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行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました  作者: 鳥柄ささみ
第一章 結婚

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第十八話 採寸

「まずは自己紹介から。こちらが長女のセレナ。二女のアンナ。三女のフィオナです。みんな、ご挨拶してちょうだい」


 シアに促されて挨拶をする三人。

 さすが公爵家の娘であり、貴族学校に通っているだけあって、挨拶の所作はとても美しかった。


「まさか、シアちゃんが子持ちになるだなんてね〜。しかも三人も。さらに氷の公爵様と呼ばれてるギューイ公爵と結婚だなんて。ほんっとびっくりしたわよ〜。公爵の評判は微妙だけど、女を見る目だけはあるってことね」


(見る目というかなんというか、ただアンナが推薦したからだなんて言えない)


 一応妻としてレオナルドの評価を下げるわけにはいかないと、シアは笑顔で取り繕っておく。三人も同様の考えだったのか、特にそれについては何も言わなかった。


「それで、こちらがジュダ・サマリンさん。本名とは別でジュディス・サマリンという名でデザイナーをしている方よ」

「じゅ、じゅじゅじゅじゅじゅジュディス・サマリン!?」


 セレナが大声を上げて驚愕する。どうやらセレナは知っていたらしい。アンナとフィオナは聞き覚えがないようで、セレナの驚愕ぶりに驚いているようだった。


「お姉様、ご存知なのですか?」

「有名なの?」

「ば……っ! 有名も有名、超有名よ!! 上級貴族だけでなく、王族のドレスも手がけてて、我が国だけでなく他国からも大人気なデザイナーよ!」

「あら、ありがとう〜! そうなの、あたし超有名なの〜」


 セレナの説明ににっこりと微笑むジュダ。セレナに投げキッスをすると、「はぅあっ」と興奮して耳まで真っ赤にして顔を押さえてた。

 先程まで悪口を言っていたとは思えないほど変わり身が早い。


「でも、何でそんなすごい人が何で私達のドレス作ってくれるの?」

「さぁ……?」

「それはね、シアちゃんがあたしの恩人だからよ〜!」

「恩人……?」


 ジュダの恩人という言葉に首を傾げる三人。

 確かに、男爵家出身のシアがデザイナーの恩人になるというのはなかなか想像できないだろう。そもそも一体どういう繋がりなのか、と疑問を持つのも無理はなかった。


「そう。あれは、あたしがまだ駆け出しの頃……色々なところで働きまくって資金を調達して、店舗を借りてさぁ商売を始めようとしたその日! 突然、契約無効を店舗オーナーに告げられたの! ありえないでしょ〜!?」

「え、どうしてそんなことになったんですか?」


 アンナが食いつく。セレナとフィオナも声に出さなくても真剣な表情でジュダを見つめていた。


「それがね、あたしこの国出身じゃなくて異国出身なんだけど、そのせいで後ろ盾がなくて保証人がいなかったのよ。それと、近所の誰かがあることないこと告げ口したらしくて。当時は今よりだいぶ大人しめの美少女って感じだったんだけど、男なのにこのナリだから、『怪しい。何か悪事でも働くつもりだろう』って難癖つけられて、一方的に契約キャンセルされそうになったの! 信じられないでしょ!?」

「え、ジュダさんって男だったの」

「美人な、おじさん……」

「そこ、誰がおっさんですって!? お姉様とお呼びなさい!」


 フィオナのおじさん発言にすかさず野太い訂正の声が飛ぶ。さすがのフィオナもジュダの圧に強さに、すぐさま「美人なお姉様」と訂正していた。


「とまぁ、あたしのこの美貌に嫉妬したオーナーに意地悪されて、もう万事休すだったんだけど、そこにたまたま買い出しに来てたシアちゃんが通りかかってね。私が保証人になりますって保証人になってくれて、本来買い出しに使うお金を使って補償金まで払ってくれたのよ! もう、まさに神! 超女神!!」


 当時を思い出したのか、目を潤ませるジュダ。そして、また感情が昂ったのかシアに激しくハグする。


「そんな、大袈裟ですよ。あのときはたまたまトラブルになってるのが目について。デザイン見せてもらったらすごく上手だったし、実際のドレスもとても魅力的だったから、絶対売れるの間違いなしだと思ってただけで」

「それで保証人までする?」

「お人好しすぎる」


 セレナとフィオナの指摘に苦笑する。実際、当時も母にどれだけお人好しなんだ、と咎められた。


 けれど、お節介なシアはジュダとオーナーが揉めている場面に遭遇したとき、ジュダがあまりにも悲壮な顔をしていたのを見過ごせなかった。だからつい首を突っ込んで、自ら巻き込まれに行ったのだ。


 現在こうして華々しく活躍している彼を見れることができてシアは満足だった。


「あのときのシアちゃん超かっこよかったわ〜! 『責任なら私が取りますから。保証人のサインとこれが補償金です』ってドンッと大金をオーナーの前に積み上げて! あのときのオーナーの顔! 傑作だったわ〜!! とまぁ、そのおかげであたしは今こうしてデザイナーとして活躍できてるってわけ。どう? 恩人でしょ?」


 ジュダの話に納得する三人。

 過去の話をすることなどなかったシアは多少誇張されてるとはいえ、赤裸々に語られるとなんだか気恥ずかしかった。


「大袈裟に言い過ぎな気もしますけどね。あくまでジュダさんが頑張った結果ですし」

「んもー! すぐシアちゃんは謙遜するんだから〜!! あたしが頑張ったのはもちろんだけど、シアちゃんがいなかったらスタートラインにも立てなかったんだからね? というわけで、シアちゃんが困ってるなら、あたしは全力で手助けするって決めてるの! だから、来週だろうが来月だろうが、ドレス全部作っちゃうわよ!」

「ありがとうございます」

「とは言ってもあまり時間はないし、まずはちゃちゃっと採寸しちゃいましょうか。ほら貴女達! 出番よ!」


 ジュダがパンパンと手を叩くと、どこからともなく現れるメイド風の従業員。彼女達はみんなメジャーを持っていた。

 そして、それぞれ取り囲むように並ぶ。その洗練された動きはまるで兵隊のようだった。


「って、え、え、ジュダさん!? 何で私も!? 娘達だけをお願いしたはずですが」


 なぜか三人のドレスを依頼したはずなのに、シアの周りにも従業員が。その手にはしっかりとメジャーが握られている。


「なーに言ってるの。シアちゃんのドレスも作るに決まってるでしょ。最高のドレスを作ってあげるから覚悟しなさい」

「えぇ!? でも……ただでさえハードワークなのに」

「あたしを誰だと思ってるの。今や超売れっ子のデザイナーよ? こうして大量に雇用してるのは、こういうときのためでもあるんだから」

「で、でも」

「つべこべ言わないの。……さぁ、やっちゃって」


 パチンとジュダが指を弾くと一斉に採寸が始まる。想定外のことに目を回しながらも、シアは大人しく言われるがまま採寸されるのであった。

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