【超短編】僕は「なろう」で素敵な恋愛小説を書く女性に恋をした
実際にありうる話ですね。
僕は小説投稿サイト「小説家になろう」に登録して、小説を投稿している。
だが僕の書く小説はモテない男の情けない話ばかりで、まったく人気がない。
そこで、創作の参考にしようと他の人気作家たちの作品を読んでいた。
そんなある日、僕はとても素敵な恋愛小説を見つけた。一読して魅了された。
他の作品もすべて読んだが、深い味わいがあった。作者は野原咲という女性だ。
江國香織のような文章で、胸がキュンとなる純粋な恋愛が描かれていた。
僕はさっそく感想を書いた。「あなたの作品が好きになりました」
すぐに感想にお礼の返信が書かれ、彼女は僕の作品にも感想を書いてくれた。
「とても楽しい作品ですね。モテない男性もきっと素敵な方なのだと思います」
それから僕は野原咲さんと感想やメッセージを頻繁に交換するようになった。
やがて僕は彼女に恋をするようになり、告白メッセージを送ることにした。
「作品だけでなく、あなたが好きなりました」
メッセージを送ろうとパソコンのあるリビングへ行くと、母が使っていた。
母がトイレに立ったときに、ふと画面を見て驚いた。
そこには「小説家になろう」の野原咲の執筆中小説の画面が開かれていたのだ。
最近の母はパソコンに向かう時間が多くなったが、なんとなく生き生きとして、
明るく楽しそうで、外見も若々しくなってきたような気がする。
僕はこれから母に、いや野原咲さんにどう対応すればいいか、悩んでいる……
素敵な恋愛小説を書かれる作家さんたちは、実際に多いです。(恋愛ジャンルということで、甘く切ない物語を期待されたみなさん、ごめんなさい。ペコリ)