とりあえず神様の話は長い
2話連続投稿です
ここまで来てようやくここに来る経緯に納得がいった。
でも、何かできることか。死んでしまったから何もできないが、もう一回生き返れば何とかなるだろうと思いたい。
「それでは、生き返らせてください」
「それはできるけど、できないんだよ…ゴメンね」
「ん?できるけどできない?」
「地球で君は一度死んでる、だから生き返らすことができない。違う地球のない世界なら生き返らせてあげられるけどね」
「一回死んだ世界ではもう一回やり直せないということですか。そうですか」
「諦め早っ!粘られるよりはいいけどねぇ」
「じゃあ、違う世界に生き返らせて下さい。まず、どんな世界がありますか」
「うーん何処がいいかな、地球に似てるとこがいい?それとも全く似てないとこがいい?」
「できれば地球に似てる所がいいです」
「了解した、検索をかけてみようか」
いつの間にか、創造神(自称)の前に半透明のキーボードと画面が現れた。
俺が反対側から見てもスクリーンを前にした神が見ている表示が見える。
おお!すごっ!反対側にいながらキーボード打ってる神と同じ画面が見れるなんて!ハイテク!
興奮してる間に次々と検索結果が表示されていく。酸素濃度や地球と似た物質がある所を検索にかけたらしい。
≪類似惑星および類似世界検索: 地球 ≫
≪検索中……今しばらくお待ちください…≫
≪検索完了…四十八件が類似条件にヒットしました…≫
≪類似惑星:ムンヒリット星、ノランド星・・・クルリット星…以上四十六件がヒットしました≫
≪類似世界の惑星:ウィンクル星、レラック星…以上二件がヒットしました≫
おお!聞いたことのない惑星しかない!これこそファンタジー!
「それと、類似惑星は全部地球のある世界にあるから行けないよ」
その話はさっき聞いたから問題ない、ならば行けるのは下の類似世界の惑星のうち、二つのうちどちらか一方になる。
まだ俺の興奮は冷めないが、冷静になって二つの惑星の違いを聞かなければと落ち着きを取り戻す
「では、ウィンクルかレラックのどちらかの星なのですね」
「そうなるね、でもウィンクルはお勧めしないかな…割と本気で」
「え、何でですか」
「もうすぐ星が終わるからだよ…そんなところ行きたくないでしょ」
「終わるとは何ですか、もっと具体的にお願いします」
「あと十年ほどで星の寿命なんだよ、うん、色々星の終わり方があるけど結局生物が生きていけない状態になっちゃうから」
「あ、はい。そこはやめておきます」
誰が行きたいんだよそんな星、余命十年って言われてるのと同然じゃん。
そんな星に行っても意味はないと思ったので即行にウィンクルは諦めた。
レラックがまともな星であることを願うしかない。
「それで、レラックの方は…」
「そうだね、比較的安全な星だよ。まだ寿命来てないし」
「ならいいんです、そこにしましょう」
「でも、地球ほど安全じゃないよ?むしろ結構危ないと思うよ、あんな優しい惑星地球しかないよ」
「それは、望むところです!」
「(うーん、説得しても無駄になりそうだから諦めるか…)」
最後になんか言っていたが聞こえなかったので、まあいいや。
そして惑星の要項も聞かずに即決しまってしまったが、とりあえず世渡りしたことのある人などそんなにいないだろう。
さっきまで落ち着いていたが、またもや興奮してしまう。
「レラック星は地球とは違う点が多数あるんだけど、まず一番大きな違いは魔法があることだろうね、それt…」
「魔法あるんですか!?早く行きたいです!」
「まあ、そんな焦ることはないよ。説明を聞いてからでも遅くないから落ち着いて」
魔法と聞いただけで、終始にやけ顔が止まらない。俺の興奮は最高潮だ。
小学校の頃は図書館に通って、魔法などファンタジー小説を読んでは自分だったら何の魔法を使えたら便利か妄想していた。
このまま興奮したままでは早とちりして肝心の所を聞き逃しかねない。
せめて表情だけでも冷静にならなくては。
よし、深呼吸ひぃひぃふぅ
あれなんか違う気がする、まあ多少は落ち着いたしこれで大丈夫だろう
「では、続きをどうぞ」
「お、おう」
創造神の顔が若干引きつっている、俺が興奮しすぎたせいだろうか。
そんなことより話の続きを聞きたい
元々俺が中断したようなものだが
「魔法がある他に、魔石を体内に貯めた魔獣がいたり、色々な人種がいたりするよ」
魔獣、魔法は聞いている限り、ファンタジー小説と大体似ている。色々な人種かぁ、エルフ、ドワーフ、獣人種、竜人種もいたりするのだろうか。
「魔獣などは種類にもよるけど、街に近いほど弱いよ。時々ドラゴンなどの場所や時を選ばない例外もいるけどね」
「分かりました、では町で暮らせば危険は少ないんですね」
「うん、でも君には最初は街じゃなくで森に住んでもらうけどね」
期待の斜め上に行く答えが返ってきた
「はぁ!?何でですか、普通に街でいいじゃないですか!森ってすごく危なそうな響きしてますよ!」
「私が送る森は大体町の近くの森だから結構安全だと思うよ。森のほうがいい理由があるんだよ、アラタくんがいきなり町に入って行って字も読めない、話せないじゃ怪しすぎるでしょ、それに町に入れるかすら怪しいし」
それと、戦えない、体力もないなどと指を折りながら俺が出来ないことを並べていく。
でも俺は思った大抵そんなスキルがあるのではないかと思ったが、しかし現実は甘くなかった。
「えぇ!?そこは大抵そんなスキルがあるじゃないですかぁ!」
「うぅん、作れないことはないけど残念ながらそういうのはないんだ。私だって色々な苦労して…」
そう言いながら、苦労話を神は話し始めた。
結構長く話すかと思っていたが、意外にも十分弱で終わった。
そんな苦労せずともスキルが無いなら作ればいいじゃんと思ったが、そういう問題ではなかったらしい
「スキルがないなら作ればいいのでは?」
「そんな、神様がそんなの作って、使っていたら怠けているのと同じだから、苦労してる人が可愛そうだよ」
なんとも人思いな神様である
「私はね、最初は暇つぶしで本読みながら言語習得してたんだけど、最近はやる事無くなっちゃって色々な世界の言葉覚えるのが本業みたいになってたんだよ。
だから、言葉は自分で覚えてもらうことにしたんだ、(私だけ苦労するとか癪だし)それと森だと魔物もいるし戦闘訓練にもなるからいいと思うんだけど、どう?」
おい、今なんかボソッと聞こえたぞ
それはそれとして突然町にやって来て言葉分かりませんでは確かに怪しすぎる。
確かに人里離れた所で勉強や戦闘訓練してから町に行くことは理に適っている気がする。
ある程度喋れれば、この世界のただの田舎者に見えるかもしれない。
「でも、町で教えてもらうのはダメなんでしょうか?」
「これには理由があってね、そもそも教師が少ないから町で教えてもらうのは難しいんだよ。言葉を教えてくれる学校みたいのがないからね、戦闘訓練なんて町で教えてもらったら危機感が育たなくてダメになっちゃうんだよ。
最初から一人だと助けてもらわずに生き延びなきゃいけないから緊張感を何時も持つようになるんだよね」
「そうですか」
「まあ、本音言うと森の中で生きていければその世界で十分生きていける素養があると思っているからこその森なんだけどね」
「おい」
長々と話してきたが結局そこかよ。生きていけたらよし、死んだならそこまでという結構分かりやすい理由だった。
まあ、別に俺は頑張っていこうと心に誓った。そして、俺は勉強するのが嫌いではないので言語を覚えるのは実は結構、楽しみである。