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俺様アレルギーの私が俺様属性に愛される悪夢みたいな話  作者: Sio*
俺様アレルギーの私が俺様属性に愛されるまで
7/11

06.怖くなりました。

「あれっ」


「え?」


数日後、パンケーキ奢ってくれた人と再会した。


「また会えて嬉しいよ。仕事?」


「えぇ、まぁ」


「偶然だね、僕もそうなんだ。脚本家だっけ?打ち合わせかなにか?」


「そんなところです…」


俺様程ではないけど、こういうグイグイ来るタイプ苦手なんだよねぇ…チャラいのも無理…近付かないで欲しい。


矢継ぎ早に発せられる言葉についていけなくなった時、ぐいっと腕を引っ張られた。


「なにしてんだ野央。時間ねーぞ」


「恭平さん、…すみません」


「…恭平?」


「慎吾…!」


え、知り合いなの?





「久しぶりだね恭平。会えて嬉しいよ」


「俺は最悪だがな。ニューヨークで遊んでんじゃなかったのかよ」


「新曲の歌詞を見てね、どうしてもプロデュースしたくて飛んできたのさ」


パンケーキ奢ってくれた人…熊谷慎吾さんは、恭平と昔馴染みらしい。

熊谷さんはにこにことしてるけど、恭平は眉に皺を寄せて不機嫌MAXだ。…そんなに嫌いなのか。


「まだ諦めてなかったのか。お前のプロデュースは受けない。ずっと言ってるだろ」


「つれないなぁ。僕と組めば今よりもっと、もっと売れる。父さんたちより、ね」


「関係ないね、俺達は俺達のままでやるんだ」


腕を掴む手に力が篭もった。

痛い痛い痛い。力強すぎやん!


「だってさ、野央ちゃんはどう思う?」


「は?」


えー…いきなり名前で呼ぶとかなんなの…?

ぶるっと鳥肌が立った。


「おい、野央巻き込むなよ」


「えーダメ?仲良くなりたいんだけど」


「ダメだ、サブマネから取り入ろうとしてんだろ」


「めっちゃ警戒されてるなぁ」


からからと笑う熊谷さんはダメージ受けてなさそうだ。


「まぁいいや。また来るよ」


「二度と来んな」


「残念、僕諦め悪いから」


恭平に掴まれていた腕と反対の手を取り、軽くキスを落とした。



「…………は?」


「また会おう、野央ちゃん」


この後めちゃくちゃ手を洗った。





「うえ、ヒリヒリする…」


かなり力を入れて擦ったからか、手の甲が真っ赤になっている。あ、ちょっと血が滲んできた気も…。


「のなちゃんどうしたの、真っ赤だよ!」


「えぇ、ちょっと汚いものに触れてしまいまして」


「うわ、最悪だねー、それ。もし痛み引かなかったら薬塗ってね?」


「ありがとうございます、アオちゃんは優しいですね」


「えへへ、もちろんだよ!」


ふわりと笑って頬を染める。

なんだこの可愛い生き物。みんなアオちゃんルートやってよ。こんな可愛いのにとんでもない闇抱えてんぞこの子。


「ってそうじゃなかった。ねぇ、このあと空いてる?」


「そうですね、寝るだけなので」


「初仕事の時の番組、今日放送だからみんなで見よう!」


「あ、あのトークバラエティ番組」


たしかに、裏側を見たのでそれがどの様に編集され、放送されるのか。見たい、すごく見たい。


「もちろん!」





「うわ、なんだその手大丈夫か」


「えぇ、さっき汚いものに触れてしまいましてね」


「あー…」


察してくれた。

横からすっと軟膏を差し出してくれる航大…。え、なにめっちゃ優しいこの子。

航大とはいつか剣さんのこと語りたいなぁ…。


「あ、もう始まる」


「のなちゃん飲む?」


「じゃあ1杯だけ…」


長い針がてっぺんを指すと、画面がぱっと切り替わる。

そこには先日目の前にした有名芸人と助手のアナウンサー。

うわ、本当に放送されている。


『今日は、新曲をリリースしたばかり!Elysionの皆様にお越しいただきました。』


『彼らの魅力、1時間たっぷりお届けいたします!』


「え?」


「どうしたんだ?」


「だってたしか」


あの時はDOLLSと半々だって話だったはずだ。

でも今、1時間Elysionと言った。


「……まさか、手を打つって」


「気付いた?」


「なんで、彼らまだ新人って話ですよね?Elysionの足元にも及ばない」


「言っただろ、奴らは出てくる」


すっと細められた瞳に睨まれる。

背筋が、ぞくっとした。


「この世界じゃ普通だよ。所謂お蔵入りってやつ」


「そう、俺たちも最初の頃はよくやられてたしネ」


「俺らの邪魔になるやつは例え新人でも潰す。あらゆる手を使ってでもな」



背中に汗が伝う。息も上手くできない。


こわい。彼らが、こわい。


その後の記憶は、私には残っていなかった。

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