表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/258

79 冒険ごっこじゃないんだぞ!

 ンドペキは、作戦のあらましを説明した。

「もう屋根の上には出ることができず、かといって、下の道に出る扉を開くこともできない」


 昨日見たときには、横穴の先は全くの闇に包まれていたが、今はその先が見える。

 隊員が既に、奥の扉をスコープで入念に調べ始めている。

 依然、真っ暗だが、隔てているものは普通の空気だけ。

 ライトの光がはっきり扉を照らし出している。


 扉はほんのすぐそこ、三十メートルほど先。

「やはりここにも仕掛けがあったんだな。今は電池切れというわけだ」


 目視では、扉には、なんの仕掛けも見つからない。

 ただの木製の扉。

 外から開けることが想定されていないなら、ドアノブがないかもしれないと想像していたが、そんなこともなかった。

 だが、当然何らかのセキュリティは施されているはず。


 イコマの思考が落ちると同時に、フライングアイも役に立たなくなったが、もうそれも必要ないだろう。

 しかし、いつ何時、電力が復旧するとも限らない。

 そうなれば、この通路に仕掛けられた罠が発動する。



 選択肢は二つ。

 ここから、あの扉を爆破して突破する。

 もうひとつは、ドアを普通に開けようと試みる。


「あの向こうに、レイチェル騎士団がいる可能性もあるなら、いきなり爆破ってのも、乱暴だな」

「挨拶もくそもあったもんじゃない」

 隊員たちが口を揃えた。


 シェルタそのものはエリアREFの地下深くにあると聞いている。

 しかし、出入り口のひとつがこの扉なら、要員が配置されていてもおかしくはない。

「爆破案には反対、ってことだな」

「隊長が決めればいいけどね」




「マルコ!」

「おう!」

「ミルコ!」

「おう!」

 ンドペキは隊員達の名を呼んだ。

「作戦はこうだ」


 ンドペキはバックパックからワイヤーを取り出した。

「こんなに長いのは必要なかったな」

 カットラインほどではないが、強靭でしなやかなものである。

 

「コリネルスが持たせてくれた。というより、強引に持たされた」

「なんだよ、それ」

「一人がこれを腰に巻いて、あの扉まで行く。途中でもしバーチャルな罠が発動したら、これでもって引き寄せる」

「だ!」

「げっ! いくらなんでも!」

「そう。俺もそんなみっともないことできるか!と言ったんだが、コリネルスが」



 ンドペキはワイヤーを解いていった。

「確かに、それが確実ね」

「おい! スゥ! 冗談じゃない!」とマルコ。

「三つの子供の冒険ごっこじゃないんだぞ!」とミルコ。

「それにだ! 扉が開いて、向こうにレイチェル騎士団がいたらどうする! そんな格好を見せられるか!」


「ということで、俺がこれを腰に巻いて、扉まで行く」

 ンドペキはさっさとワイヤーを腰に括りつけた。


「物理的な罠が仕掛けられているかもしれない。なにしろ外から入ることは想定されていない扉だ」

「なっ、隊長、そりゃ……」

「立会人の言葉を忘れたか? 行けば非常に恐ろしいことに巻き込まれます。な、スゥ」

「うん」

 実際、電源が落ちた今、電気的な仕掛けは用はなさない。

 しかし、万が一ということもある。



「ドアをノックしたら開けてくれるか? そんな都合のいい話じゃない。いざとなれば爆破だ。ここで待っていてくれ」

 ンドペキは横穴に飛び込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ