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俺様アレルギーの私が俺様属性に愛される悪夢みたいな話  作者: Sio*
俺様アレルギーの私が俺様属性に愛されるまで
5/11

04.励ましてもらいました。

大好きだった望夢からの励ましの言葉と赤マルのおかげで相当やる気になった私。

それは、いいのだが…いかんせん経験がほとんどないため、エロがわからない。


エロって言うか、セクシーって言うか…うん、わからない。そういうの全くわからない。


エロって言っても、直接的な言葉を使えばいいってもんじゃない。

原作も、想像は出来るけど、なるべく間接的…いや、凄く綺麗な言葉で彩られていた。

私が目指すのはそういう言葉だ。


「でも、どうしたら浮かぶのさ…」


人より想像力豊かなのは自覚ある。それで何本も脚本書いてきたんだ。

でも、経験ないことは想像すら出来ない。


「うぅ、これは、そういうお店でやってもらうか…!?」


行き詰まってあらぬ方向へ行こうとしていた私を正すかのように、手元のスマホが鳴った。

…恭平?


「も、もしもし」


「暇だろ?15時までに渋谷のスクランブル交差点まで来い」


「え?ちょ、どういうこと…切れたし」


てか暇って決めつけられたし、とんでもねぇ命令だし!!

ほんっと横暴!なんでこいつのルートなんですか本当に!!


でも逆らえば何されるかわかんないのが怖すぎる。

恐怖なのか嫌悪感からなのかわからない鳥肌が立つ。勘弁して…。



仕方なく準備し、指定された渋谷のスクランブル交差点まで向かうのだった。







「……恭平さんどこだよ」


そう言えば今日は休日。

人があまりにも多すぎる。なんだこれ酔いそう。


交差点まで来いとは言われたものの、さすがにど真ん中にいるわけにはいかない。

すぐ来ればわかるように駅側で待つ。


「嫌だけど…一応連絡入れとくか…」


すれ違ったり、見つけられなくて来なかっただろなど因縁つけられたくない。

電話だと聞こえにくいだろうと判断し、メッセージだけを残す。


「あっ、Elysion!」


隣の女子高生だろうか。

その声に弾かれるように顔を上げた先には、たくさんの大型モニターに映るElysionだった。


「この曲、もしかして…っ」


流れるのは私が作詞したあの曲。

なんで、どうして、意味がわからない。

恭平は、これが流れるって、わかってて…?


「耳をすませて、周りの声を聞いてみな」


「!?!?!?きょ、もが」


「大きい声出すな、バレる」


後ろから耳元で囁かれてると思ったら、恭平だった。

思わず声が出たけど、この喧騒の中ではさほど気にならないだろう。


「耳を、すます…」


恭平は周りの声を聞いてと言った。

周り…。




「今回の歌詞、めっちゃいいよねー!」


「珍しく女性目線ってのがまた最高!」


「共感できる部分いっぱいでさ、思わずCD何枚も買っちゃったよー!」


「今までElysion興味なかったお父さん、歌詞に感動して買ってたよ!」




「……これ」


「聞いただろ、これは、お前が書いた歌詞についてだ」


「恭平さんっ」


「自信持て、野央なら出来る」



…励まされてしまった。

こんな大掛かりな作戦で、ファンの生の声を聞いて、自信が無いなんて言ってられない。


「…ありがとうございます、絶対、いいもの作ります」


「それでこそ、俺らが見込んだ女だ」


まだ俺様発言には嫌悪感はあるけれども、少し、ほんの少しだけ、彼のことが好きになった。




「恭平さん」


「なんだ、改まって」


「お話、聞きたいんです」


帰り、恭平はスケジュールを消費し終えてたので、マネージャーの佐々岡さんと帰宅するとの事だった。

同じ場所に住んでるんだからと言うことで、お言葉に甘えて乗せてもらっている。


そこで、ずっと考えていたことを話した。


「俺らの、経験談?」


「はい」


経験がないなら、経験がある人に話を聞けばいい。

10年という長い年月この華やかな業界に身を置いている彼らだ。

私なんかより経験豊富だろうと思って持ちかけてみたのだ。


「つっても、コータと一樹は確実に無いな、女嫌いだし」


「あー…そうでしたね…」


「ニナもだな、1番付き合い長いが、女の影なんか見たことも無い」


「音楽が恋人ってやつですよね、きっと…」


「そうそう。ってなると俺かアオか」


「恭平さんか、アオちゃん…」


「まぁ、ここ10年全員ロクな恋愛してないと思うぞ?アイドルという職業柄もそうだし、忙しすぎてそんな暇ないってのもある」


「そうですよねぇ…」


うーん、やっぱり難しいか。

身体だけの関係ならあってもおかしくないとは思ったけど、スキャンダルされれば終わりだもんね…。


「あっ、ちなみに佐々岡さんは」


「えっ、僕!?」


「やめろ!」


む、適任かと思ったんだけど無理だったか。

うーん、どうしようか…。やっぱりそういうお店でやってもらうか…。


「なぁ野央、提案がある」


「提案?なんですか?」


「そういう経験がないのであれば、経験あるやつに聞けばいい」


「だから今聞いてるのでは」


「馬鹿野郎。もっと良い題材がたくさんいるところだよ」


「つまりそういうお店…!」


「なんでそうなるんだ」


ぺしっと頭を叩かれる。痛い。


「明日から現場着いてこい」


「…………現場!?」



綺麗なダークブラウンの瞳が、不安げに揺れた気がした。



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