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20話 猫耳パーティ、憤る

 通常町の治安を守るのは、軍を有する国であれば軍の治安隊が行う。

 しかし、国によっては軍の規模が小さく、各町に治安隊を設置できない場合がある。そんな町では、冒険者等を契約を交わし、警備隊として町を守ってもらうことがあった。

 犯罪者の確保だけでなく、万一近場で危険なモンスターが現れた場合、討伐を任せることができる。

 雇われる冒険者の多くはB、ときたまAランクが多い。Sランクや、一部のAランクほど喰いぶちが安定しない、もしくはどこかの町に居を構えたい冒険者が多い。

 

「だから、俺の元パーティ、紅蓮の閃光のような冒険者が威張り散らす光景も良く見るんだ。警備隊の冒険者はAかBランク。Sランクの冒険者には太刀打ちできないからな」


 ヒュートックの三人を町の警備隊にまかせたミカたちは、闇オークション会場のある地下の入口に向けて歩いていた。

 と、ミカはクロが何やら安堵の表情を見せていることに気づいた。

 

「どうしたクロ」

「キミが無事で安心したよ。キミは強いから大丈夫だろうけれど、万が一が起きたらって思って」

「大丈夫だって。この姿でも元Sランク冒険者だ。あんな雑魚相手には負けない。なんなら、あの時はライアスを魔法障壁で店の外に吹っ飛ばそうと考えてた」

「あらあら、頼もしいですわ」

「ショーティアさんは俺を信頼して、警備隊を呼びに行ってくれたんだろ? すぐにあいつらの身柄を引き渡せたし、助かったよ」

「ふふふ、わたくしもミカさんが無事でなによりですわ。おっぱい揉みます?」

「あ、大丈夫です。揉みはしないです」

「では揉みしだきます? ミカさんならいつでもウェルカムですわ」

「言い方の問題じゃないって」


 と、三人は談笑しつつ歩いていた。そんな最中、ふとクロが疑問を口にする。


「でも、彼ら……ヒュートックを警備隊が捕まえてくれて良かったよ。闇オークションやブラックマーケットのある町だ。彼らも買収でもされてるんじゃないかって」

「あー、されてるだろうな」

「え、ミカ、それはどういうことだい?」


 町の警備隊は間違いなく買収されているであろう。しかし、それはヒュートックにではない。


「そもそもこの町、結構貴族も多いし人口も少なくないのに、軍の治安隊が居ないのはおかしいだろ?」

「確かにそうですわね、この規模の町であれば、まず治安隊が居ることでしょうし」

「おそらくはあえて設置してないんだ。おそらく、どこぞの貴族が手を回してるんだろ。治安隊より、警備隊の方が金で融通が効きやすいからな。この国の貴族たちが警備隊を雇う名目で、治安部隊を国に設置させて居ないんだろうさ。この町の警備隊は、言わば貴族や町の権力者の私設隊。一応警備隊を名乗る以上、国の法律を守るのが約束だが、そこは警備隊が目をつむればおとがめなしだ。って、まだ男だった頃に聞いたことがある」


 そう、このまちではブラックマーケットや闇オークションは犯罪に当たらない。しかし、全ての犯罪がその限りではない。


「貴族や権力者は、昔と違って様々な種族が居る。国外からの権力者は、別種族の者たちも多いし、バレンガルドの貴族だって、必ずしもヒューマンだけではない。そして彼らは違法取引の客でもある。クロ、そんな貴族たちをも『別種族』として手にかけようとし、手に書けなくとも差別意識をばらまくヒュートックは、この町でも邪魔者だ」


 と、言ったところでミカは頭をかかえた。


「まぁあのライアス……どうも貴族の息子らしいからな。金でいくつかの店は買収されているか、貴族の名を利用してヒュートックに引き込んだか、奴らもこの町に居るには居るみたいだ」

「貴族? なんで奴が貴族だと思ったんだい? 僕は一時期、奴のパーティに居たけれど、貴族出身だなんてそのときのパーティメンバーにも聞いたことが無いのだけれど」

「あいつが自己紹介をしたんだよ。俺を犯そうとしてたときに煽ったらさ。ウォルフマナルフ家の人間だって」

「ミカ、その名前は……」

 

 二人はその名前を聞いたことがあった。それも、つい最近だ。


「ああそうだクロ。王都で会ったあの貴族だ。あいつの息子だろうな。親子揃って差別的な考えもってやがる。救えねぇな」

「あらあら……ウォルフマナルフ家の方でしたら、わたくしも神学院時代に聞いたことがありますわ。なんでも息子さんが他のアカデミーを退学になり、その後ご両親が神学院に多額の寄付をしたことで、一時期神学院に入学していたそうですわ」

「マジか。あいつ、神学院に居たのか」

「ただ、わたくしが居た頃には昔退学した方と、ある意味伝説のようになっていましたわ。なんでも、自分よりも成績が優秀なコビット族の貴族を傷つけたとかで」


 ショーティアの話を聞いて、クロが憤る。


「本当にひどい奴だ。もしかしたら冒険者としてのランクが高かったのも、冒険者ギルドにお金でも積んでいたのかな」

「かもな。あいつ、正直今のクロより弱いぞ。せいぜいD上位ってところか。しかもヒュートックときた。このことは王都に帰ったら報告しよう。アンジェラは自分を優位にしたいがゆえの差別をするヒュートックが大嫌いだからな。ぶち切れるかもしれないな」


 ミカ達がライアスについて憤りながら歩いていると。


「いでっ!」


 突然、ミカの背中を手のひらでパン、と叩いてきた人物が居た。


「がっはっはっは! 久しぶりだな猫たち!」

「あらあら、カゴンさん」

「あたしも居るよー。めっちゃ偶然じゃん」


 そこに居たのは、ヴェネシアートで食事をご馳走してくれた、カゴンとその恋人キリザ、その人だった。

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