【1章-8】魔法使いの考察
歴史上で魔術師、魔法使いのレッテルを貼られるものにはある程度の法則があります。
その法則とは、優れた専門性をもっていること。
現代では国家資格に当たる、医学や薬学、法学、教育学に優れた業績を持つもの。あるいは、その実践者です。
アーサー王の師匠であるマーリンはこれらすべてに秀でた者として描かれます。
その他、占星術、言語学に優れたものも魔法使いと呼ばれる例があります。
言語に関しては、ガリアのドルイドが言語を専有化し、秘儀にすることで、言語=呪文、と周囲が受け取るまでになりました。
中国の漢字も、わざと難しくした理由に教育を受けた特権階級のみが使えるようにしよう、という意図もあったようです。
科挙制度なんていうのも、そのような思考から生まれたといえます。
革命と教育機関の発展が同期する理由の一つが以下の通り。
誰もが文字を読めるようになって理解しよう。
そして、法を悪用する権力者や王侯に意見を言えるようになろう。
文字には、強者の暴力に対抗する魔法のような力が存在するのは確かです。
道教思想には、文字には力があるという考えがあります。
お札を貼られたキョンシーが動きを止めるのが一番分かりやすいでしょうか?
・・・年がばれるかな。
映画「HERO」においては、文字には力がある。
「剣の力と筆の力は似ている。だから、文字を書くところ見ればその人の技量が知れる」
というわけで、達人の習字を偵察に行くシーンがありました。
日本の教育で、漢字の読み書き、綺麗な文字を大切にするのは、これらの影響もあるかもしれませんね。
文字の鍛錬はすべてに通じるのでしょう。
占星術に関しては、今でも占い師は半ば魔法使いの部類に入るといえるでしょう。
中世においては、天気予報は豊作凶作を予知して、農業の年間計画を立てる上で重要でした。
エジプトの「シリウスが光る=ナイル上流に雨が降る」なんてのが代表でしょうか。
雨季が来たら雨が降るのは当然なんですが、カレンダーも天気予報も時代ですから
柔道の技で人を投げ飛ばすのも、魔法の類と分類された時代もありました。
現代では、「くずし」や「ボディーメカニクス」などとして科学的に立証されています。
たとえ、後世に科学的な根拠を持つものと断定されても、当時は周囲に不明。
誰にも出来ない不可能と思えることをやってのける人。
それが、魔法使いと呼ばれる人々の共通の傾向です。
科学と魔法が似ているのも当然かもしれませんね。




