【1章-4】 聖域と封印
大昔にバビロニアで呪われた実験があったといわれています。
産まれたばかりの赤子を閉じ込めて、外界とのつながりを一切絶つ。
完全に監禁行為なのですが、これには宗教的意味がありました。
バビロニアは世界で、最古ともいわれる文明です。
自分達は選ばれた民であり、自分達の話す言語こそが原初の言葉、魂の言葉と信じていました。
穢れた異文化に触れるから、外国語を話し、異教の神を信仰するようになってしまう。
そんな悲劇がなければ、誰もがバビロニアの言葉を話し、神々を信仰するようになる。
つまり、赤子から一切の情報を遮断すれば、純粋なバビロニア人が育つ。
結果として、言葉を一切話せない、発達の遅れた子どもが育っただけでした。
外界から隔てた空間。
【聖域】を作り、人を限定することで突出した存在になる。
小説内の舞台、メティスはそういった思考に極端に偏った文明です。
サフィリアは、【転生者】として記憶の塔の中に聖別する。
シーグは、【命取りの座】として、石室の中に封印する。
アライメントの章で話をしましたが、両極端の存在ほど同類の傾向があるようですね。