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行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました  作者: 鳥柄ささみ
第一章 結婚

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第十七話 山奥

「ねぇ、ここで本当に合ってるの……?」

「不気味なとこ」

「えぇ、ここで間違いないわ。以前も来たことがあるし。アンナ、足元気をつけてね」

「ありがとうございます」


 鬱蒼とした森の中。

 今日は初めてセレナ、アンナ、フィオナの三人娘全員とちょっとした遠出をしていた。


 というのも、パーティーに合わせてシアの知人であるとあるデザイナーにドレスを作ってもらうためである。

 制作期間がかなり短いため、無理を承知でお願いしたところすぐに了承の返事があったので、早速採寸にやってきたというわけだ。


 アンナだけドレスを新調するわけにもいかないので、セレナとフィオナも今後ドレスが必要になるときが来るかもしれないとパーティーの件は隠して嫌がる二人をどうにか言い包めて連れてきていた。

 ちなみにレオナルドは仕事が片付かないと留守番だ。


「ドレスを新調するから来いと言われてついては来たけど、騙したら承知しないからね」

「騙すわけないでしょ。もうすぐ着くから頑張って」

「もう無理。早く帰りたい」

「こんな山奥に家建てるだなんて、そのデザイナー頭おかしいんじゃないの」

「お姉様もフィオナも文句言わないの。ほら、頑張って」

「あぁ、見えてきた。あそこよ」


 道なき道を歩いて数十分、ようやく見えてきたのは大きな屋敷。ここがシアの目的地である。


 屋敷につき、身体についた葉や草を払ったあと、玄関にある大きなドアノックを三回打つ。

 すると、あまり時間も経たずに勢いよく玄関のドアが開いた。


「やーん! シアちゃん、お久しぶり〜! 待ってたわよ〜!!」


 出てくるなりシアを勢いよくハグする長身の美人。その光景に圧倒されるセレナとアンナとフィオナ。


「ジュダさん、お久しぶりです。すみません、お忙しいのに急に無茶なお願いをしてしまって」

「なぁに言ってるのー! シアちゃんが頼ってくれるなんてこと滅多にないんだから、あたし張り切って頑張っちゃうわよ〜!! それと、あたしのことはジュディって呼んでって言ってるでしょ」


 熱い眼差しで見つめられて苦笑するシア。相変わらずの熱烈な歓迎に困惑していると、今度は中からもの凄い勢いでメイドが走ってきた。


「ジュダ様! 不用心に確認せずに玄関を開けてはなりませんとあれほど! もしよからぬ輩だったらどうするおつもりです!!」

「シアちゃんが来るってわかってたのだもの、いいじゃなーい! ほんっと、リリハは頭が堅くて困っちゃうわ」

「そういう問題ではありません! それと、シア様は貴族様でいらっしゃるんですから、そういう不敬はよしてくださいと常々……っ!」

「大丈夫よ〜。シアちゃんとあたしの仲なんだから、別に構わな……あらやだ、リリハったら。もしかして、嫉妬?」

「違います!」


 リリハは断言しながら、「いいから、今すぐ離れてください! お子様方からも引かれてますよ!!」とシアからジュダを引き剥がす。

 ジュダは最後まで抵抗していたが、ジュダよりも体格のよいリリハの力には勝てなかったようで、「あんっ」と言いながら引き剥がされていた。


「もうっ、リリハは強引なんだからっ。あたし、あんたの雇用主なんですけど? まぁ、いいわ。確かに玄関先ではなんだし、中に入ってちょうだい」

「すみません、すみません。ジュダ様が厚かましくて。みなさまどうぞ中へ。遠路遥々ようこそお越しくださいました」


 ジュダの言葉にぺこぺこ頭を下げるリリハ。

 シアは「慣れているのでお気になさらないでください。貴女達も行くわよ」と言いながら中に入る。


「え、なんなの。ここで本当にドレスの採寸するの?」

「何あれ。怖すぎる」

「た、多分大丈夫ですよ。……多分」


 ジュダの勢いに圧倒され、怖気づきながら促されるままに中に入る三人。彼女達はくっつきながら、びくびくと奥の部屋へと進んでいくのだった。

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