68 ヒートシールド、ある?
アビタットにも聞こえているはずだが、後ろから反応はない。
あいつ、大丈夫か。
そうは思うが、かまっている状況ではない。
姿は少年だが、かなりやり手の兵士だったのだろう。
安定した足取りが、スミソの後ろ百メートルほどの距離を正確に保っている。
「スミソ! そんなことより、二人で行く必要があるか?」
「おい!」
ここから先、炎はますます激しさを増す。
万一の場合を考えて、一人はここで待機する方がいいのではないか。
「じゃ、お前がここに残れ!」
スミソがそう言うのはわかっていたが。
「俺が力尽きたら、後はスジー、お前に任せる!」
「ダメだ! 私が!」
「ねえ。装甲、大丈夫? ヒートシールド、ある?」
アビタットの声がした。
「ない!」
そんな特殊なシールドは装着していなかった。
「やばいんじゃない?」
「うるさい! お前に関係ない!」
「だからさ、お前って呼ぶなって、言っただろ」
「ええい! うるさい!」
「無謀だなあ」
また、アビタットが涼しい声を出した。
「僕が取って来ようか」
「断る!」
「薄々、こんなことになるんじゃないかって、思ってたんだ」
もし、アビタットが熱シールドを利かせていたとしても、任せる気などさらさらない。
「やかましい! これは私達の任務だ!」
「だよね。でも、任務ってのはさ、成功させなくちゃ」
「ちっ!」
「無茶はいけないよ」
スミソが割って入った。
「おい、アビタット。こっちは気が立ってるんだ。ごちゃごちゃ邪魔するな!」
「じゃ、そうするけどさ。エネルギーパットの残量、どれくらいある?」
確かに、残量は半分ほど。
思ったより、消耗が激しい。異常なほど減っていく。
装甲内を冷やすのに大量のエネルギーを食っているのだ。
もちろん、放電も半端じゃないだろう。
予備は積んでいるものの、心もとない。
スミソはどうだろう。
「お前はお前の心配をしろ! 探す人はいたのか! 殺す相手は!」
「大声で言わないでよ。聞かれたらどうするのさ」
「落下点まで後二十秒!」
「よし!」




