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5章「マスター」
薄暗く、誰も僕を歓迎しようとしない。そんなこの街、その名はレイブンストリート。
レイブンとは烏の様な黒色を表す。その名に恥じず、確かに無法地帯だ。
そんな街の一角にある、酒場。
黒パーカーに身を包み、その酒場に入った。
カランカランとドアの鈴が鳴った。
「ただいま。マスター」
「・・・」
僕がマスターと呼ぶ老人は、僕を引き取った男だ。
無言で酒を作り始め、机に置いた。
誰も居ない店内。席に座って、酒を一気飲みした。
「・・・あぁぁ。美味い。・・・今日も、盗ってきたんだ。マスター」
ちょうど、『マリーの笑顔』を送っておいた僕の体の一部が、ここに来た。
絵画を受け取ると、その怨念は脇腹にくっついた。
「自分の体って本当に便利だよ。勝手に警察のいないルートを選んで運んできてくれる」
「・・・あまりやりすぎるなよ。E」
そう言って、マスターは厨房に去っていった。
「お爺さんって皆あんな感じなのかな・・・?」
席を立ち上がり、店を出た。
外は雨が降っていた。
「雨・・・。警察隊はどうしてるかな」
その日は店裏の部屋で寝た。
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