猫の夢
ここは魔力が満ちた夢の世界。
この世界の生命体には魔力属性の源が振り分けられている。
ある日森の中で瀕死の黒猫と出会う。
猫の属性は水。
瀕死の状態から回復させるため水辺を探す。
しばらくして見つけた水辺の側で猫を寝かせる。
水辺の近くで朽ちた木人形を見つける。
ゴーレムの足は自然と化している。
木となった足を水に漬けるとみるみるゴーレムはその体を立派な木へと変貌させていった。
ゴーレムは見事にその天命を全うし、緑の一部となったのだ。
ここでおかしい点に気付く。
何故猫はすぐに回復しない?
気付くと猫は姿を消していた。
辺りを見回すが見当たらない。
何時間もさがす。
ようやく一つの手掛かりを見つける。
それは氷の結晶。
先にも続く氷の結晶はまるで猫への居場所を示していた。
結晶を辿った先に猫はいた。
目元に氷の結晶を付け死んでいた。
俺は涙した。
あの結晶は猫の涙であり、猫の魔力属性は氷だったのだ。
もっと俺が優秀な人間であれば、すぐ気付けたかもしれない。
俺は世界の無力さに打ち拉がれるのだった。