67 なんなら、全員ぶっ殺してやろう!
飛び出すやいなや、ンドペキは声を張り上げた。
「鎮まれ! 鎮まれ!」
武装した人間が飛び出したことによって、一瞬の間、パリサイドの動きが止まった。
その隙に、スゥはライラの元へ飛んでいく。
「道を開けなさい!」
体ごと、パリサイドの群れにぶつかっていく。
「ギャワワワッ!」
パイサイドがひとり、奇声を上げた。
「邪魔するな!」
ンドペキは武器を水平に持ち、周囲を威嚇しながらスゥの後に続く。
「どけ! 邪魔するなら撃つ!」
「俺達とやろうってのか!」
目をぎらつかせたパリサイドの胸元に銃を突きつけ、押しのけていく。
スパン!という銃声がした。
「あっ」
撃ったのはスゥ!
悲鳴が上がった。
「どけ! 通せ!」
「その人を放しなさい!」
スゥが銃を構えた先に、ライラがいた。
パリサイドに胸倉を掴まれて、吊るし上げられている。
「こいつが悪いのよ!」
金切り声を上げたパリサイドは、ライラを解放するどころか、ますます高く持ち上げた。
「放しなさい!」
「こいつ、私をバカにしたのよ!」
「次は威嚇じゃない! 本当に撃つ!」
スゥの言葉を最後まで聞かず、ンドペキは引き金を引いた。
と同時に、スゥが飛びつき、放り出されたライラを抱え込んだ。
パリサイドは胸を抉り取られ、血しぶきを引いて吹き飛んでいる。
ギャー!
逃げ惑うパリサイド。
通路は狭い上に過密。
ンドペキが銃を向けるたび、雪崩を打つようにパリサイドの群れが大きく揺れた。
叫び声がこだました。
状況を見ていなかったパリサイドが、何事が起きたかと押し寄せてくる。
「鎮まれ!」
「きさま! こんなことをして、ただで済むと思っているのか!」
「下級兵ごときが! わしに銃を向ける気か!」
怒号を無視し、ンドペキは周囲を見回した。
どれも表情は乏しい。
おびえた様子の者も多いが、刃向かう気の者もいる。
「ライラの部屋へ!」
スゥとライラを後ろに庇いながら後ずさるンドペキに、飛び掛ってくる者がいた。
「ふざけるな!」
躊躇なく引き金を引く。
「おまえらの思い通りになるか!」
「ギャー! 死んだ!」
「なんなら、全員ぶっ殺してやろう!」