足利勢力
有名人はキャラが濃い。または、はちゃめちゃ。
一般兵士でスポットがあたった者は、ほとんど死なない代わり若干細かく書く。
此処は、とある軍営・・野営基地。
いや、野営の基地なんてないが、結構大規模なため、間違えた。
すると、怒声が聞こえた。そして、衝撃波が周囲を襲った。
だが、天幕は吹き飛ばされなかった。ありえない・・。
因みに、怒声の元凶は中央広場からだった。
「ンだと、ゴルァ!?」
「やんのか、ゴリラ風情が!」
「未だにほざくか!ひょろのそうめんのガキが!」
「ブス、デブ、ゴキブリ以下、ノミの糞、ゴミクズは地べたに這いずりまわって 泥水を啜ってろ産業廃棄物!!!」
「俺をそんなに怒らせて・・コロサレたいのか、カイワレ大根!!」
がたいの良い奴の頭突きが、やせっぽっちの頭に炸裂。
「チッ、殺しそこねたか」
障壁で、一時的に威力を弱めたようだ。
「チ、脳筋が。こんにゃく並みの脳汁しろよ」
「俺の脳は、スポンジだ!」
「ちょ、有機溶液製造脳」
どこかの将軍が突っ込む。
「黙れェ!新田義貞ァ!」
「ちょ、理不尽っす!?」
新田は、重い鋼鉄の盾で、その拳から身を守る。
ものすごい音を立てて、盾が凹んだ。
「うは、すっげー馬鹿力」
そういったあと、重そうな重銃槍を前に出し、大気中の窒素を吸う。
そして、穿つ。
黄色の光線は、目の前のゴリラの顎に当たった。
普通なら気絶するが、奴はずれた顎を両手を使って治す。
「ふ、中々な攻撃だぜ。それは、俺を挑発したと受け取ってやる。
光栄に思え!」
「後悔を皆に公開する、ですね。しかし、正当防衛が仇となるとは・・おそるべし直義[ただよし]」
呆れる新田、指をボキボキ鳴らす直義。
「久しぶりの獲物だァー!」
「テメェの相手は、俺だろうがァ!」
「邪魔だァ!師直[もろなお]ォ!」
「うっせぇ!爆音漢!」
「其れは、俺にとって褒美の言葉だぜェ!」
「Shut Up! Be Quiet!(るっせえ!黙れ、餓鬼が!)」
「邪魔だァ!楠ィ!」
「I said “Be quiet” to you.(るっせいといっただろーが!ゴミクズ、紙くず、消えろ藻屑!燃えカスは必要ねぇから腐臭とともに消えやがれ!)」
酷い言葉の掛け合いだ。
兵達は、衝撃波や炸裂する岩石を天幕直撃コースから拳や刀でずらしたり、斬っている。
大将陣内軍師の楠や前線軍師の高義も、この事態には慣れているようだ。
「くっそー、尊氏将軍はどこいったー!」
「大丈夫だ、今戦闘力皆無や怪我している奴らに探させている!のわっ!」
「大丈夫か!山村!」
「お、おう小西」
洒落にならない被害だ。兵糧は死ぬ気で守っている。
被害は甚大である。
「頭ん中すっからかんで、中身のない行動をも読み思考できぬ肉塊は、死ね!
消え失せろ!俺の前から居なくなれ!そして、竹槍で自殺しろ!俺が黄泉の国へ案内してやる!」
「師直ォ!言うように成ったじゃねェかァ!今ここで!俺直々に冥土におくってやんよ!」
拳と拳がぶつかり合う。
ぶつかり合うたびに、衝撃波に見舞われる。
新田は、盾の重さと厚さで、衝撃波や吹き飛ぶ砂利から身を守っている。
すると突然、喧嘩真っ最中の二人を中心に『縛』と書かれた円形で橙色の魔方陣が描かれた。
そして、喧嘩二人組を『縛』の文字からでてきた橙色の鎖に拘束された。
其の後、闇から頭に赤い文字で『漁』とかかれたハチマキを巻いた板前のようなオヤジが現れた。
しかも、完全に腕を組んで怒ってらっしゃる。
魔方陣はいつの間にか消滅し、鎖だけが二人の両腕を後ろに縛っていた。
「さて」
このオヤジの声が聞こえたとき、喧嘩二人組は戦慄する。
「どうシめてやろうか」
口の端が釣り上がり、目が狂気に満ちた。
多分あれは、従わさせるための威嚇だ。
舐めさせないようにする、行動前の最善処置。
オヤジは、二人の頭を鷲掴みして暗闇に消えていった。
ほかのものは安堵して、食糧などの状態を調べ楠に報告した。
その夜、朝まで岩に何かをぶつけていた音が響きわたった。
「それにしても、師直殿と直義殿の仲は、あいも変わらずものすごく悪いよな。」
「そうだな、まぁ、日本史的にもアレだしなぁ・・。」
「・・アレってなんだよ・・。」
「知らねぇのか?」
「俺は世界史・地理・日本史Which’s chosen.(どれにする)っつーモンだったからさー。」
「あー、そりゃしょうがない。」
二人は、それぞれの背中にある木に身をあずけている。
其処に、金髪の人がやってきた。
「どうした、ナルシー」
(元)ナルシスト(超自画自賛家・自業自得による自滅が多い・何故か肉食なのに、痩せ、ガリが多いWe can’t belive.(ありえねぇ))
「いや~、僕も有名になったねぇ、こんな粗末で貧相で、ブスで貧困な僕に素敵な名前を付けてもらえるなんて」
自嘲しすぎだ!自重しろ!と、皆心の中で叫ぶ。洒落でもなんでもない。
むしろ、かなり真剣。
しかも、男は女性に己の美と過剰自己慢心と過剰美化・女尊男卑(ごく普通のナルシストの場合)をするのだが、此奴は既に彼女を持っているらしく、己の存在感を濃くするためだけにこのように振舞っているようだ。
その彼女さんは、今軍隊にいる。子供は既に十才だ。
此奴は今二十八、彼女さんは二十六だってよ。
羨ましいなこんちくしょう!という山村の心中。
「で、どうしたんだ?こんな夜更けに」
「ああ、実は・・子供が病にかかってしまってね・・。『静かなる試練の花露』が必要なんだ・・。」
『静かなる試練の花露』・・此れは、咳きを永延に止まることなく吐き続け、横 隔膜が麻痺したりするまで吐き、心臓や喉の疲労や心拍数の異常、最後には視 力は落ち、内蔵も破壊され、最終的には人型の魔物と化す変異な病を完治し、 永延に体内に抗体を残すものだ。
ある場所は、無いにも等しい。
「な・・」
「・・」
「ち・・(考えるんだ、そして思い出すんだ俺!確か、太公望殿はどこにあるといっていた!)」
山村は、目を閉じて必死に思い出す。
「オイオイ・・(雷神子がくれた丸薬は、不老不死以外のものが入った万能の薬だったな。まだ五百粒は残っているはず)」
小西は、立ち上がり、全力疾走で陣にかけていく。
(確か・・ここだ・・あった)
「オイ、どうした。」
二人が小西の後を付いてきた。
「何、なんでもないがナルシー、君の子の所へ連れていってくれないか?」
「ああ、」
不思議がらずに許可する。そして、その子のいる天幕に足を運ぶ。
小西はあらかじめ一粒の丸薬を取り出しおり、それをナルシーが自分の子はこいつだと言った瞬間、丸々飲ませた。
「!?」
「吐き出すな!抑えろ!」
ナルシーは一応貴族生まれ、よって魔法を使える。
身体を通り抜ける魔法の紐で肺を持ち上げ、横隔膜を勝手に上下させておく。
一時間後・・、その子は静かに布団で寝ていた。
小西は、子の頭と顎を抑え、ナルシーは肺を上げ、山村は暴れる子の四肢を後から己の鎧の重さとともに利用し、羽交い締めにした。
全員息切れ状態。
「小西、誰から貰ったかしらんが、ありがとな」
「あー、別にいいってことよ。俺ら友達だろ?な、ナルシー、山村」
「ああ」
「おう。」
全員同い年の二十八だが、心は何故か高校一年生だった。