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3日目のダダ甘

作者: 永多 真澄

「そろそろちゃんとしようと思う」

「はあ」


 対面に座る十年来の馴染みの顔が、今まで見たことないほどに真剣みを帯びている。しかしテーブル上でこちらに差し出されているのは手のひら大の包みだ。妙なミスマッチ感がある。


「今更な感じがするんだけど」


 僕は包みを彼女から受け取って、開けても? と目線で問いかける。彼女は軽く瞑目して、首肯で返した。しゃれたリボンをしゅるりと解いて、極力包み紙を破かないように中身を取り出す。明治のミルクチョコレートである。赤いほうだ。


「二日遅れてない?」

「いろいろ考えてて渡しそびれた。ごめん」


 彼女は少し赤面した。実に可愛らしい。


「それで、考えてたことに答えは出たの?」

「出そうと思う」


 彼女の顔が真剣みを増したので、僕も居住まいをただした。


「そういえば、チョコレートは初めてだね」

「うん」


 今まで彼女から贈られたものといえば、たいていは焼き菓子であった。思い返せば、チョコ要素というものはなかったように思う。それはもしかしたら、意図的なものだったのかもしれない。


「初めて会った時のことは覚えてる?」

「それは幼稚園の運動会の時? それとも、中学の時に引っ越してきた時?」

「それだけ覚えてくれてるんならいいや」


 彼女は実に嬉しげにはにかんだ。実に可愛らしい。


「その時から好きでした」


 それはおそらく予期できた発言だったが、僕には不意打ちであった。桂三枝ばりの椅子を巻き込んだ転倒に、彼女の青ざめた顔が一瞬だけ見えて、すぐに強い衝撃と彼女の悲鳴が頭に響いた。


 結局僕が返事を返せたのは、バレンタインデイから三日後のことになった。返答の文句は決まっている。


「僕もずっと好きでした」

1時間ではこの程度しか書けなかったよ……

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