第2話の中の1
わたしは、生粋のおばあちゃん子だ。
そういえば昔、おばあちゃんに遊園地に連れて行ってもらったことがある。だけど、おばあちゃんはやっぱりおばあちゃんなので、わたしと一緒にジェットコースターなどに乗ることはできなかった。
ただし、一つだけ、メリーゴーランドには一緒に乗った。普通に楽しかった。
それに、小さい頃のわたしが、ひどく思い悩んだときにおばあちゃんが言ってくれた。
「わたしたちは、生きているんじゃあない。生かされているんだよ」
と。
今となってはまさかこれを翔ちゃんに言うことになるとは思わなかった。
あ、別におばあちゃん死んでないからね。
三年前くらいに買ったいけいけのボストンバックをため息をつきながら床におろした。
今、わたしは翔ちゃんのアパートの部屋の前。つまり、宣言どうりにやってきたわけせある。
後はベルを押すだけだったりするのに、無駄に指をポキポキならしてみたりする。……えぇ、わたしも意外と乙女でちょっぴり恥ずかしかったりする。
ピーンポーン
勇気を出して押してみる。
「…………」
返事がない。まるで、わたしがただのドアに破廉恥ごっこをくりひろげているだけではないか。
「ええい、こうなったら……ピーンポーンぅぅぅぅぅ」
もはや、機械要らず。最新技術もびっくりだぜ。おまけにドアにけりをいれてやった。
あぁ、もしドアに問題があったらもちろん翔ちゃんの責任よ。……えぇ。
「!いたっ!」
なんとまぁ、びっくり。いきなりドアがひらいてわたしの頭におもっきしあたったではありませんか。
「……何してるのこんな朝早くに」
開いたドアの隙間からいまだに寝ぼけ眼の翔ちゃんの顔がのぞかせる。しかし、そう言ってから思い出したらしく、ドアを大きく開いてわたしを中に入れてくれた。
「あ、あのさ。何か……ええと……」
キッチンの方を見ると昨日使った食器はきれいに洗って片付けられていた。さすがだ。
「ああ、そうそう。今日一緒に遊びに行こうよ、って言いに来たの」
そう言ってとびきりスマイル。わたしって最高の女だわ。ハハハ。
「はぁ」
つまり、今日は記念すべき初デートの日になるのです。
だけど、翔ちゃんはあまり乗り気ではないようだ。寝癖のある頭をかきながらどうしようか、と悩んでいるようだった。
「えと、遊びに行くったって……どこに?」
そりゃもちろん、
「ゆーえんちーなのです」
「はぁ」
そう言いながら翔ちゃんが、わたしの持っているパンパンにふくらんだボストンバックを見つけた。
「あの、そのバックは?」
もちろん、
「お泊りグッツなのです」
「はぁ……ってえぇ?」
翔ちゃんがなにやら目をきょろきょろし始めた。
「……改めて聞くけど、君ってなにもの?」
「女王様よ」
「……年は?」
「女性に年齢聞くなんて失礼ね」
「……血液型は?」
「あーるえいちぷらすえーがた」
「……どこに住んでいるの?」
「ここ」
「………………うん、そっか」
「そーなのです」
どうやら納得してくれたらしい。上出来だ。
しかし、今日は、デートが一番大事なのだ。わたし、がんばれ!
読んでくださった方、ありがとうございます。
ド素人なのでアドバイスほしいなー、みたいな気持ちなう。