96 自分がやらなくちゃいけないこと、それを先にするんだね!
ライラが言ったとおり、通路はすぐに行き止まりになった。
ライラの指が石の壁をかき消す。
出たところは小さな部屋。
さまざまな物品がうず高く積み上げられてある。
照明が灯っていた。
正面の壁には、REFでよく見かける木製の扉。
「降ろしておくれ」
「大丈夫?」
「ありがとうよ」
ライラはあっさり扉を開け、扉の向こうに掛けられてあったカーテンを開いた。
カーテンをくぐると、また小さな空間に出た。
「ここは」
「フン。何度も通っただろ」
壁に、SAINT HONOREの文字。
「ここか……」
門番は不在だった。
床にコインが積み上げてあった。
「さ、あんたら、サキュバスの庭に向かっておくれ」
「ライラは?」
「あたしゃ、別の用がある」
ライラはくるりと背を向けたが、説明しておこうという気になったようだ。
「市長に、報告しなくちゃ。いろいろとね」
短くそれだけ言って、別のカーテンを開けた。
そこにも扉が。
「さ、早く行くんだよ!」
「市長に会うなら、俺も同行を」
会って話がしたい。
謝らなくてはいけないことがあるし、聞きたいことも多い。
いろいろな礼も言わなくてはいけない。
「自分がやらなくちゃいけないこと、それを先にするんだね!」
ライラの返答はにべもなかったが、目元は柔らかく微笑んでいた。
「行ってきます!」
元気な声を掛けて、チョットマが後ろを駆け抜けていった。
パリサイドの群れに対峙した。
代表者といえる人物はおらず、やたら騒がしく、傍若無人で不愉快な連中。
「こいつが、人を殺したんだ!」
そう叫ぶパリサイドに、ンドペキは武器をガチャつかせた。
「なんなら、もう一丁やってみるか」
と、挑発して。
横にはパキトポークの巨体とロクモンの巨体が控えている。
「こいつは無視して、落ち着いて話し合いましょう」
コリネルスが提案している。
柔硬両面作戦である。
所詮、相手は烏合の衆。
コリネルスの巧みな折衝によって、パリサイドはおとなしくなっていった。
「では、一旦は元の部屋にお戻りになり、代表の方を決めていただいた上で、再びお会いする機会を持ちましょう」
となった。




