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23 食事。


「ニナさん、ごはん食べられそう……? 食べられそうなら一緒に食べない?」


 こんな美人からの食事の誘いを断れる人がいるのだろうかと思いながら、空腹も隠せなくてすぐさま答えた。


「あ、じゃあお願いします」


 そう答えると、ヒューが頷いて食事の確認をしに部屋の外へと出ていった。



「フィーさんたちはここにお住まいなんですか……?」

「ううん、ボーグの家がここの近くの別のところにあってそっちに住んでいるんだけど、私はアークの婚約者だからここにも部屋があって。今日もだけど、ここは来客が多いからいつ来てもだいたい大丈夫なの」


「そうなんですね……」

「ごめんなさいね、北の本家の末姫様を分家の我が家にお連れするわけにいかないって言われてしまって」

「いや、姫とかそんなんじゃ」


 その時、部屋の扉が開いてヒューとメイドさんが食事を運び入れてくれた。豪華だ……!


「ここで食べた方が緊張しなくていいよねって」

「あ、ありがとうございます」


 私だけでここに居るのはいたたまれないだろうと気遣って、ヒューもフィーもここに居てくれているんだろうと気付いた。今日だけで色々な人の気遣いを感じて胸が熱くなる。



「そうそうさっきの会合に出てね、改めて北部は本当にすごいって感じたの」

「……え?」


「この国は東西南北と中央って分かれているけど、ずっとこの中で独立できるのは唯一北だけだって言われてた意味が解った気がする」

「独立?」


「さっきも南の当主がぐいぐい北に交流を迫る中、北は今のままで大丈夫、むしろ南は何が不安なんですかって北のご当主様が冷静に問いかけて。部屋中がシンと静まり返って、全員が北のご当主様に釘付けになったあの瞬間……、忘れられないわ! 今の南はちょっと何にでもぐいぐいいきすぎよね」


「そうだったんですね。あ、でも独立はしないと思います。面倒だって言ってたので」

「ふふ、なんとも北らしいわね」


 戴いた食事はとても丁寧に作られている感じで美味しかった。香辛料の使い方が北とは大きく違って、興味深く一口一口を大切に味わった。

 こちらへ来た初日のことを思うと、ヒューとフィーと一緒に食事をしている今がとても不思議な感じがした。



 ふと、今までほとんど口を開かなかったヒューがぽつりと言った。


「フィー、さっきニナと話しているのが聞こえちゃったんだけど……、俺の記憶って取り戻せたりするの?」


 とても言い出しにくそうなヒューの様子に、何故だか緊張でドキンと心臓が跳ねた。

 私はただ食事を進めるだけにして、フィーの言葉を待った。


「……うん、出来るよ。父さんから許可貰ってるし、解除方法も聞いてる」

「じゃあ取り戻したい」

「解った。ごはん食べたらやろう」

「……うん」


 え? 食べ終わったらすぐやるの? と驚きも隠せなかったけど。

 まだ少し迷いのあるようなヒュー返事の中に、二人の迷いと決心の入り混じったものも感じられて、なんだかギュっと胸が締め付けられた。




お読み戴き、本当にありがとうござます。

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