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最後の戦い

 魔族の行動が活発になる特定の時間帯は無い。時間を気にせず、好き勝手に動き回っているのが魔族だ。夜行性とかの特徴が有れば時間帯を選んで行動を取るかも知れない。今回に限っては『殲滅』が目的なので魔族の活動が活発な時間帯が存在したら選ぶが、そんな時間帯は無い。今の時期は、夜が短いから夕方から早朝までに終わらせようと話し合いで決めている。

 午前中に宿場町を出て南下する。可能な限り近くまでは魔力駆動車で行く。赤灰山入りをするのは夕方頃の予定だ。

 車で進めるところまで行き、山脈群に踏み入れる。それも徒歩で。空から入った方が良いと言う案も有ったが、空中戦よりも足場が確りとしていた方が、下方を気にする事なく戦いやすいと言う判断だ。

 入山してから一時間程度の時間が過ぎただろうか。一つ目の小さな山の頂を越えた頃。

 出現するようになった魔物や魔族(魔族の中でも下位の下位に当たる)の雑魚を蹴散らしながら突き進む。

 そして、更に数山超えて日が沈んだ頃。蹴散らしていた雑魚とは一線を画すであろう存在感を出す上位魔族が遂に出現した。上位魔族の数は十四体。

 その中には人間の顔で両目に当たるところが昆虫のような複眼で、口や鼻と言ったパーツは人間のものと言うアンバランスな顔をし、四本の腕を持った魔族もいた。

 見覚えが有るこいつは確か、ザカライアで教皇と入れ替わっていた魔族だ。他にも、ザカライアで遭遇した魔族がいる。

 あの時は合流を優先していたので、一先ず逃亡を図った。しかし、今回は必ず葬り去らねばならない。

 本格的な戦闘が始まる。


 相対する魔物を見据えて一振りの剣を正眼に構える。

 今回使うのは使用率の高い日本刀――漆ではなく、片手半剣とも呼ばれるバスターソード。無論ただの剣ではない。自分で創り上げた魔法武具の一つ。万刃五剣(ばんじんごけん)と名付けた剣群の内の二振りを両手で握り構える。参考にしたのはとあるゲームとライトノベル。二つのものを混ぜて見たと言った感じの仕上がりだ。剣の機能を使うとなると、その分制御も難しい。こればかりは仕方が無い。

 今回は手数を重視してこの剣を選んだ。

 そして、霊力の封印を少し緩めた。魔族への攻撃には霊力を用いた方が効率が良い。

 霊力の封印率を半分にまで下げた事により、黒髪が薄っすらと金色の光を帯びる。軽く揺らせば、砂金のような、金色の粒子が舞い散った。

 内心で苦々しく思いながらも敵に意識を向ける。

 今は、敵を倒す事だけを考えよう。

「炎弾」

 薄っすらと金色の粒子を纏った、拳大の炎の塊を大量に生み出す。その数は百個。封印率を下げた結果、生み出した魔法は意識せずとも霊力を纏っていた。

 それを自分に向かて来る魔族に向かって放つ。雑魚に交じっていた上位魔族は器用に回避する。炎弾で仕留められたのは雑魚だけだったが、相当数が一掃出来た。

 やっぱり霊力を持っている自分を優先的に狙っている。

 身体能力を強化する魔法を己に掛けて魔族に斬り掛かり、時に剣で防御する。距離を取られたり、引き離しや牽制に魔法を放って攻撃する。戦闘と言っても、結局はコレの繰り返しだ。止めを刺す為に必要な霊力は封印率を緩めて開放しているので、細かいところへ気を使う必要も無い。

 ただ只管、一体ずつ確実に攻撃を加えて仕留めて行く。

 自分以外の三人はと言うと、聖結晶を組み込んだ武器を手に戦っている。自分に比べると魔族の数は圧倒的に少ない。当然だけど。大火力の魔法攻撃が出来るクラウスを中心に確実に撃破している。ベネディクトは撹乱、ロンは空を飛ぶタイプを撃ち落とし、共にクラウスの攻撃で弱った個体を見つけては確実に仕留めている。

 連携が確りと取れているようで何よりだ。自分はフォローすら出来ず、三人からフォローされる。普段とは逆の状態だ。治癒魔法すらクラウスが担当している。クラウスの治癒魔法は気休め程度の効力しか無く、それよりも上の効果を齎す魔法となると大量の魔力を必要とする。

 クラウスがその魔法を使うまでに終わらせるか、自分が一度魔力まで回復させる治癒魔法を使うしか無いな。

嵐刃(らんじん)

 己を中心に周囲へ、無数の風の刃を飛ばす魔法を発動。金の粒子を纏った刃が、前後から同時に襲い掛かって来た魔族に向かう。刃が掠めて魔族が怯んだ一瞬に挟撃状態から離脱。左手に持っていた剣を宙へ放り投げ、剣の機能の一つを発動させる。

「展開。千刃剣雨(せんじんけんう)

 千振りにも及ぶ剣の分身が、切っ先を下に向けた状態で宙に出現。雨のように地に降り注ぎ、魔族を串刺しにする。

 間一髪、串刺しを免れた魔族も、ベネディクトとロンの手に掛かり、更に数を減らした。中位以下の魔族は殆どいない。

 剣の分身を消しつつ回収し、残りの上位魔族の数を数える。

 ……残り、十二体。

 四人だから、一人当たり三体の割り振りでどうにかなりそうだ。けれども、全て強敵揃いで、全て自分狙い。

 泥沼の戦闘はまだ続くが、忘れてはいけない事が在る。

 それは、次の魔族が出現する時間だ。

 事前準備に時間を使ってここに来たが、次に魔族が出現する日時を逆算している。計算では九日前に起きている。

 明日以降にここに来ると一体増えている計算になるが、逆を言うと、今日中に全てを斃して魔族が出現出来ないようにしてしまえば、全て片が付く。

  左の剣を宝物庫に仕舞い、一度大きく後ろに飛んで間合いを取り、一度だけ深呼吸をし、数秒先の未来を視る魔法『未来視』を発動させる。長時間使い続けると頭痛を起こし、最悪ぶっ倒れるので滅多に使わないが、今回は時間との勝負でもあるので使う。

 もうちょっと早くに来ればとは思わない。銃弾の準備に時間が掛かった。

 道具入れから八連式のリボルバー銃を取り出し左手で掴む。装填されている銃弾は、最も作製に時間を掛けた特殊弾頭。

 身体強化魔法を重ね掛けを行い、最も近くにいた単眼の魔族に飛び掛かり、剣を振り下ろした。表皮が固いのか。防御で掲げられた左腕で受け止められてしまうが、今回は接近する事が目的なので気にしない。

 接触可能な程の超至近距離ならば、銃弾を放っても外し難いからだ。

 剣を受け止められた瞬間、単眼に銃口を押し付けて発砲し、素早く離れる。

 銃撃を受け、魔族は悲鳴を上げて仰け反った。響く炸裂音は自分に数秒程度の甲高い耳鳴りを齎した。放った銃弾は単眼に着弾。そのまま魔族の体内に侵入して、内包されていた魔法を内側から炸裂させ――魔族は絶叫を上げたまま、内側から霊力と炎に焼かれて斃れた。

 銃弾に込めた魔法は『霊力を付与した炎の魔法』だ。魔法に霊力が付与されているので、吸収される事無く効果を発揮する。ベネディクト依頼の特殊弾頭を作っていた時に、打ち合わせ中に思い付いた弾丸だ。

 成功と呼べる代物は八発しか作れなかったが、話し合いの結果、そこは四人で埋めようと言う事になった。

 想像の埒外、としか言いようの無い方法で同族が一体倒されて、仲間意識の薄い魔族達が動きを止めた。その隙を逃さず――元々攪乱しつつ追撃を重ねていた――三人が見事な連携で四体斃した。自分も素早く動いて二度発砲し、二体仕留める。残り五発だ。

 瞬く間に七体が斃されて、残り五体は警戒心を強める。

 一気に魔族の数が半分以下になったけど、ここからが正念場だろう。

 近づいて発砲しているところを見られているので、自然と距離を取られる。銃弾の飛距離は短くは無いが、外せない弾丸なので敢えて近づいただけだ。

 再び乱戦になるかと思えば、中距離からの攻撃がメインとなった。

 攻撃を回避しながら考える。

 剣を使おうにも微妙に届かず、銃を使おうにも邪魔が入って、狙いが定まり難い。なら、どうする。仕留める担当が増えてくれれば、いや、それでも霊力持ちの自分への警戒心は薄まらない。最も警戒されているのは自分だ。警戒心を分散させる事は出来ないのか。そこまで考えて、『分散』の単語が引っ掛かった。

 足止めと己に注目を集める為に風の刃を無差別に撒き散らし、ロンを視界に収めてから念話で一言告げる。

『ロン。受け取って』

 左手を背後に回し、銃を仕舞う振りをして空間転移魔法で銃をロンに送る。同時に宝物庫に仕舞った剣を再び取り出し、近くにいた魔族に飛び掛かる。攻撃を防がれようが構わない。とにかく、ロンに意識が向かないようにすればいい。

 どれ程の時間が過ぎたのか。体感的には十数分程度だが、もっと長いかも知れない。

 魔族全員が自分にしっかりと集中した直後に銃声が響き、自分から最も離れていた一体の魔族が『金の粒子が混じる炎』で焼け死んだ。

 流石に三度も見た光景だからか、魔族に動揺は無い。警戒心は強まったが、距離に関係無く霊力が込められた攻撃を受けると判ったからか。中距離攻撃に徹した最初と違い、距離はバラバラとなった。

 ロンがこれを狙ってやったのか判らないが、一定の距離を取られ続けるよりかはマシだ。

 残り四体。後ろに飛んで距離を取り、残りの個体数の確認をしたところで、ベネディクトから念話による指示が入った。

『対処、一人一体!』

 短い言葉だが、言いたい事は解った。

 一人一体の割り振りで魔族を倒せで合っている筈だ。ザカライアで教皇に化けていた魔族の周りには誰もいない。こいつが自分の担当なのだろう。

 速攻で倒そう。

破軍(はぐん)

 軽く息を吐いてから、身体強化魔法を発動させる。使用する魔力量に応じて、強化具合が変わる魔法だ。

 開発当初は込める魔力量と強化具合の比率が判らなくて、使いこなすのに苦労した魔法でもある。使いこなす為に、何度脱臼と筋肉断裂などの怪我をした事か。そして自分はこの切迫した状況下で、どうして無関係な事を思い出すのかね? 意味不明だが、それだけ『余裕が出来た』と言う事なのかもしれない。

 魔族に剣を振り下ろす。今度は防がれないように、分子レベルで対象を分解し塵に変える魔法『雲散霧消』を纏わせる。

 すると振り下ろした剣は、水面に手を差し込むように一切の摩擦を感じなかった。同時に『これは魔族以外の相手に使ってはならん』と脳裏に警告が走る。

 一方、魔族は剣を防ごうと腕を振り上げて、あっさりと腕を切り落とされた腕を二度見してから、漸く感じた痛みに絶叫を上げた。その隙に踏み込んで胴体を薙ぐように、剣を横に振るう。魔族は痛みを感じながらも、僅かに後ろに下がって胴体を上下に断たれる事だけは回避した。

 追撃として更に踏み込み、断ち切れなかった残りを狙う。この魔族が再生能力を保有しているかは不明なのだ。機を逃してはならない。追撃の手を緩めず、執拗に攻撃を続ける。足を狙い、目潰しをすると見せかけて剣を横に薙ぎ、魔法を使う。魔法攻撃だけは全力で回避された。まぁ、霊力が混ざっている攻撃は逃げるわな。当たったら即死ものだし。それにしても、しぶとい。人間で例えるのなら、背骨だけで胴体が繋がっているも同然なのに。やっぱり再生能力を保有しているのか。でも、胴体は何時になって元に戻らない。これは保有していない証拠だろう。対象を見ただけで鑑定出来ないのが痛い。つーか、たまにラノベや漫画とかで見掛ける、『対象を視認しただけで鑑定する』ってのは、どうやってんだよ。自分は最低でも魔力を送り込まないと鑑定出来ないってのに。

 そこまで思考が回ったところで、すっかり忘れていた剣の能力を思い出した。今回は使わないなって思っていたツケか!?

 ……思い出したからには使おう。

 セルフ突っ込みをしたら思考が落ち着いた。

 纏わせていた雲散霧消を解除して斬り掛かる。攻撃の場所は断面部分だ。攻撃しても何度か回避された。攻撃を斬撃から刺突に切り替えて、数度の突きを放つ。これも回避されたが切っ先が何度か掠めた。

 だが、今回は掠めただけで良い。

 一度後ろに飛んで距離を取り、万刃五剣の機能を起動させ、集中する。魔族の個体情報の読み取りを試みるのは初めてだ。 

「――っ」

 情報の読み取りを行うが、一瞬で頭に入って来た情報量の予想以上の多さに驚き、顔を顰めそうになった。けれど、必要な情報を探し出し、次の一手を考える。

 再生系の能力は保有していない。魔力を体力に変換する、と言った能力も持っていない。

 単純に硬く、単純にしぶとい。それだけ。あと二回変身出来る……と言ったテンプレのような能力も持っていない。安堵していいのか分からん情報だ。知りたい事がしれたので良しとしよう。

 なお、この情報整理中に魔族は攻撃して来なかった。勘違いによる警戒か、純粋に動けなかっただけか。攻撃が無かったのだから、この際どちらでもいい。

 両手に持った二振りの剣に再び雲散霧消を付与してから構え、踏み込んで間合いを詰める。

 魔族は動けないのか、動かないのか。無反応だ。けれど、片腕が無いまま構えた。交錯の一瞬を狙っているのか。向こうの考えは判らないが、動かないのならそれでいい。

 時間を短縮する魔法『石火』を己に多重掛けし、移動時間を短縮して接近。頭上に剣を振り上げて、すれ違い様に剣を振り下ろす。

 僅かに身を捻った魔族は、残りの腕を犠牲に両腕を両断される事は免れた。だが、剣の切っ先が断面から離れるよりも先に、雲散霧消を放ち魔族を消滅させる。霊力の粒子が混じった塵が宙を舞う。魔法で塵を燃やしてから息を吐く。

 一体斃した。気が抜けそうになるが、三人の状況を確認する。若干ロンが押されている。加勢しよう。

 それにしても、何時もよりも魔法の威力と発動速度が速い。やっぱり、霊力の封印を幾つか解いているからか。……今は、どうでもいいか。

 思考を振り払って、加勢する。

 白い猿のような見た目の魔族との戦闘に割って入り、ロンの状況を確認する。手にしている獲物は双剣で銃器は持っていない。

『渡した銃はどうしたの!?』

『ごめん。二発外した。こいつ、見た目以上に素早い』

 念話を使って尋ねたら、マジかよと、言いたくなるような意外な報告を聞かされた。


 ロンの射撃の腕前は良い。十人いるパーティーメンバーではトップ争いをする腕前だ。そのトップ争いの相手はベネディクトと、今ここにいないアルゴスだ。ロンを含めたこの三人は魔法を苦手とするくせに、この手の技術系を覚えて上達させる速度が速い。『これで魔法の技量がもう少し……いや、無理か』と、窮地に陥られて応援に駆け付ける度に何度か思った。自動発動系の補助道具を作って、辛うじてどうにかなっている。

 ここにいないとある女性メンバーは、剣の才能一つでどうにかやっている。謎だ。


 残りの時間を考えて、強引な手段を使う事にした。簡単に言うと単なる足止めだが。

 重力魔法で動きを鈍らせて、足を凍らせ、光属性の捕縛魔法で捕まえ、動きを完全に封じる。そこで銃声が響いた。直後、魔族が炎に包まれて、斃れた。

「ありがとう。助かったよ」

 器用に双剣を片手で持ち、もう片方の手でリボルバー銃を持ったロンが傍にまでやって来た。

「いいけど……。空き時間に魔法の練習して。割と真面目に、ガッツリと」

「う、うん」 

 戦闘以外で助けられる事が多いから、助けに入る事には慣れている。でも、何と返せばいいのか分からず、口から出た言葉はたまに思う事だった。

 自分の言葉を聞いたロンの顔が微妙に引き攣った。これは嫌なんだろうなと判断し、ロンと別れて残りの二人の加勢に向かう。ロンはクラウスの許へ、自分はベネディクトの許へ向かう。

 苦戦しているものの、ベネディクトは着実に魔族を追い詰めていた。

 相対している魔族の足止めを行うと、ベネディクトはこれまでの苦戦が嘘のように斃してしまった。

「礼を言います。助かりました。体の大きさをホイホイ変える魔族でしたので、手を焼いていたところだったんです」

「ロンと言い……。あんたも魔法の練習しなさい。特に捕縛系の魔法」

 魔法でベネディクトの、負傷箇所の治療を行いながらの会話だった。文句を言えば、ベネディクトは目を逸らした。する気ないんだなこいつも。

 気を取り直して、クラウスとロンのところに向かう。魔族は最後の一体だった筈なのに、何故か数が八体に増えている。

「数が増えてる?」

「分身っぽいね」

 驚くベネディクトに、霊視で得た情報を教えると目を丸くした。続いて霊視で本体を探し出す。

「本体に焼きを入れるから、攻撃して」

「物騒ですが、順当ですね」

 十の炎の槍を魔法で生み出して纏めて放つ。ベネディクトは宙に消えるように見えなくなった。ベネディクトは、姿を消す隠形系を始めとする、補助魔法は得意なんだよね。代わりに他(特に防御系と回復系)は壊滅的だが、剣のみでどうにか対応し切っている女性メンバーより、遥かにマシなのだ、これで。

 炎の槍が魔族の一体に襲い掛かる。台所で見かける黒い害虫みたいに黒光りする六つ腕の魔族は器用に魔法を避けて行く。だが、全てを回避した直後に放たれた、ベネディクトの一撃だけは回避出来ず、深い裂傷を受ける。すると、維持出来なくなったのか、魔族の分身体が一斉に消えた。

「ッ、――ッ!」

 分身が消えた事を確認するなり、クラウスは可聴音域を超えた咆哮を上げた。咆哮と共に放たれたのは、クラウスの魔法光の群青色のドラゴンブレスだ。銀の光が混じっている。器用な事に、ドラゴンブレスに神聖魔力を付与したようだ。それ以前に、クラウスは何時、竜化せずともドラゴンブレスを放てるようにしたのか。

 やや離れた場所からの強襲に、しかも、この世界には存在しないドラゴンブレスによる攻撃に、流石の魔族も一瞬だけ足を止めてしまい、直撃を受ける。

「……しぶといな」

 魔族周辺の地面まで吹き飛ばし、舞い上がった土埃が薄れると、両腕を半ばから失った魔族がいた。

 土埃が収まるよりも先に、攻撃魔法を放って仕留めに掛かる。残りの三人も同時に動き、三方から攻撃を仕掛ける。自分も魔法を放ち終えると同時に剣を漆に変えて駆け寄り、魔族に斬り掛かる。

 魔族は四方からの攻撃を受け、隙を見てロンが放った銃弾を受けて炎に焼かれてやっと斃れた。

「はぁ、終わった……」

 ロンの言葉通りに、遂に魔族最後の一体を斃した。これだけ暴れても、南側から一切の反応が無い。未だに気づいていないと見て良いだろう。夜で距離も在るし。

 傷を癒やし十分な休息を取ってから、黒い煙が噴き出るポイントを目指して赤灰山を一気に南下する。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

前回と違いちょっと長めです。三つに分けるか、どこで切るか大変悩みました。読み直している内に切らない方が良いなと結論に達しました。

少し考えて、本編だけは完結させてた方が良いと判断しましたので、連投します。

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