これはヤバいね」
「ヤバい?何か問題があったのか??」
「いやいや、ヤバいくらいウマいってこと」
「そうじゃろう、そうじゃろう。どうじゃ、ビールでも飲むか?」
「やった!!ありがたくいただきま〜す」
気を良くしたガンダルガのおごりで、ナップは、今日二度目のビールにありつけることになった。
「ところでな、小僧」
瓶を二本空けたところで、不意に老人は真面目な顔つきになってナップの方を振り向いた。
「お主、冒険者になる気はないのか?」




