1、原点と始まり
初投稿です
「これで今日も依頼達成だな」
俺はギルド受付前で声を上げていた。
「はい、これで依頼達成ですね。 これからも頑張ってください」
暖かい笑顔で黒髪ポニーテールの彼女……ミラさんは俺に冒険者カードを渡してくれる 。
俺はたった今渡された冒険者カードを見て思わずにやけてしまう。
〈 ダイン・ギルバート〉
19歳
レベル 43
ランク B
依頼貢献度 35/40
この依頼貢献度が四十になれば目標としていたランクA冒険者になれるからだ。
「ついに此処まで来ましたね!!」
ミラさんはまるで自分のことのように喜んでくれている。
「はい、長い道のりでした」
俺は歓喜の声を上げた。
「他の人と比べたら短いんですけどね……」
ミラさんは苦笑いしながら話しているが俺は特に話しはせずこの二年の原点を思い出していた。
ーー二年と少し前--
騎士学校
二百人は入れるような殺風景だがとても広い訓練場で二人の男が戦っていた。
「ダイン、お前には騎士の道は無理だ」
先生が一人地面に倒れこむ俺へそう告げる。生憎、話しはまだ終わってないようだ。
「おまえが騎士の家系の三男で後は冒険者ぐらいしか道がないのは知っているが【剣術Ⅰ】とハズレスキル【気合い】ではここが限界だ」
先生が言いにくそうにだが、そう言い放った。
……俺は騎士の家系に生まれたが俺には才能が無かった。
【剣術Ⅰ】は騎士学校入学条件 二の剣術スキルを持っているの中でも最弱のレベルⅠだったし、
【気合い】は初代勇者が持っていたスキルだが、勇者並みの気合いがないと発動しないうえ、効果もよくわからない為ハズレスキルと言われている
先生は言わなかったが【限界突破】というユニークスキルを持っていたが、成長限界が無くなると言うもので、強いスキルが無ければあまり意味がなっかたため忘れられていた
「自分でも……俺でも分かってました、俺には才能が無いって……俺は冒険者に成ります……」
苦肉の決断だった。
冒険者は騎士と中は悪くないが、冒険者を嫌っている貴族も少なくなく騎士から冒険者に落ちることは惨めな事だとされていた。 冒険者といえばランクF〜Dは野蛮だと思われていて、ランクCなったところでようやく一人前と世間に認められる。初代勇者はランクSSSだったそうだ。
「そうか……」
先生はそれだけ言って静かに立ち去っていた。
その時吹いた風は何時もより冷たかった気がした。
ーー自宅ーー
「父さん、俺冒険者になります」
家に帰ったあと俺はすでに帰っていた父に冒険者になる事を話した。
「そうか……お前は三男だ。自由にしていいがもう家には帰ってくるな。 家を出る時に多少の餞別は渡してやろう」
父は少し寂しそうにそう言った。 俺は分かっていた……騎士の家系で俺の存在は邪魔だと……
俺の家族仲は一人を除いて良かった。
そして一週間後家を出ることになった
夕食時、父は家族に俺のことを説明した。
十人は座れるほど大きなテーブルだったが俺の家では有効活用せずある程度まとまって食事していた。
「寂しくなるわね…」
母は食事の手を止め悲しそうな声でそう言った。
「頑張れよ!」
長男 …カイトは寂しそうにだが、そう言ってくれた。爽やかな言い方だったので少し嬉しかった。
「やはりお前は我が家の恥だ!! 早く出て行け!!」
次男 … カイルは嬉しそうにそう言った。俺とカイルの家族仲はとても悪い。理由は
俺が学校内で底辺の落ちこぼれで学校内で蔑まれているからだ。
「ダインは恥ではありません!」
「そうだ、その言い方は止めろ」
母とカイトはそう言ってくれた。……すごく嬉しかった。
「ぐぅぅ」
カイルは唸っていた……何もなければいいが……。
カイト兄さんは、今年で二十二歳になる短い金髪のイケメンだ。婚約者もいる勝ち組だ
カイルは、今年で二十歳になる。長い金髪で顔は悪くないがこの性格のせいで彼女はいないらしい
騎士学校は十七歳卒業なので普通なら俺も今年卒業だが卒業試験に合格できないだろう。 合格出来たとしても騎士に成れないだろう……俺は学校で底辺の落ちこぼれだから……
その後、学校では俺が冒険者になる事が広まっていた
一週間俺は学校で今まで以上に見下された。 俺のことを広めたのはカイルのような気がする。
ーー 一週間後ーー
俺は鏡の前に立っていた。
鏡に映っているのは、眉に少しかかる程度の黒髪。身長は百八十くらいで細身の筋肉質。そして動きやすさを重視した鎧と左手の盾、背中にショートソード一本背負った男がいた。……まあ俺なんだが。
俺は自分で言うのもなんだがカイト兄さん寄りの顔立ちだ。彼女はいない。
ーー 冒険者ギルド前ーー
俺はある決意を立てた
「必ずランク有名冒険者に成ってあいつらを見返してやる!!」
心の中でそう誓った。
この時俺の中には二つの信念ができた
一つ 必ずランク有名冒険者に成ってあいつらを見返す
二つ 俺はスキルだけで人を見ない
この世界にはハズレスキル以外に罪スキルと言う【暗殺】や【毒使い】などの持っているだけで嫌われ、疑われ、酷い所では処刑になったりする。だが俺はスキルだけで人を見ない。
「おぉー」
俺は改めて冒険者ギルドを見上げた。
レンガ作りの三階だての建物だ。 多少は劣化しているが王都のギルドだけあってしっかりしている。
俺はしっかりした木の扉を開けて中を見ていた。
「邪魔だ、どいてくれ」怒ってはないが静かにそう言われたため俺はすぐに退いた。
横をいかにも冒険者という感じの人達が通って行った。
「ほぉー」
少し驚いた。流石と言っていいのかわからんが、ギルドの受け付けは美少女、美女八割 イケメン二割だった
と言っても10席しかないが。
ギルドの制服は、青を基準とした服で胸元に黄色のラインその下にネームプレートがある。騎士学校の先生が着ていたスーツに似ている。
う、金髪の受付嬢がこちらに気ずいたようだ……あの人のところは気まずい、別の人にしよう。
俺はとりあえず目にとまった黒髪ロングの巨乳受付嬢の所に行った。理由としては、俺が黒髪で巨乳好きだからだった。
「あの、すいません」
「はい、依頼ですか?それとも登録ですか?」
鈴の鳴るような綺麗な声だ。
「と、登録をお願いします」
俺は年甲斐もなくドキドキしてしまった。と言っても十七歳だが…
「はい、わかりました。ではこちらの書類をお書きください、三、五、六は書かなくても良いです」
一、名前 (ダイン・ギルバート)……『俺の名前だ』
二、出身地 (デンタール)……『この国の王都の名だ』
三、実績、 (騎士学校中退)……『通っていた学校の名だな...卒業できなかったけど』
四、歳、 (十七)……『十五歳以上じゃ無いと登録出来ないんだっけ』
五、特技、( )……『底辺の俺には特に無いかな……』
六、動機、(いろんな人を見返すため)
「出来ました」
「えっと、貴族様なんですね」
目の前の女性は驚いたようにそう言った。
家名を持っているのは名誉騎士か、貴族しかいないからだ。
「そうだけど三男だし家には帰れないから様とかつけなくていいよ」
俺はあまり貴族という実感があまりなかった。騎士学校底辺なので貴族の様に扱えてもらえなかったからだ。
「あの、名前を教えて貰っていいですか?」
俺は少し照れながらそう聞いた。
「ミラと言います、ダインさん」
最高の笑顔でそう答えてくれた。
誤字など教えて頂けるとありがたいです