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1章「怪盗Eの帰還」
夜、ネオンが光り輝く。
だが、それらは僕を受け入れようとはしない。
孤独だ。怪盗は。
怨念の身体を持つ僕。
そう、その体を使い、怪盗を生業としていた。
今日もまた。
・・・・・・
「出たぞ!Eだ!」
真っ赤なランプが回り、サイレンがうるさく響く。
「クソ、この美術館も狙われたか・・・レーダーをまわせ!Eを絵画に会わせるな!」
赤いレーザーが美術館を包囲する。
夜に光る警察官達の防具。皆上を見て、警戒態勢だ。
だが、誰一人として、夜空に黒い翼が通ったのを、気づいた者はいなかった。
光が一切反射しない、翼だからだろうか。
・・・・・・
「・・・これか」
カツーンとブーツの音が鳴っている。
「時価1億の、『マリーの笑顔』・・・さあ、頂くとするか」
手をかざす。途端ブクブクと手が泡を噴き始め、僕の諸悪の根源である、怨念がガラスの中の絵に張り付いた。
「この手が無かったら、僕も怪盗してなかったかもな・・・」
ガラスが音もなく外され、怨念は絵を奪った。
そのままアジトへ向かった。
「行くか」
警報装置を撃った。