73 俺は俺の仕事をしているだけ!
「セカセッカスキ! 政府にたてつく気か!」
「いえいえ、滅相もございません。俺は俺の仕事をしているだけ!」
にやりと笑って、
「しっかりつかまってろよ。気分が悪くなったって、降りるわけにはいかねえぜ」
と、機体がまた一気に上昇を始めた。
かと思うと、急降下だ。
「セカセッカスキ! ふざけているのか!」
「いえいえ。お客さんにフライトを楽しんでもらってるのさ。これもサービスってやつ!」
窓の外の景色がめまぐるしく変わっていく。
とはいえ、雲海と抜けるような青空だけだが。
普通の人間なら、とうの昔に三半規管がいかれているだろう。
スジーウォンやスミソは平気だったが、アビタットもサブリナも平然としていた。
「さあてと、どうするかな」
この飛空艇なら、街の戦闘機など、振り切ることは容易だ。
「それとも、こいつを試してみるかな」
位相を瞬時に変え、敵機のレーダーからも衛星からも、姿をくらますことができるという。
「まあ、やめておこう。逃げたと思われるのは癪だからな」
無線が叫んでいる。
「止まれ! 引き返すんだ!」
戦闘機も無人で自動操縦。
無線は管制官。
それなりについてくる。どの程度の攻撃力があるのだろう。
「行かせるわけにはいかない!」
「セカセッカスキ! 考え直せ!」
「お客さんをここで死なせるわけにはいかないだろ!」




