雪の妖精
あるところに、男の子が、二人いました。
二人はきょうだいです。
男の子たちのおじいさんは、病気で、二人は悲しんでいました。
ある日、男の子たちは、雪の降る町にいきました。
そこでは、家も、みちも、木も、みんなみんな真っ白。
しん、しん、とふる雪は音もなく、積もって行きました。
とてもたくさんつもって、男の子たちの長ぐつが、うまり、おとうとがころんでしまうと、おじさんが助けてくれました。
「だいじょうぶかい?」
とても親切なおじさんで、おとうとの服についた雪を、はらってくれます。
「『雪の妖精』を探しているのかい?」
「雪の妖精?」
兄が聞きます。
「願い事をかなえてくれる妖精さ」
「病気もなおるの?」
おとうとが聞きくと、おじさんはにっこりわらい、頷きました。
男の子たちは、おじいさんのために『雪の妖精』を、探しに行くことにしました。
ですが、どんなに探しても『雪の妖精』はいませんでした。
男の子たちが、がっかりしておじいさんにはなすと、おじいさんはガハガハと笑いました。
病気なのに、笑いました。
「『雪の妖精』ならここにいるさ」
男の子たちのあたまを、つよく撫でて、嬉しそうに言いました。
ある日、おじいさんは死にました。ですが、おじいさんは、それはそれは、しあわせそうな顔をしていました。