5 それ、俺のことなんだぜ………言えないけど
日常パートです。
思い付きで文章書いているので、後々の展開次第では何回か改稿します。
「出流、早く起きて学校行きなさい!」
母さんの叫び声が聞こえる。
寝てないんだけどね…
昨日のゲームのショックがでかすぎて眠れなかったよ。
ログアウトして、掲示板のスレ見てたら、
【NVO内に】NVOについて語るスレ5【変態現る】
というスレタイが出来てた。
俺じゃない誰かの事だと願いながら開いて見ると、誰かがスクリーンショットした画像が載せられており、御丁寧に顔にモザイクをかけられた褌一丁姿の男と亀甲縛りされた蟻が映っていた。
あっこれは俺だ………
最悪だ。ネットに拡散されていた。
レスには、
15 名無しのモーニングスター使い "マジで変態だwww"
(うるせえよ)
17 名無しの弓使い "え?これ、コラじゃないの?マジ?"
(事実だよ、糞が)
18 名無しのククリ使い "これ、じょうおうありんこじゃね?*3つのレアじゃん。これ、テイムしたの?すげぇ!!!でも、変態"
(最後のいらねぇよ)
22 名無しの槍使い "確かに、すげぇな。運の無駄使い。そして、変態"
(悪かったな)
30 名無しの薙刀使い "ホント、怖かったです…グスン(T^T)"
(もしかして、あの時のお姉さんですか?!すみません
!!)
他にも沢山レスがあったが、全て"変態"の罵倒で埋まっていた。
悪目立ちである。
ある意味、このゲームで一番目立っているかもしれん。
全然嬉しくない。
そんな事があり、寝ようとしても頭に変態というワードが浮かび、眠れなかったのである。
家を出ると、丁度隣の家のドアが開く。
だけど、無視だ。
寝不足でアイツの相手は面倒だ。
出来るだけ反対方向に視線を向ける。
あくまで気付いてない素振りをする。
イヤホンつけて音楽を聞けば完璧じゃね?
よし、それでいこう。
俺の演技を以てすれば、あやつを出し抜くなど余裕である。
「ちょっと、何気付かないフリしているのよ。バレバレなのよ。」
無視だ、無視。
俺は、音楽聞いているから聞こえませ~ん。
「シカトぶっこいてんじゃないわよ」
そのセリフとともに、後頭部をカバンでしばかれる。
寝不足だったので、一瞬意識が飛びかける。
死ぬかと思った。
車通ってたら轢かれてたわ。
「あぁん?」
頭を押さえながら、怒りをこめてふりかえると。
そこには、般若面した女が仁王立ちしていた。
こいつが幼なじみの九鬼妖子だと知っていなければ、今頃俺はチビってたかもしれん。
如何にもな名前して、実のところも恐ろしい女である。
やっとこっちが気付いたことに満足しつつも、シカトした件についてつっかかってくる。
「どうして、シカトすんのよ。おはようもいえないの?バカなの?死ぬの?」
散々な言われようだ。
「何が悲しうて、朝からお前の相手しなきゃいけないんだよ。疲れる。」
「酷い!一緒に学校行きたかっただけなのに…」
さっきまで怒ってたのに、一気にしょんぼりした顔になる。
そう、こいつはいわゆるツンデレってやつだ。しかも、自分でいうのもアレだが、俺はこいつに好かれている。
スタイルもいいし、可愛い方ではあるが、如何せん性格が怖い。何考えているかわからんし、ヤンデレ気質でもある。最近、母親経由で外堀から埋められている感じがしてならない。
それに、俺には好きな子がいるのでご遠慮こうむる。
ただ、俺も面倒見がいいから、放っておけないのよね。あと、世間体もあるし。
「仕方ないなぁ、早くいくぞ」
「なんだかんだで面倒見がいいところが好き!」
(うるせえ)
「ツンデレなんだからニヤニヤ」
(お前が言うな)
「そういえば、出流がやりたいって言ってたゲーム、私も買おうっかなぁ」
「ちょ、マジでやめて!俺の自由時間まで奪う気か?!」
「むぅ、絶対買うもん。」
「まぁ、数多くキャラクターから俺を見つけだせないだろうけどな!」
「絶対、見つけてやるんだから!」
「ハイハイ」
(この時の俺を殴りたいと後々の俺は思うのだが、それは別の話)
学校に着くと、級友達が近付いてくる。
「よぉ、出流。ヌーヴォかったんだって?俺も買ったから垢教えてくれよ。一緒にやろうぜ。」
「え?出流買ったの?どうだった?面白い?」
よく絡む力石丈と飛鳥ジュンがNVOについて話しかけてくる。
名前がボクシングの申し子みたいな奴と悪魔の申し子みたいな奴である。
「あぁ、買ったよ。めっちゃグラフィック良かったよ。ただ、やっぱり最初は武器収集は難しいかも。しかも、町の外出た途端に追い剥ぎにあったよ………」
「あちゃー初狩り(※初心者狩りのこと)いるのかよ。俺は運良かったんだな。」
「掲示板みたら、変態も出たらしいなw 褌一丁姿で町中でモンスターとSMプレイしてたらしいぜwww」
嫌な汗が止まらない…………
誰にも言えないけど、それ、俺なんだよな…………