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作者: 紫音

ある日目覚めると、羽が生えていた。

空を飛べる!

私は早速屋根の上に立ち、羽を広げ、大空に向かってジャンプした...


...なぁんだ、夢か。と目が覚める。

起きようと掛け布団をひっぺがすと、中の綿が飛び散ったのか、白い羽毛がそこら辺に飛び散る。

掃除せねばとベッドから下りようとすると、何だか背中が重い。後ろを見ると、そこには白い大きな羽が生えていた。

今度こそ飛べる!

私は早速屋根の上に立ち、羽を広げ、大空に向かってジャンプした...


...夢か。

私は上半身を起こし後ろを確認する。羽は生えていない。やっぱり夢だったんだ。残念だ。会社に飛んでいったらどんなに楽か格好良いか気持ちいいか。色々な夢想をしていると何だか背中がむず痒い。

寝巻きを脱ぎ裸になる。

バサッ

背中に生えた羽が音と共に開いた。

これは凄い!

私は早速屋根の上に立ち、羽を広げ、大空に向かってジャンプした...


...また夢か。男が起きると目の前に羽が。本来背中に生える筈の羽が、どうやら間違えて胸に生えたようだ。

背中向きになり、地上を見渡すことは出来なくなり、ずっと背泳ぎのように大空を眺めるだけだが、これはこれで空を飛べる。

私は早速屋根の上に立ち、羽を広げ、大空に向かってジャンプした...


...一体いつまで続くのだ?今度は両腕の袖に羽があった。ミュージシャン等が衣装で来ているように、腕を広げると羽が広がる仕組みだ。これはこれで飛べるかもしれない。

私は早速屋根の上に立ち、羽を広げ、大空に向かってジャンプした...


...そろそろ飛びたいな。せめて夢だけでも大空を飛んでみたい。次は何だ?羽が見当たらないぞ。と思っていると、全身が羽毛で包まれていた。鏡を見ると、身体は鳥、頭は人間だった。何か、こういうネタの漫才あったな。と思いつつ、私は早速屋根の上に立ち、羽を広げ、大空に向かってジャンプした...


...ですよね。もういい加減目覚めても良いだろう。次は何だ?背中と胸と肩と腕が突っ張る感じがする。大きな羽の工作物を担がされている。その工作物は、腕と繋がっており、腕を動かすと背中の工作物の羽が動くという仕掛けになっていた。

飛べるかな?

私は早速屋根の上に立ち、羽を広げ、大空に向かってジャンプした...


...慣れたな。次は何だ?...どこを探しても羽はない。なぁんだ。ようやく夢から覚めたのか。そう思って窓を開ける。朝日が眩しい。すると、その朝日の向こう側から飛んでくる鳥の群れ。鳥の群れが運んできたのは長い縄に繋がれた木片だった。その縄の両端を咥え、まるで空飛ぶブランコのようになっている。

これに乗れという事か?

私は早速屋根の上に立ち、そのブランコのようなものに乗ってみた...


...そろそろ目覚めたいなと思った。

羽は生えていなかった。しかし、目の前に胡座をかいて精神集中する修行僧がいた。修行僧は静かに立ち上がり、そして気合いをいれると、身体は浮き上がり羽無しで飛んでいるのだった。

私は早速修行僧と同じポーズをし、同じように精神集中した。屋根の上に立ち、大空に向かって気合いを込めてジャンプした...


...いい加減にしろ。人の夢をもてあそびやがって!

男は屋根の上に立ち、奇声を発して大空に向かってジャンプした。


男は骨折した。

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