第3話
今日もまた1日が終わる。
部屋の窓から星が見える。
流れ星がひとつ…ふたつ…。
あんなにも綺麗だった流れ星が、今ではこんなにも寂しく見える。
俺は…。
奈々と旅行に来ていた。
2人で遠くまで来るのは初めてだ。
奈々にとってはこの場所自体が初めてのようで、楽しんでいる様子が可愛く、喜んでくれているのを見ると幸せな気持ちになる。
夜になって、お気に入りの場所に奈々を連れていった。
「綺麗だね。」
夜空いっぱいに広がる星を見て奈々が言った。
「そうだね。」
「あれが織姫と彦星かな?1年に1回しか会えないなんて切ないよね。私はやだな。」
「そうだね。」
「さっきからそればっかぁ。あ…流れ星だ。」
空白の時間が流れる。
星を眺める奈々を見て、俺は言葉を失った。
見とれてたんだ。
いや…少し違うな。
今に始まった事じゃない。
もうずっと前から…初めて会った時から俺は奈々に見とれている。
いつ以来だろうか。
こんなにも星が綺麗と感じるのは。
「連れて来てくれてありがとう。」
奈々が言った。
あぁ…そうか…単純な事だったんだ。
奈々がそばにいる。
奈々と一緒に見てるから…だから綺麗と思えるんだ。
この場所に連れて来た人はたくさんいる。
今までは、ここからの夜景を見て喜んでいる姿…それを見るのが好きだった。
裏を返せば、俺自身は夜景を見てはいなかったんだ。
もちろん、それが好きなのは今でも変わらない。
決定的に違うのは俺自身も綺麗と思えた事。
それを奈々は気づかしてくれた。
けれど俺は奈々の思いには気づかなかった。
気づこうとしなかった。
いつだって自分の事ばかり…。
そして後悔する事になる。




