8 満を持して、変態は森を行く
一年半ぶりの更新。
社畜っていて忙しいので、不定期で気ままに更新していきます。
こんな拙い文章でも読んで頂ける方がいらっしゃれば嬉しいです。誤字報告やメッセージがあれば、励みになります。宜しくお願い致します。
奴のおかげで、体力的に回復、且つ、ステータスがアップした分、それとは引き換えに大事なものを失った気がするが、いつまでもめげてはいられない。
そんなこんなで、目の前には大樹海が広がっている。
言うほどサマラタウンから離れていない。
草原を街道沿いに進めば、徒歩で30分位のところである。
サマラ樹海の前には、"この先危険"とか"命を大事にとか"ありきたりの看板があるわけだが、何故かその脇には"捜索するワシらの身になれ"だとか"お前らの捜索にはワシらの税金が使われとる"とか世知辛いものまで掲げられていた。
え？ここってもしかして自殺の名所なの？なにそれ、怖い…
「でもなぁ、薬草の一つでも回収していかんと、これから先も奴の唾液プレイをする羽目になるし。それだけはなんとしても避けねば」
じょうおうありんこが期待する様な目で俺を見ているが、無視だ。
では、早速サマラ樹海に乗り出そう。
俺の本当の冒険はここからだ！まだ見ぬ武器が俺を待っている！
と思って、樹海に踏み出した。
(30分後)
「はぁはぁ、この森歩き辛ぇよ」
木々が生い茂っているため光が差し込まず、中は薄暗くジメジメしている。大木の根によって地面が隆起していて、凹凸が激しい上、地面だと思ったところの大半は泥濘である。
「どこに薬草あるんだろ…」
変な称号のせいで、情報屋で情報が買えなかった上に、道具屋で方位磁石すら買えていない時点でヤバいのではないだろうか。
今更だが、俺ってやっぱり詰んでいるな。
ふと、入口の立て看板を思い出してしまった。
死んだらごめん。地元の人。
奴は、いじけているのか俺の後ろでソッポを向きながら付いてきているだけである。
取り敢えず、前進あるのみ。
(2時間後)
森の中が更に暗くなった気がする。
もう、夕方か。
出くわすモンスターは、毒々しい見た目のキノコ型モンスターのキノホーシ、トゲが鋭いデビルアザミ、気付いたら大量に蔓が延びてくるプエラリアモンタナ、目が血走っている吸血ラビット、三匹一セットで群れて現れるハイエナウルフ、寄生ヒル…………ここで出現するモンスターは、今までとは違い、動物性のものから植物性のものまで多種多様なようだ。
プエラリアモンタナだけは苦戦した。まぁ、現実世界でいうただの葛そっくりなやつなんだけどね。
みんなは知っているか？葛って夏前とかに急激に延びるんだぜ。
新幹線の高架下とか土手とかによく生えているけど、地べたを再現なく蔓が延びて、柱やフェンスなどに一度絡み付くと何処までも登って行く凶悪な植物なんだ。
そして、このゲームでは、そんな凶悪な部分をむき出しにして襲いかかってくる。
鞭で蔓を相手にするのは無理だろ。身体中巻き付かれたときは死を覚悟したね、マジで。
流石に不味いと思ったのか、奴が蔓を噛み切って、本体の根を掘り出してとどめを刺してくれた。
例の達筆な看板で「貸し１」と出していたが無視だ。
ここの森は、敵が多いからレベルが上がりやすいな。
そんな攻防を幾度なく繰り返していたら、気付けばもう12レベルだ。
スキルも２つ増えた。乱れ打ちと風鞭。
乱れ打ちは、10秒間通常鞭攻撃より素早く相手を打つことが出来るので、SPさえもてば硬い敵や群れる敵に有効である。
風鞭は、素早く鞭を振ることで発生する風圧でダメージを与えるもので、鞭本体が敵を打ち付ける前に敵に着弾して切り裂いてくれる二段攻撃である。
本来、鞭で対応が厳しい蔓野郎相手にも使い方によっては、蔓を切り裂いてくれる有能さ。
勿論、SPがもてばの話である。
SPが切れかかる度に、顔をニタニタさせた奴がどや顔で近付き、唾液垂らしプレイをしかけてくる。
バフとしては有能なのだろう。だが、その度に俺の中の何かが音もなく崩れ去っていく…
早く代替の回復手段を見付けないと、俺は駄目になってしまう。
ちなみに、現状のステータスはこんな感じ。
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称号・名前："真性変態" IZURU
レベル：12
攻撃力：350(+50)
防御力：250(+25)
HP：1500/1500
SP：350
移動速度：5.0km/h
スキル：投擲(使用SP:5)
乱れ打ち(鞭限定スキル 使用SP:7)
風鞭(鞭限定スキル 使用SP:12)
特殊効果：他プレイヤー・モブに性的嫌悪を与える(+35%)
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おかしい。また、少しパーセンテージが増えている。
このままでは、街に入ることも出来ないのでは…
今度から忙しくても月１では更新していきたい…
