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雪の妖精

作者: 天野すす

 あるところに、男の子が、二人いました。

 二人はきょうだいです。

 男の子たちのおじいさんは、病気で、二人は悲しんでいました。


 ある日、男の子たちは、雪の降る町にいきました。


 そこでは、家も、みちも、木も、みんなみんな真っ白。

 しん、しん、とふる雪は音もなく、積もって行きました。

 とてもたくさんつもって、男の子たちの長ぐつが、うまり、おとうとがころんでしまうと、おじさんが助けてくれました。


「だいじょうぶかい?」


 とても親切なおじさんで、おとうとの服についた雪を、はらってくれます。


「『雪の妖精』を探しているのかい?」

「雪の妖精?」


 兄が聞きます。


「願い事をかなえてくれる妖精さ」

「病気もなおるの?」


 おとうとが聞きくと、おじさんはにっこりわらい、頷きました。


 男の子たちは、おじいさんのために『雪の妖精』を、探しに行くことにしました。

 ですが、どんなに探しても『雪の妖精』はいませんでした。


 男の子たちが、がっかりしておじいさんにはなすと、おじいさんはガハガハと笑いました。

 病気なのに、笑いました。


「『雪の妖精』ならここにいるさ」


 男の子たちのあたまを、つよく撫でて、嬉しそうに言いました。

 ある日、おじいさんは死にました。ですが、おじいさんは、それはそれは、しあわせそうな顔をしていました。

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― 新着の感想 ―
[一言] おじいさん、幸せだったのでしょうね。
2023/04/25 12:02 退会済み
管理
[一言] 幸せな気持ちを運んできてくれた孫たち、お爺さんにとっては『雪の妖精』だったでしょうね。 幸せに包まれて逝けたようなので何よりでした。
[一言] 死を前にしたおじいさんが、それを受け入れていること、そして自分のために雪の中を探し回った兄弟を愛おしく思っていることに、思わずほろり。 おじいちゃんとの思い出は、きっとこのふたりの中にいつ…
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