65 言ってしまおう
カイラルーシ軍に阻止されたときの自分達の行動は決まった。
飛び降り、あるのみ。
ただ、そのときサブリナとアビタットに、妙に義理立てされても困る。
彼らが深刻に思わないような、それらしき「任務」を、捏造しておくか……。
「実は……」
どう話すべきか。
「我々もある人を探している」
すらりとそんな言葉が口から出た。
スミソが、ちらりと目を向けた。
彼は知らない。私のもうひとつの目的を。
「数週間前、死んだ。ロア・サントノーレで再生されるはず……」
言ってしまおう。
「私達のリーダー」
スミソが、今度ははっきり目を剥いた。
そして、かすかに舌打ちしたように見えた。
「彼に会いたいのよ」
そして、ニューキーツに戻ってきて欲しいから。
「いろんな意味でね」
ンドペキは優秀だし、信頼もしている。
そこにハクシュウが戻って来てくれれば、どれほど心強いだろう。
アビタットは、ふうん、と小さく頷いただけだったが、サブリナは興味があるのか、目をしばたかせた。
「そう。色々な意味で」
そう応えたのは、スミソだった。
彼にしてみれば、ハクシュウを出汁にしておくのはいい思いつきだ、と思ったのかもしれない。
ハクシュウが同じものを追っていることを、スミソは知らない。
あくまでペアとして選ばれた隊員。
常に冷静さを失わないスミソ。
しかも、臆病ではない。
チョットマと共に、荒地軍を引き付けるために飛び出していったことは、まだ記憶に新しい。
相手を引き込む精悍な褐色の素顔と落ち着いた声。そして安心感を与える話し方。
破壊力は大きくはないが、俊敏性はチョットマに次ぐ。
だからこそ、この任務にスミソを選んだ。
スミソの一言で、サブリナもアビタットも口をつぐんだ。




