7/27
7章「白色の影 1」
暗闇を地に這いつくばって、僕は走っている。
怨念の醜い姿で走る。
都市の明るい光と、漆黒の姿の僕。
・・・・・・
「次のニュースです。カフタスの歴史車両博物館にて、限定生産の『ポルシェ 911 912』が展示されます」
喫茶のモニターに、あるニュースが出ていた。
「マスター。次の獲物はこれにする」
「車なぞ邪魔だろう」
「違うよ。自分用。今は近所しか盗れないし、いつか対策されるしね」
マスターは、顔に似合わない不安気な顔を浮かべた。
「お前は、いつか私から消えるのか」
そう言うと、マスターは裏に消えた。
・・・・・・
「マスター・・・いつか親孝行してあげるから・・・」