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行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました  作者: 鳥柄ささみ
第一章 結婚

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第二十一話 準備

 無事にパーティーの許しがもらえたことを報告すると、アンナはもちろんのことセレナもフィオナもどうやってレオナルドを説得したのかと驚いていた。

 シアが「ふふふ、秘密」と言ったら、「キモっ」と二人に返されたが。


「パーティーに出られるのは嬉しいけど、久々だから粗相しないようにしないと」

「大丈夫ですよ。お姉様が粗相したことなんて今までないじゃないですか」

「ま、まぁね! てか、アンナがお呼ばれされたんでしょう? どういう面子が来そうか教えなさいな」

「そこまで聞いてなかったので、今度確認してみます。でも、みんなで行けて嬉しいです」

「美味しいもの出るかな」


 なんだかんだ言いつつも、パーティーに出られることが嬉しいらしい。セレナやアンナがパーティーに期待するのは理解できたが、どちらかというと出不精なフィオナも乗り気なのは意外だった。


「楽しみなのはよかったけど、当日まで体調を整えてね。あと、もうそろそろドレスが出来上がるみたいだから、そのうちジュダさんが届けに来てくれるって」

「え、わざわざご本人が届けてくださるんですか?」

「えぇ。ジュダさんあんな感じだけどちゃんとしたプロだから、自分の手で仕上げをしたいのですって。でもその代わり、あまり体型を変えないようにと釘を刺されてるから気をつけて」


 シアの言葉にサッと青褪めるセレナ。どうやら心当たりがあるらしい。


「うっ。……私、今日のデザートやめておく」

「じゃあ、私がお姉ちゃんのぶんまで食べておいてあげる」

「こらっ。二つも食べたらフィオナも太っちゃうわよ」

「それなら、みんなで食べてそのぶん動くのはどうですか? 食べて動くは鉄則ですっ」

「えー、食べたいけど動くのは嫌……」

「お姉様、だから太るんですよ」

「……アンナも言うようになったわね」


 その後、結局食べて動くことになり、食後のデザートであるタルトを食べたあとみんなでそれぞれ窓や階段の拭き掃除をすることにした。

 相変わらずセレナとフィオナから文句が出たが、「ジュダさんが来るまでに綺麗にしておかないと」と言えば渋々といった様子で掃除をしていた。


 そんなこんなで一番の気がかりだったことが解決し、あとはパーティーに向けて準備をするだけだった。



 ◇



「まだ来ないのかしら」

「きっともうすぐですよ」

「家で待ってていい?」

「ダメよ。もう少しで来るだろうから待ってて」

「ちぇ」


 いよいよ今日はジュダのドレスが完成する日。午前十時頃には届けるからと言われ、出迎えるために全員で屋敷の前でジュダを待っていた。


「先方は何で来るんだ?」

「複数の従業員の方を連れて来るはずなので、恐らく馬車だと思います。特注の大きな馬車でして、見たら一目でわかると思いますよ」


 約束通り、今日はレオナルドも同伴していた。それぞれの出来上がったドレスを見てくれるらしい。


「そういえば、レオナルドさんはジュダ……ドレスデザイナーのジュディス・サマリンさんをご存知ですか?」

「あぁ。詳しくはないが名前は聞いたことがある。風変わりな人物だとか」

「そうですか。多分、レオナルドさんはジュディスさんの守備範囲内だと思うので、気をつけてくださいね」

「ん? 何のことだ」


 シアの言葉を理解できなかったレオナルドが眉を顰める。それに対し、なんと言ったらいいのかとシアが言いあぐねていると、視界に見覚えのあるものが映った。


「あっ、あれじゃない!?」

「でかっ!」

「すごいですね。あんな大きくて目立つ馬車初めて見ました!」


 三人が興奮して声を上げる。

 というのもジュダの馬車はかなりの大きさで、一般的な馬車の倍以上の大きさがあった。装飾もかなり凝っていて、一面金色。けれど、装甲と呼べるほど強固な造りになっていて、襲撃されても剣や銃程度の攻撃なら耐えられる仕様になっていた。

 それを馬六頭で引いているのだから、かなりの異様な光景である。


「何だ、あれは……っ」

「あれがジュディスさんの馬車ですよ」

「あれが、馬車だと……? もはや、装甲車ではないか」

「ジュディスさん、デザイナーとして優秀なんですが、いかんせん物怖じしない物言いなのと顧客を選ぶ方なので、まぁまぁ敵が多いようで。そのせいで人から狙われるらしくて、あんな感じになったらしいです」

「どれほどの敵を作ったらああなるんだ」


 レオナルドも思わず呆れたような声を出す。


「レオナルドさん、眉間に皺が寄ったままですよ。笑えとは言いませんが、一応来客ですからせめてもう少し愛想をよくしてください」

「……わかっている」


 そう言いながらも眉間の皺は取れないまま。

 シアの指摘にレオナルドがどうにか表情を和らげようとしているようだが、いずれも変な顔になっていて、それを見て思わずシアは口元を弛めた。


「笑うな」

「でも、さっきから百面相されてますよ。ほら、また皺が寄ってる」

「煩い」


 シアがレオナルドとそんなやりとりをしていると、いつのまにかあの巨大馬車は屋敷の前までやってきていた。


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