76 大地が燃えている
「今のうちに、ロア・サントノーレまで行ってしまおう!」
「だな! というより、もう着いてるぞ!」
と、飛空艇乗りは高度を下げ始め、艇はたちまち雲海に飲み込まれていった。
雲海の中で再び宙返りだ。
「なかなかのもんだろ」
セカセッカスキが始めて自分の飛空艇を自慢する。
「おやっさん! 恐れ入ったぜ!」
アビタットが応えてやる。
「それにしても、パリサイドはなぜ」
「さあな。助けてくれたのかどうか、わからんさ」
セカセッカスキは、上機嫌でモニターを眺めている。
「おっ、パリサイドを前に、軍は尻尾を巻いて逃げ出した!」
「そりゃ、許可もなく、勝手に攻撃できないものね!」
アビタットはわけ知り顔で、ハイテンション。
「下界は大雨だな」
黒い雲の塊を突き抜けたときだ。
なんだ!
不気味なほど、空が暗い。
豪雨?
それにしても、真っ暗だ。
「ん? 煙か?」
艇がぐんぐん高度を下げていき、状況が見えてきた。
黒い煙が空を覆っていた。
「見ろ!」
大地が燃えていた。
「うわぁ」
一面が炎の海。
豪雨を突いて、周囲数十キロの範囲に激しい炎が燃え盛っていた。
「街の真上まで行ってみるか」
艇は高度三千メートルまで下げ、ゆっくり飛んだ。
「ここか? 街は?」
「みたいだけど……」
炎が三千メートルほども上がっている。
炎と煙の勢いが強すぎて、地上の様子がよくわからない。
飛空艇も気流を受けて、激しく乱高下した。
時に濃い煙に突っ込み、周囲はほとんど何も見えない。
炎は踊るというが、ロア・サントノーレはバーナーの炎のように、莫大なエネルギーを発散させているかのようだった。
地上の温度は、軽く二千度は越えているだろう。
スジーウォンは思い出した。
ニューキーツの荒地で、たった一人のパリサイドが放った強烈な攻撃。
今の、パリサイドの連中が……。




