第2話
「でも優樹奈はいつだってマトモに授業聞いてないでしょー。」
夏子がニヤニヤしながら言う。
「だってつまんないんだもん。よく普通に聞いてられるよね!」
優樹奈がふくれて言った。
そんな話をしているうちに、校長室の前までやってきた。
中からは何も聞こえない。
「ねぇ本当にいるの?全然声聞こえないけど・・・?」
夏子が不思議そうに言う。
「知らないけどさぁ・・・いるってウワサだよ?」
優樹奈も自信なさげに言う。
「えーっウワサなの?じゃだダメじゃん。」
夏子が落胆したように言った。
「でもせっかく来たんだし、とりあえずのぞいてみよ?」
そう言うと、窓からひょこっと顔をのぞかせた。
「ちょっ優樹奈っ!校長いたらどうすんの?!」
夏子があわてて止める。
「あっ!」
いきなり優樹奈がつぶやいた。
「え?」
「いたよ!めっちゃかわいい子じゃーん!」
優樹奈がにっこり笑って言った。
「嘘マジ?ウチもウチも!」
そういって夏子も顔を出した。
「なんだ後ろ向いてるじゃん!」
夏子がそう言うと・・・。
その子が振り向いた。
「ヤベっ!」
2人はあわてて顔をひっこめたが遅かった。
ドアが開いて、転校生が恐る恐る2人を見ていた。
「あっどーも・・・。」
夏子は気まずそうに言った。
「よっ!アンタがウワサの転校生?」
優樹奈はそんなのお構いなし。
気楽に話しかけた。
「えっはいそうです。」
転校生は驚いて答えた。
「ふーん・・・。名前は?」
向こうの様子なんて完全に無視して聞く優樹奈。
「亜柚です・・・。あの、あなたは・・・?」
夏子は亜柚の心臓の音が聞こえるような気がした。
だって、優樹奈はいかにも【不良】みたいな格好だったから。
―初対面の不良みたいな人にいきなり聞かれたら怖いよなぁ・・・。
心の中でそう思う夏子だった。
「あっウチ?ウチは優樹奈。優は優しいの優ね。」
夏子の心の中を知らない優樹奈はにこにこしながら喋っていた。
「全然優しくないんだけどねぇー」
笑いながら夏子が言った。
「はー?ウチめっちゃ優しいじゃん!夏子がよく知ってるでしょー?」
「どーだか!田中骨折させたの誰だっけぇ?」
「うっそれは・・・。アイツがうるさいから!」
そんな2人の話を聞いていた亜柚はにっこり笑った。
でも心の中では・・・。
―骨折?!優樹奈ちゃんって・・・。
「あっ亜柚ちゃんゴメンね。ウチは夏子っていうの。優樹奈と違って優しいから安心し てね。」
夏子がそういうと横で優樹奈がふくれた。
「あっハイ。これからよろしくお願いします!ウチのことは亜柚でいいですよ。」
「じゃぁウチのことは夏子でいいよー!こいつのことも優樹奈でいいからね!」
夏子がそう言った時、職員室から校長がでてきた。
「山崎さんお待たせ・・・ってなんでお前らがここにいるんだ?!授業中だろう?!」
2人の顔を見ると怒鳴った。
「ったくうるせぇなぁ。つまんないから抜けてきただけだし。」
優樹奈は校長を睨んで言った。
「本当にお前は口の減らない奴だ!はやく教室に戻れ!」
校長にそう言われると、優樹奈の口が動いた。
けれど暴言を吐き出す前に夏子が口をふさいだ。
「ほらほら、帰るよ!」
そして夏子が優樹奈を引っ張っていった。
―あの2人って・・・面白いな。
亜柚はこれからの学校生活がいいものになると感じていた。
・・・しかしこの予感がはずれるのはまだ誰も知らなかった。