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ユニーク装備とネタ装備 その2

 続いてはシールダーの片手剣装備、『式神スピリットソード』。


 迷路状のマップ、黒月城の地下にいる『式神番犬』というかっこいい犬が落とす武器です。

 ビジュアルでいうと、真っ赤な刃をくわえた犬の生首です。文字で書くと少しだけ猟奇的になってしまうかもしれませんが、見てみると普通にかっこいい装備です。


 色合いは違いますが、私が持っていたウルフスピアと少し似たところのあるデザインです。式神スピリットソードが好きな人は、だいたいウルフスピアも好きでした。

 逆もまた然りで、ウルフスピア好きの私も、式神スピリットソードのデザインには心惹かれるものがあります。

 これを装備したプレイヤーを見かけると、どことなく親近感を覚えたものです。


 性能の方もなかなか良かったのですが、残念ながら愛用者はそこまで多くはなかったと思います。


 それはおそらくですが、流通数が少なかったからではないでしょうか?


 先述の通り、式神番犬は黒月城という迷路のようなマップに出現します。しかも地下、マップの最深部と言って良い場所です。ここは道を間違えずに行けるようになっても、そこそこの時間がかかってしまうような場所です。

 そこでしか狩れない式神番犬は、平たく言うと狩りに行くのが非常に面倒くさい敵だったのです。


 ユニーク狙いの狩りというものは非常に根気を必要とします。


 インベントリを空っぽにして狩り始め、要らない通常装備や○○の革みたいな素材アイテムでいっぱいになったらNPCのお店に売りに行き、狩場に戻ってまた狩り始める。このサイクルを何度も繰り返してようやく手に入るのがユニーク装備です。なので『狩場に行くのがダルい』というのは、とても大きな問題なのです。


 ユニーク装備というのは通常、自分用の強化素材を手に入れたいプレイヤー以外にも、一攫千金を夢見る若人も狙うものです。

 ですが狩りに行くのが面倒な式神番犬は、そんな若人が狙う獲物候補から外れやすいのです。そのためフリーマーケットであまり見かけず、強化は自力ドロップに頼らざるを得なくなってしまい、あまりの面倒さに通常装備に戻るプレイヤーが多かったのではないでしょうか。



 余談ですが、βテスト時代はこの式神番犬が最終狩場だったと聞いたことがあります。私は正式オープン後に始めたので、これが本当かどうかは分からないのですが。

 もし本当ならば、当時はレベル50を超えれば超高レベルプレイヤーと呼んで差し支えなかったわけです。調べてみると、今はレベル200からが本番だと言われているようですね。


 時代の流れを感じます。



 さて、お次は短剣装備の『忍者飛刀』。


 こちらも黒月城でドロップする装備です。『影忍者王』という、地下にいるボスが落とします。

 これはカタカナの『イ』みたいな形状をした、暗い紺色の短剣です。かなりかっこいい装備なのですが、ラテール経験者でもどんな見た目だったか忘れたという人は多いのではないでしょうか。


 ボスドロップであるため流通が少なく非常に高価ですし、使い方が特殊なのでじっくり見る機会が少なかったというのが理由かなと個人的には思っています。


 そう、忍者飛刀は使い方が少々特殊だったのです。


 忍者飛刀の性能は、装備すると移動速度が上げるというものです。

 だから主な使用方法は移動時間の短縮でした。遠いところまで走っていかなくてはならない時や、お使いクエストで各地を回る時なんかに装備するという使われ方でした。一本持っておくだけで便利という装備だったわけです。


 しかしそのおかげで忍者飛刀を装備したレンジャーさんはなかなか足を止めてくれないですし、追いかけても追いつけないのです。

 それに短剣という性質上どうしても武器が小さくなってしまって、見た目の印象がそこまで強く残りづらいのです。正直な話、私も短剣装備で覚えているのは、あとは同じくユニークの『ジャバワーク』と『PBD(プリンバリンダガー)』くらいです。


 忍者飛刀をドロップする影忍者王は、顔の下半分をマスクで隠した若い白髪(はくはつ)の忍者です。2Dグラフックの出来が非常に良く、プレイヤー達からは俗に『イケメン』の愛称で親しまれていました。

 ラテールでは『ちょっとイケメンを狩りに行きませんか?』という誘い文句でちゃんと通じたのです。


 彼は後にマスクを外した素顔も披露してくれるのですが、それについては触れないでおこうと思います。

 もしかすると、影忍者王にトキメキを抱いたまま引退した人もおられるかもしれませんので。



 さて、影忍者王がまだイケメンと呼ばれていた時代、忍者飛刀は目にする頻度の低さに反して、かなり存在感の強いユニーク装備でした。


 ラテールは韓国産のネットゲームです。そのため日本に導入される前に翻訳にかけられているわけですが、β時代には誤翻訳というか、機械翻訳がそのまま残ってしまったと思われる箇所がちらほらあったのです。


 その中で、βテストに参加していない私でも知っている有名なものが、3つほどあります。


 1つ目は『エモーション』です。泣く、笑うといったコミュニケーション用のスキルですね。これはβ時代は『イモティコン』と訳されていました。Emotionを韓国風に発音するとこうなるんですかね?

 私がやっていた当時は、これの名残でエモーションのことを『芋』と呼ぶ人がいました。さすがに当時でもかなりの少数派でしたが。さすがに今はもうそう呼ぶ人はいないですかね?



 そして2つ目がこの忍者飛刀なのです。


 これはβ時代、『ニンザビも』と訳されていました。


 明らかに誤翻訳ですね。どうやら忍者飛刀を向こう風に発音したらこうなるようです。『も』がひらがなになってる辺りトキメキ力高いですね。


 この名称がプレイヤー達のトキメキ心に火を付け、忍者飛刀のビジュアルや性能よりも、ニンザビもという旧称の方が圧倒的に有名でした。

 そのためこの武器はプレイヤー達からは、だいたい『ニンザビ』と呼ばれていました。きちんと『忍者飛刀』と呼んでいたプレイヤーは、イモティコン派以上の少数派だったと思います。


 さて、このニンザビですが、wikiによるとβ時代にはどうやら存在を疑問視されていたみたいです。これはさっき読んで初めて知ったのですが、考えてみれば納得です。


 と言うのも、これを落とす影忍者王は黒月城の地下にいるボスです。式神番犬のいるエリアをもう少し進んだところにある、監獄というマップに出現します。


 上の方でβ時代は式神番犬が最終狩場だったらしい、という話をしたと思います。影忍者王はその式神番犬と同じレベルを持つボスキャラです。

 当然、当時は影忍者王を倒せるプレイヤーなど極少数に限られたことでしょう。そのユニークが幻のアイテムであったことは想像に難くないです。


 そんな状況の中、幸運にもそのユニークを手に入れたプレイヤーがいたとしても、「影忍者王のユニークは『ニンザビも』だったよ」などという発言には信憑性などなかったことでしょう。


 この辺り、当時を知るプレイヤーの方からは面白い話が発掘できそうですね。昔のブログとか漁ってみましょうかね。



 残る誤訳の3つ目については、後ほど。

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