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76 生贄を準備!

 スジーウォンはすでに、かなりリラックスしていた。

 今なら、このパリサイドの代表者とも普通に話ができる。


「あなた方のことは、サブリナから聞いていました」


 穏やかな目でアビタットが駆け出していくのを見送ってから、UG0013が話し出した。

「そうなんですか」

「あなた方を支援するようにと」



 サブリナはセカセッカスキの飛空艇で、ニューキーツに向かったという。

「彼女には大切な任務がありまして」

「ええ。そのようですね」

「別に秘密ではないのでお話しします。物資の輸送を」


 ロア・サントノーレの住人を救出したはいいが、彼ら用の食料、医薬品、日常消耗品などの供給が、カイラルーシに送り込んでいる者だけでは追いつかないのだという。

「ニューキーツは、我々に対して協力的な街ですので、必要な物資を一度に運ぶことができる。そういう判断なのです」

「なるほど」


 パリサイドと違って、地球人類は何かと物入りだ。

 しかも、怪我人や火傷を負った者が大勢いるとなれば。


「JP01ですね」

「そうです。彼女によれば、必要なだけの物資を用意できる、ということでしたので」

 セカセッカスキの飛空艇に積めるだけ積んで帰って来るという。

 それで間に合わなければ、何度も往復すればいい。



「どんなご縁があるのか知りませんが、サブリナはあなた方に、何としても協力したいと申しておりまして」

「今更ですが、礼を言います」




 スジーウォンは、一気にニューキーツのことを思い出す気がした。


 隊の皆は今頃、どうしているだろう。

 何の連絡も来ないし、こちらからもしていない。

 ンドペキはさぞ心配しているだろう。

 タールツー軍との戦闘はまだ続いているだろうか。

 レイチェル騎士団が篭っているシェルタの手がかりは見つかっただろうか。



「タールツーというアンドロ、ニューキーツの暫定長官を名乗っていますが、接触はあるのですか?」

 思わず聞いてみた質問だったが、UG0013は関心はないという顔をして、あっさり応えた。

「それはJP01の専任事項です。私が直接、他の街の長官と接触することはありません」

 ニューキーツでのことはすべてJP01の判断によるという。


「私からもいくつかお聞きしてもよろしいでしょうか」

「もちろん」

 スジーウォンは、UG0013から投げかけられる質問に、できるだけ丁寧に答えていった。




 小一時間も経った頃、アビタットが駆け込んできた。

「スジー! いい話が聞けたよ!」

「探している人がいたのか?」

「いや……。死んだって……」

「そうか……」


「そんなこと、もうどうでもいいよ! あれを手に入れる方法を聞いてきたんだ!」

「うん! で?」

「簡単なことだったんだ! 生贄だよ!」

「えっ、生贄!」

「鉄の斧を投げ入れるって類のことじゃないよ!」

「なんだ?」

「UG0013。協力して欲しいんだ!」

「なにをです?」

「だから、生贄を準備する!」

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