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【1章ー1】虹の色と権威主義

 虹の色の数はいくつか知っていますか?


 7つと即座に考えた方、それがどこで得た知識か考えてみましょう。


 大気状態がかなり良いときでも、虹が7色に見えることはほとんどありません。

 青空や雲の【純白】ではないスクリーンが背景なので、よほど色覚の訓練を受けたものでなければ、色別は不可能です。


 では、七色という分類は何処から来たのか。

 これは、ニュートンの虹の研究に由来する学校教育によるものです。

 イギリスの五色を打ち破り、ニュートンの七色が台頭した結果なのです。


 日本の義務教育、理科で学ぶ単元を、研究者・発見者の名前に変換すると新しい発見があります。

 私の場合は科学者の権威主義と、そのスポンサー達の売名行為という言葉が頭をよぎりました。


 さて、虹の七色とは、


【赤、橙、黄、緑、青、藍、紫】


 です。


 さて、神速果断のシャープネスでは、青の神聖と、赤の邪悪について何度か紹介してきました。

 ちなみに、この世界では【緑】も神聖色です。

 青森、青々と茂る、碧瞳=青い瞳。


 などの表現があるように、日本において青と緑は同じなんですね。


 また、七色を並べた時に中心に来るのが緑です。


 メティスの総督、七家の筆頭はグラムファーレ、守護色は緑。

 フェルナンディの書を守る者。サフィリアの守護色は青。

 胎児から族長を務め、誕生と同時に総督を輩出したディスぺリアは守護色が黄。


 七色の中央に位置する3色は御三家となっています。


 ちなみに、両端にある赤と紫の一族はもっとも位が低くなっています。


 赤のフィーンドはエヴォケーション。ファイアボールなどの魔術。

 紫のフォルナージュはエンハンス。筋力強化などの魔術。


 戦闘で威力を発揮する魔術は、主に低俗の位置にあります。


 赤が忌み嫌われているのは、何も外の世界だけではありません。

 魔術師の階層構造の中でも、色彩は大きな意味を持っています。


 赤や紫の外の色とは不可視光線である赤外線や紫外線です。

 すなわち七家の一族ではない人間は、七家にとってはこの世に存在しないも同じかもしれませんね。


 フェルナンディは探知。

 ディスペリアは精神。

 グラムファーレは結界陣です。


 残る二つは、付与魔術のゲリュオーンに、空間魔術のファーガスタ。


 物語内部でも、結界陣を通って空間移動をしています。

 結界陣には、付与魔術による強化が不可欠。


 そもそも、魔術を完全に分析したり、分類わけできた例は歴史上存在しません。


 色もプリズムで分割すれば七色ですが、すべての色を分類することは不可能とされています。

 カラーリング検定などで使われる、カラーサークルやカラーパレットを使ってもなお、色の分類わけにはどうしても無理や矛盾が出てしまいます。


 さて、世の中に不明な部分のある魔術を明らかにし、そもそも分類が不可能な色によって世の中を分類しようとしているメティス。

 この矛盾と傲慢が世の中に何をもたらすことになるのでしょうか。 

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