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先輩から言われたこと。
重い身体を起こして、制服を着る。
昨日、さすがに激しくしすぎたかな…
俺のベッドで寝ている繭に、心の中で少し謝る。
でもまぁ、昨日誘ってきたのはあっちだし。
そんなことを思いながら繭を見ていると、ふいに繭が寝返りを打つ。
俺の方をじっと見て
「涼哉…もう行くの?」
そう言ってくる顔は、どこか寂しそうで
「朝練。行かなきゃやばいでしょ」
「そっか、明後日試合だもんね。
朝練がんばって!」
応援の言葉をかけてくれた繭に、俺は素直になれず
そのことを隠すかのように、
「繭、今日は?」
なんて、夜の誘いをかけた。
「…二日連続で?」
「嫌ならいーよ」
「ううん、行く」
「わかった
行ってきます」
"行ってらっしゃい"の言葉が聞こえるかどうかのところで、
俺は玄関のドアを閉めた。