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【1章-2】 法サイドを【悪】と定める

【善=法】とは限らない。

では、【悪=法】と仮定して物語を薦める作品を紹介しましょう。



「知らなかったの? 政治というのはれっきとした犯罪行為なのよ?」


「宮廷と言うのはろくでもないところよ。陰謀、肝計、だまし討ち。賄賂や毒殺なんて日常茶飯事」

「逃げたいと思ったことは?」

「まさか、だからこそ面白いんじゃない!」


 ――エレニア記――


 神聖騎士団を率いる女王のセリフです。

 政治の【政】とは祭り事を意味しています。

 神聖騎士を束ねる女王は自分の職を二重に悪徳扱いしているわけですね。


 この作品は、権力を束ねる王を英雄視する一方で罪深い者である事も示唆しています。

 非常にアメリカ的な作品といえるでしょう。






 次のセリフはものすごいです。

 クリスチャンの方は読まないほうがいいかも。

 しかし、これは敬虔なキリスト教徒が多いイギリスにおいて、小説がベストセラー。

 映画化もして大ヒットし、日本にも翻訳された小説なのです。


 作者名はバーナードコーンウェル。作品名は「アーサー王物語」


①「バカに道理を教えてどうなるの? 余計なことをするから半分はキリスト教徒になるのよ」


②「キリスト教徒の作品にも、見るべきものはあるのだよ」

「そんなものは、ない!」


③「神々が秩序など求めるものか。厄介ごとが無くなれば、誰も神々を頼らなくなる。神々は頼られることが大好きなのだ。だから、神々は地上に混沌と不和を放り出す。アーサーよ。おまえの平和を望む行いを、神々がほうっておくと思うな」


④村の娘が突然行方不明になれば、たいていはキリスト教の伝道者の仕業である。


①はブリテンの土着信仰を奉じるドルイドのセリフ。侵略を受ける側ですから、言うことも過激。

②はとんだ皮肉。アーサー王物語こそが、キリスト教的作品の最高峰です。

③世界中の戦乱や平和は、神や神々のマッチポンプだという主張です。

④教えを悪用する輩はいつの時代もいますが、こうの赤裸々に書かれるとビックリしますね。


 神とは唯一神。

 神々とは多神教の立場です。


 自ら法の立場にいながら、自分の立場の矛盾を容認するもの。

 法の外にいて、法や神々を否定するもの。


 他にも過激なセリフが盛りだくさん。

 キリスト教が爆発的に広まり、一方で多神教が追いやられてゆく時代。

 多神教の側の人に視点を当てて、物語が進んでいきます。


 はっきり言って、社会問題になったダヴィンチコードが清廉に見えてきました。


 こういう小説に特定のファンがついて、根強い人気が続くのが欧米

 そして、その題材にファンタジーが使われているんですね。


 日本で西洋ファンタジーが流行しにくい理由が少し見えた気がします。

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