【1章-22】清く、正しく、おぞましく-1【表現技術】
今回のテーマは作品における表現です。
主にR指定を受ける表現は様々。あえて、ここであげる必要も無いでしょう。
さて、次のような話はR指定になるでしょうか?
あるところに、民の幸福を願う王子さまがいた。
まずは、自分の装飾品を貧しい母親にあげた。
次の両目をくりぬいて、若い作家と少女を助けた。
自らの服や皮膚を失ってでも、民のために尽くそうと考えた。
最後に王子は心無い人々によって、溶鉱炉に投げ込まれた。
途中でピンと来た人もいると思います。
これは、幸福の王子と言う児童向けの作品ですね。
ここで、ひとつのポイントになるのは「生物ではない・人間ではないこと」ことです。
非生物を対象とした場合、表現上の自由がかなり効きます。
石像、人形、植物、擬人化された物品や生物などなど・・・。
また、実在の話ではなくうわさや歴史や伝説の話をする。
視点担当者にとって、遠い出来事であることも、R指定を逃れる方法です。
このような視点で描いた場合、かなりの暴虐と残虐もR指定に引っかかることはありません。
走れメロスの冒頭でも、【王は人を殺します】から始まって、部下や一族の殺された名前が並びますが、具体的手法には触れていません。
メロスにとっても、また聞きにすぎないわけですね。
もしも、この処刑を目にした人が視点担当者で、主観を交えて話をしてしまったら、走れメロスが教科書に乗ることはなかったはずです。
作中において、残虐と名高いダリム王の登場、
にもかかわらず、陰惨な印象を受けなかったと思います。
あくまで、ロイス視点でのうわさ話。
ファンタジーなら、残虐さを前に押し出すのも手法の一つなのですが、今回はそれを控えました。
具体的に書くのもいずれやってみたいと思います。




