71 飛空艇SK〇三〇二
ロア・サントノーレまでの航行時間は、約二十分。
普通の長距離飛空艇は高度一万メートルほどを飛ぶが、セカセッカスキの飛空艇は一万五千メートルほどの高度を飛ぶ。
空気が薄く、エンジンの燃焼効率は高くないが、強力な反重力物質を盛大に搭載しているおかげで、推進力に見劣りはしない。
航行高度が高いことで空気抵抗が少なく、それだけ速く飛ぶことができる。
しかも、大気の乱れもなく航行はきわめてスムース。
完璧な自動操縦も可能だが、飛空艇乗りはあくまでマニュアル操縦だ。
セカセッカスキが手塩に掛けて開発した最新鋭機。
航行のための機材はどれもこの男自身の手によるもので、入念なチューンナップが施されている。
しかも、砲撃可能。シールドまで備えている。
戦闘機としても地球最強かもしれない。
昨夜、最終のセットアップが完了し、今朝、初飛行である。
自慢はしなかったが、これがこの男の喜び。それがひしひしと伝わってくる。
そんな操縦だった。
「二百年も前の核融合エンジンだ。そんなものでも、使いようによっちゃ」
と、強烈な重力を搭乗者に負わせて急上昇した。
艇は快適性などお構いなしで、やたらとうるさいし、しかも寒い。
艇内は飾り気なし。硬いシートに武骨な身体固定具。目の前にはステンレス製の握り棒。
「ちょいとそこまで。試験飛行みたいなもんだ。だが、安心しろ」
声に喜びがあふれていた。




